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2002年4月30日(火)

◆思いついたので書いておく(SFアニメ編)
バンダイからザク(ジオン公国のモビルスーツね)の二足歩行型模型が出たそうな。
ASIMOの向うをはって、「我はザク」っていうネーミングはどうよ?

「あい、ざっく」

◆思いついたので書いておく(ミステリ編)
クイーンの後期名義貸しペーパーバック群の総称が決まりました。

「クイーンの『匿名シリーズ』」

(ねえねえ、どっちが面白かった?>Moriwakiさん)

◆ドクターてつおさんの日記で、「探偵小説十戒」はスーパー源氏で検索すると5800円で出ていますよーん、と突っ込まれる。わっはっは、いやあ、それは全く思いつきもしませんでした。
今回の趣旨は「一度『帰ってきた古本血風録』というのをやってみたかった」であり、今回の教訓は「晶文社の本であっても、品切れになることはある」&「リサイクル系以外の古本屋巡りには何かしら素敵なものが待っている」という事なのであります。
◆奥さんが出勤、私が年休なものなので朝夕の炊事を担当。久しぶりにカレーなどを煮込む。うーむ、古本を買ったり、推理小説を読んだり、感想を書いたりするよりも遥かに気分転換になるではないか。いやあ、なんて楽しいんだ。


◆「彼女は存在しない」浦賀和宏(幻冬舎)読了


2002年4月29日(月)

◆連休三日目。朝から日記と感想書き。昼から読書&うたた寝。夕方から、奥さんと「ロード・オブ・ザ・リング」を見に行く。噂の「指輪物語」実写映画版は、とにかく自然の美しさと特撮の凄さに唸る。原作の、何かといえば「詩」を唱えたりする部分をばっさり切り捨てた演出は、短気な私向き。目まぐるしい展開に退屈する閑もなく、あっという間に3時間が過ぎる。それにしても、すべての中世ロールプレイングゲームの原点であるというのが良く分かる作りですのう。

◆「箱の中の書類」Dセイヤーズ&Rユースティス(ポケミス)読了
猟奇の鉄人主宰kashibaより
ROM編集お助け人須川毅氏宛て
「前略 須川毅様
毎度、掲示板への書き込みありがとうございます。世界秘密文庫は本当に怪しい叢書であります。表紙が、美人画あり風景画ありで、統一感がないのも、いい加減さが伝わってきて実に吉です。
またリアルの方では、何度か会合に御声掛け頂いたにもかかわらず参加できなくてすみません。ROM114号は、怒涛のアリンガム&マクロイのレビューもさることながら、編集会議の勢いで『じゃあ、貴方もコラム一つお願いね』とワイワイ作った感じが出ているのがよかったです。来るべきROMの集いの際には、二次会に別宅を提供する事も吝かではございません。ただ、クーラーが故障したままなので、覚悟してくださいね。
さて、ポケミスの話題作『箱の中の書類』読了いたしました。解説の書きぶりを見て、HMM6月号の評者がなぜ『セイヤーズのポケミス初登場作』と勘違いしたかが判ったような気がしました。まあ、ポケミスでセイヤーズが出ていた事も知らない人間が、HMMで書評を担当する時代になったか、と思うとある意味で感慨無量です。おそらくあの評者にとって『セイヤーズといえば創元推理文庫』だったのでしょう(笑)。
それにしても、誰がローバート・プレンティスを殺したか、じゃなくて、誰がロバート・ユースタスを消したのでしょう?原作では曲がりなりにも「エラリー・クイーン」単独名義だった『青の殺人』なんぞとはワケが違う暴挙だと思います。
で、中身の方ですが『思いつきを充分に形にできなかった実験作』という印象がすべてです。書簡のみで突っ走るのかと思いきや、結局のところ探偵役の陳述書もどきで肝腎のところを埋めており、はっきり言って企画倒れだと思います。結局、書簡ばかりでやろうとすると、どうしても本題とは無縁の記述が多くなりすぎるという事なのでしょうが、一旦始めた趣向は最後までやり抜く覚悟が欲しかったです。まあ、<余談>には少々辟易したのも事実なのですが、このあたり複雑な心境であります。
因みにうちの奥さんに、
『今、読んでいる話って、美しい後妻を娶った男が殺される話なのよ〜。そいでもって、夫はキノコオタクなのよ〜』
と言ったところ、キャハハハと一しきり受けた後で
『もしかしてキノコ用に別宅を持ってたりして?』
と鋭い質問。
『そうなんだわ、これが』
『うひゃあ、もしや奥さんをほったらかしでそこに入り浸っているうちに彼女の心が離れていったりして』
『当たり〜』
『じゃあ、私もその本の通りやってみようかな』
『ぎょぎょっ。でも、手口が一緒だとばれちゃうんだぞお』
『大丈夫、みんな買ってるだけで読んでないから、気がつかないのよ、おーっほっほっほっほ』
と思わず会話が弾んでしまいました(この項、実話)。
私に何かあったら、是非『箱の中の書類』を読んでみてください。
では、蒸し暑い日が続きますが、ROM115号の編集頑張ってください。 草々」


2002年4月28日(日)

◆奥さんがピアノのリハーサルにつき、kashibaはまたしても放牧状態。昨日の日記を書き上げてアップするのに5時間かかる。休みだというのによく働く奴である。とりあえず日記がそれなりに受けて楽しい。いやあ、やっぱ日記は受けてナンボやねえ((C)よしだまさし氏)。「帰ってきた〜」というのは、一度やってみたかったんだよなあ。
◆散歩方々、徒歩で20分かかるブックオフをチェック。昨日の血風はどこへやらの安物買いの日常に戻る。
「グロテスク」Pマグラア(河出書房新社)100円
「死者からの声」Rハギンズ(国土社)100円
「京極夏彦 [怪]『巷説百物語』のすべて」(角川書店:帯)100円
「まことに残念ですが…」Aバーナード(徳間書店)100円
ブンガクとジュヴィナイルと企画本と「不採用通知」集。とりあえずジュヴィナイルが嬉しい。京極本は、オリジナル脚本の「七人みさき」収録。もっとも「続・巷説百物語」で本人によって小説化されてしまったので有り難味は薄い。「まことに残念ですが…」は出版当時相当話題になった本。編集者たちの不見識を世に知らしめる悪趣味な本。断わるにしても、丁寧に断わっておかないと、後の世で恥じを晒すという好例であろう。一番ヒイヒイ笑ってしまったのは、ヒラーマンの「祟り」に対する断り状。「どうしてもこの作品に固執するなら、そのインディアンに関するところを全面的に削りなさい」。いやあ、全くその通り!私も素直にそう思いましたよ。でも、作者はインディアン(ちゅうか、ネイティブ・アメリカンちゅうか)を書きたいんだよなあ。
◆後は昼寝と読書と会食で1日を終える。気がつくと「利家とまつ」をやっているではないか。おお、既に曜日の感覚が欠落しかかっているぞ。


◆「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」JKローリング(静山社)読了
奥さんが借りてきた本。奥さん曰く「これまでの3作では一番面白かった」そうなので、夜の騎士バスに乗り遅れないように(いやまあ、世間的には、3千万台分ぐらい乗り遅れているのは事実なのだが)午睡の傍ら読み耽る。で、結論から言えば確かに滅法面白い。ホグワーツ魔術学校は、またしてもその歴史において懐の果てしなく深いところを見せ付ける。物語が深化する、とでも言うのか、例えば前作のハリーのホグワーツ到着場面で遭遇する「あばれ柳」が、この作品では、過去と現在を繋ぐ重要なモチーフになっていたり、森番のハグリッドがその適性を活かした出世を遂げ、それが故に人生最大の厄介事に見舞われたりする。勿論、ホグワーツ・サーガのメイン・ストリームである、ハリーとヴォルデモートの対決も古くて新しい局面を迎え、ハリーは彼の両親を殺した「裏切者」と相対する事となる。
ガリ勉ハーマイオニーの使い魔猫クルックシャンクス、新任の「闇の魔術に対する防衛術」教師ルーピン先生、「占い学」のシビル・トレローニ先生など新キャラもいい味を出してます。この大ベストセラーの梗概を書く気は毛頭ないので、映画の予告のつもりで、煽ってみよう。

脱獄不可能の牢獄から放たれた黒い天狼星。

仇敵の最も忠実なる下僕は、今ホグワーツに迫る。

闇の中に佇む死神犬。夜の騎士バスは仲間たちとの再会へハリーを導く。

<鉄壁>の吸魂鬼たち。暗転と母の悲鳴。

新しい先生。新しい授業。そして、新しい敵。

駆け抜ける「炎の雷」、マグル抜きの村での休日。

古き時代、今の時代、学び舎で友情は試される。

<ハリー・ポッターとアズカバンの囚人>

人と魔の狭間、動く地図は真実を語り、時を越えた闘いが始まる。


2002年4月27日(土)

◆話は一週間ほど前に溯る。15000アクセスを達成された牧人さんのMy Optimistic Daily Lifeから、5000アクセスを達成されたkleeさんのYour Eyes Onlyに飛んで、知らない間に強化されていた『読みたい未訳ミステリ』シリーズを読み耽る。
この企画、賛同者が多くて私の知る限りでは今ネットで最も充実した<翻訳希望>リストになっている。未訳古典リストは、このサイトの性格からいって(なにせ、ここの主宰者kleeさんの2001年裏ベストを見たら腰抜かすよ、いやホンマ)充実するのが当たり前なのだが、そればかりじゃなくて、アドコックやらキャロリン・ハートのフォローも入っているところが立派である。更に、思わず「あ、それ、俺がやりたかった!」と唸る短篇集企画もあって、多少なりとも翻訳物に興味のある方は必見。
で、事件はそのkleeさんのサイトにある「アンソロジー」という項目をクリックしたところから始まる。そこで晶文社から出ているノックス編「幻の探偵小説コレクション『探偵小説十戒』」が詳細に紹介されているのだが、その熱の入った紹介ぶりに「おお、いいねえ、若い衆(推定)がこういう古典を評価するのは」と深く肯いたまではよかった。そこで、ふと「俺ってこの本、持ってたっけね?」という不安に駆られたのである。
というのも、kleeさんの紹介を読んでも余りに書影のイメージが浮かんでこなかったからだ。まあ、万が一持っていなくても、晶文社といえば息長く本を出す出版社なので「大丈夫でしょ」と確認の意味でbk1を叩いたところ次なるショックが。なんと、「探偵小説十戒」でヒットするのは、「十戒」部分だけを再録した光文社文庫の芦辺編集本のみなのである。「へ?絶版?」。うわっ、やばいよ、これは。
でも、例えば八重洲ブックセンターあたりならば、ひょっこりと棚のどこかに並んでいるかもしれない。いや、きっとそうだ。そうにちがいない、と会社帰りに八重洲BCのミステリ棚・晶文社棚を捜してみたところ、甘い予想は完膚なきまで叩き潰される。おまへん。これは、いよいよもってヤバい。
後は「買ったけど、忘れているだけ」という自分の老人力にお縋りするのみ!!神様、仏様、ハーマイオニー・グレンジャー様と祈る思いで、今週木曜日、雨のそぼ降る中、別宅によって、いざ海外アンソロジー棚を捜してみるのだが、これが見当たらない。
「いや確か、晶文社の黒背のアンソロジーはあったよなあ。ノックスがどうたらとかいうアンソロジーもあったよなあ。」と捜しまわるのだが、見付かったのは晶文社はボアロー&ナルスジャックの「大密室」と早川書房ミステリアス・プレスの「ノックス師に捧げる10の犯罪」。確かに晶文社の黒背のアンソロジーだ、確かにノックスだ、でも、やっぱり俺って「探偵小説十戒」って買ってなかったワケなのね、そうなのね。なんかこの本って先日ようやく復刊された創元推理文庫の「探偵小説の世紀」的に気合の入った入手困難本になりそうだわ、あーら、どうしましょ、と落ち込み捲くる。

どうする、kashiba?
ここは一番、サイトに探求書として挙げるか?
いや、それではこれまで私と同じく「いつでも買える」とタカを括っていた人々の目を覚まさせ、入手困難度を増すだけだ。それはマズい。
とりあえず、図書館で借りて「読みたい欲」を押え、後は、ジグソーさんあたりに気長に探究本で頼んでおくか?
いや、読了報告を挙げると、それだけで「今品切れなのよ〜」「持ってないのよ〜」と書くに等しいではないか。
ああ、どうすればいいのだ?

と、思いっきり煮詰まった末に、閃いた。

「自分で捜せばいいのだ。」

かくして、ゴールデン・ウイーク初日。奥さんがピアノのレッスンで家をあけるのをいい事に、一日限りの「古本血風録」は復活する。

◆◆帰ってきた古本血風録◆◆
2002ゴールデン・ウイーク特別編
「失われた<十戒>」
The Raiders of the Lost Decalogue

最早、憑き物は落ちたものだと思っていた。
なんとしても欲しい本などない。
読みたければ図書館で借りればいいじゃないか。
マニアの友人も出来たのだから、借りっこすれば、大概の本は読めるよ、
だいたい、あの未読の原書の山をどうするのだ?
もう、一生分の本は買ってしまっているじゃん、
と自分に言い聞かせてきた。
せいぜいリサイクル系で新刊を安物買いして、文化の破壊者であるかの如く罵られる「もと古本者」。
それが、ここ1年のkashibaだ。
だが、一人のネットの若者(推定)の紹介文が、そんなロートルのくすんだ心に火をつけた。
ちょっと、自分を試してみたくなった。

標的は晶文社刊・ノックス編「探偵小説十戒」。
期限は古本屋がGW休みに入る直前の今日一日。
さあ、諸君、ゲームの始まりだ。

まずは狩場を決める。
この本は滅多にリサイクル系に並ぶような本ではない。ここは普通にミステリに強い店を何軒か攻めてみるのが宜しかろう。沿線を一系統に絞り、一気に勝負をかける。おもむろに目を閉じて、あの晶文社の黒背が並んでそうな書棚をイメージしてみる。脳裏に描く事しばし、よっしゃあ、荻窪・中野・高田馬場でいくぞ、と立ち上がる。
リュックにジャーロ5号と読みかけの原書、読み終わった時用の予備として「ポンド氏の逆説」を詰め込んで、軽装で出陣。余り早く行き過ぎても店が開いていない。荻窪11時を目処に家を出る。

◆行楽客でぐちゃ込みの総武快速線を錦糸町で緩行線に乗り換え、御茶ノ水で中央線快速に乗り継ぐ。荻窪到着は11時半。まあ、折角、荻窪まで来たんだからと、スーパーブックオフをチェック。100円均一棚にて普段であれば拾うかな、という単行本もみかけるが、今日はそういう日ではない、と心を鬼にしてスルー。駅の南側に回って、まずは岩森書店。びっくりするような本はないが、整った棚はいつみても心が安らぐ。一撃で瞬殺といきたかったが、お目当ては見付からず、線路沿いに「ささま書店」へ向う。荻窪では、ここが一番匂う書店。均一棚も店内も以前と変わらず質の高い品揃え。奥の推理棚にもそこそこの本が並んでいたが、ここでもお目当ては見付からず。だが、ふとエロ本棚を見てのけぞった。もう、見渡す限りの清水正二郎。しかも新書は300円均一、単行本は500円均一という御手頃価格。おまけに、今、書店から買ってきましたといわんばかりの極美本揃い。うわあああ、これは凄いっ!。残念ながらイアーン・フラミンゴなどはなかったが、ある意味で目の保養。そして、そこで、このサイトの名を世に高からしめたあの叢書を2冊ゲット!!
「女の肌は黄金の色」陶山密(日本文芸社:世界秘密文庫G:帯)300円
「女は日曜日に沈められる」陶山密(日本文芸社:世界秘密文庫:帯)300円
うおお、やったぜ。前者の副題は「ローマ警視庁特別記録」、後者の副題が「ロンドン警視庁捜査情報」である。一体、誰の原作なのであろうか?ワクワク。もう、この2冊で本日の運を使い果たしてしまったかもしれない。とにかく極美なのが嬉しい。これで世界秘密文庫は4冊目。これって全部で10冊でいいのかな?
半分「もうお腹いっぱいですよう」気分で昼御飯をかっこんで、「竹中書店」、「銀河書房」と流していく。「銀河書房」の均一棚で名刺代わりに1冊。
「アーケード殺人事件」ねじめ正一(光文社:帯)100円
善福寺川を渡って杉並書林を捜すが、どうやらブティックに化けてしまった模様。ありゃりゃんこりゃりゃん。1年前のジャーロの地図がもう役に立ちませんかそうですか。
駅方向に戻りがてら「常田書店」というお店を覗く。ここはもう只管「趣味の店」。ガラスケースの向うにダンセイニの「ぺガーナの神々」の原書があるかと思いきや、戸川昌子と梶山季之が手頃な値段でずらりと揃っていたり、早川SFシリーズが総て函付きで並んでいたりする。小林信彦にもこだわりがある模様で、こちらは値段が半端ではない。商売が成り立つかどうかはともかくとして、この美しさは一見の価値あり。荻窪詣での際には是非お立寄りを強くお勧めする次第。ここでは名刺代わりに安物買い。もっとも、このお店での「安物」である。
「ウィルキー・コリンズ傑作集3:ノー・ネーム(上)」Wコリンズ(臨川書店)1500円
「Doctor.RAT」William Kotzwinkle(AVON)300円
ああ、コリンズはダブっちゃいないだろうなあ?一体自分がどの巻を持っているのか管理できてないからなあ(>だったら、買うな、という噂もある)。コッツウインクルはなんとなく、作者と表紙で拾う。未訳なのでしょうか?後は一応、雑然とした竹陽書房にも軽くチェックを入れて荻窪を離脱、中野に向う。

◆中野到着は午後2時。ここでは古書ワタナベの一点狙い。すっかりオタクビルと化した中野ブロードウエイは益々もってコミケな人々で溢れかえっており、ニッチなサブカルを巡る物欲がムンムンと立ち込めている。サトウのサトちゃんから、ペプシマンキャップまで「関口君、世の中には売り物にならないものなどないのだよ」という雰囲気がなんとも、いやはや。4Fの「大予言」の妖しい棚に一通りチェックを入れ、「ワタナベ」に行くが、まだ開店準備中。仕方なく、セル画や原画の類いを見て時間を潰す。「ああ、こんな事をしている時間はない筈なのだが。でも、青春の血が騒ぎますのう。ああ、こっち方面に進んでいなくてよかった。」などとオタッキッシュな心象風景を終えて、2時半にようやく「昼なお暗き」ワタナベの店内に身を縮めて潜入し(そんな気分になっちゃうんだよね、あのお店って)棚をチェック。残念ながら「十戒」は見当たらず。そのまま帰るのも業腹なので、サービス箱から2冊拾って安物買い。
「マスグレイヴ館の島」柄刀一(原書房:帯)300円
「ネットワーク」Sヘドリン(番町書房イフノベルズ)300円
「ネットワーク」の方は探求書。でも、ひょっとしたらダブりなのかもしれない。最近手にいれたノベライズって「エンブリヨ」の方だっけ?ううむ、自信がない。ついでに覗いた「アルフェッカ」書房は店を開けておらず、中野駅に戻り線路沿いの「ポチタマ書店」にも一応チェックを入れて、東西線に乗り込む。
最後の希望を高田馬場に託すのじゃ!

◆高田馬場到着3時15分。とりあえずブックオフを覗かずにはいられないのは、最早「血」なのか?さすがに買うものは何もない。ジャーロの地図を頼りに「古書プラタナス」なるお店を捜すが、これが見当たらない。ううむ、まさか、ここも閉店なのか?「キノコノクニヤ」を一応撫でて、いよいよ古書店街に突入。まずは平野書店で、ちょっと嬉しい均一本。
「暗黒星雲のかなたに」Iアシモフ(創元推理文庫:初版)100円
「創元推理文庫解説目録 1985.1」(東京創元社)100円
300番台のSFマークをゲットだぜ!!いやあ、リサイクル系以外の古書店には何かしら買うものはあるものである。創元の目録も、未入手の巻。元が無料の本とはいえ、一旦入手し損なうと、再見は僥倖の域なので、気分はプチ血風である。文省堂の品揃えと価格に溜め息をつき、安藤書店へ。ここではガードナーのポケミス100番・200番台初版が目を引いたが、状態と価格を勘案してスルー。「日光浴者の日記」なんぞは押えておきたいところなのだが。
「ウィズ25」はさしてみるべきものはなく、いよいよ最後の頼みの綱「文英堂」に望みを繋ぐ。この店では過去、何度も美味しい思いをさせてもらってきたのだが、果して祈りは通じるのか?!
ドキドキしながら、店内左手前の棚をチェックすると、、、

ありましたああ。「探偵小説十戒」!!

しかも傷みながらも帯付きだあ。

「後は値段だが」と恐る恐る裏表紙を捲ってみると、1500円!!

よっしゃああ!!定価よりも更に1000円安い!

頂きいいい!!

「探偵小説十戒 幻の探偵小説コレクション」ノックス編(晶文社:帯)1500円

時に、2002年4月27日午後3時43分。
静かにゲームは終わった。
kashibaの心を血の色をした微風が吹き抜けた。
そしてkashibaの積読の山は、また少しだけ高くなった。

◆帰りがけに八重洲ブックセンターに寄って、早川ミステリ文庫フェアを確認。ちゃんと「喉切り隊長」も刊行されており、まずはめでたしめでたし。
何冊か「イチ押し」帯がついていて、山田正紀が本当に本格推理が好きなのだ、という事に驚く。ちなみに私が芦辺倶楽部掲示板で予想した「芦辺拓イチ押し本」、カーの「火刑法廷」、ガードナーの「怒りっぽい娘」はピタリだったのだが、クイーンが外れていた。でも私が推した「ギリシャ棺」は山田正紀のイチ押しになっていて、それなりに満足。で、芦辺拓のクイーンのイチ押しは一見意外な作品。まあ、でも「暴走する権力への反骨心」という点では、なるほど共通する部分もあるなあ、と納得のセレクション。というわけで、吹きあれるマッカーシズムに本格推理小説の形で一石を投じた「ガラスの村」が芦辺拓のイチ押しクイーンでしたとさ。
◆あと、八重洲ブックセンターでは、ひょっとして、余りの悪評に刷り直されるかと思いポケミスを1冊新刊買い。
「箱の中の書類」Dセイヤーズ(ポケミス:帯)1100円
なぜ、共作者のロバート・ユースタスの名前が削られたのかは謎。著者名を示さないというのは立派な著作人格権の侵害だと思うのだが、なんとも情けない出版社である。


◆「The Makeover Murders」Jennifer Rowe(Bantam)Finished
週イチ原書レビューもなんとか二桁。発作的に始めて2ヶ月強。なるほど継続は力である。さて今週は、数多さぶらう女探偵の中でも、いま私が最も愛している眼鏡っ娘探偵の登場。「オーストラリアのクリスティ」ことジェニファー・ロウの長編第三作。勿論、探偵役はABC放送のリサーチャー、バーディーことヴェリティー・バードウッド。壜の底のような眼鏡をかけたチビで痩せぎす冴えない女の子がひとたび殺人事件に遭遇するとシドニー警察を唸らせる名推理を展開し、縺れた事件の意外な真相を暴き出す。個人的にバーディーのイメージは「江川晃子」を当てて読んでいるのだが、どんなものであろうか?さて、これまで、農園での家族の事件(「不吉な休暇」)、大出版社での作家殺し(“Murder by the Book”)を手際よく解決に導いてきたバーディー第3の大事件は、美しさを求めてやまぬ女たちの園である合宿制<変身>エステでの連続殺人。こんな話。

ウインザーから車で数十キロ、入江の潟のほとりにその高級美容施設はあった。その名を「ディープデーネ」、経営者はモデルから今の地位を築いた美女マーゴット・ベル。彼女自身の美貌を広告塔として、今や「ディープデーネでの二週間変身コース」はそのコストでも、そのパフォーマンスでも全豪の女性の憧れの的となっていた。そして、その夜も選ばれた「客」のウエルカム・パーティーが開かれていた。キャリアウーマンのエドウィナ、マーゴットの旧友の妹ブリンダ、締まりのない体型と絶望的な髪型をした中年女のジョシー、大柄でその身体を持て余した美女ヘレン、だが、エステのスタッフたちとの和やかな歓待ムードの底に、邪な欲望や悪意や狂気が流れていたことは、会のお開き寸前に全身泥塗れで闖入してきたテレビ・リサーチャー、ヴェリティー・バードウッドには知る由もなかった。事件の予兆は、その夜、図書室に置かれていた一通の脅迫状が告げる。「お前は私がお前の事を知らないと思っているだろう。自分は安全だと思っているだろう。だが、安全な場所など、どこにもないのだ」。果して、それは誰が誰に宛てたものだったのか?折も折、マーゴットの秘書ウィリアムが聞込んだ情報によれば、10年前にウィリアムの婚約者など6人の女性を惨殺した連続女殺人鬼ローレル・ムーンが精神病院での治療を終え、別名で娑婆に舞い戻っているという。そして、その情報を裏付けるかのように、惨劇はセラピー室で起きる。二日目の夕方、カクテルタイムに、エスティシャンのアンジェラにマッサージを頼んでいたマーゴットが、鋏で首を刺され死んでいるのが発見されたのだ。その手口こそ、まさしくローレル・ムーンそのもの!電話に出ないウインザーの警察に見切りをつけ、バーディーはシドニーのダン・トビー警部補にSOSを出す。そして、駆け付けたダンと相棒のミルソン刑事は現場にあった遺留品から、事件がローレル・ムーンによるものと確信し、ある「客」を容疑者として特定するのであった。だが、事件はそれで終わりにはならなかった。増水により陸と途絶した美容施設で、電話は不通となり、停電が起きる。そして暗闇の中で「10人の小さなインディアン」をなぞるかのように、新たな死が忍び寄る。ディープデーネの経営を巡って、マーゴットと対立する共同経営者兼エア・メイク・アーティストのアリスター、マーゴットの寵愛を巡っていがみ合う秘書のウィリアムと、新人マッサージ師のコンラッド、そして、それぞれに怪しげな客たち。錯綜する脅迫と殺人。縺れる叫びと囁き。頼りの警官たちが一服盛られてしまった閉ざされた虚飾の世界で、ありあまる容疑者を向こうにして、バーディーの孤独な推理の冒険が始まる。

いつもながら作者のキャラクターづくりの見事さには唸るしかない。僅か数ページで多彩な主要登場人物たちをヴィヴィッドに描き分ける才能は、ある意味でクリスティーの上を行く。大仰なトリックや、アリバイ工作がある訳ではないが、周到な伏線と通好みのレッド・ヘリングが幸福な読書時間を約束してくれる快作。容疑者を絞り込みながら、最後の最後まで真犯人を隠し通す地力には脱帽する。当節流行のシリアル・キラーを扱いながら、立派にフーダニットに仕上げてしまうところも、本格推理ファンとしては好ましい。随所に見せるユーモアのセンスも上々で、長さを気にさせない作品。第1作、第2作に比べるとやや落ちるものの、コージーと呼ぶには余りに骨太の佳作。どこぞに、翻訳してやろうという意欲のある出版社は出てないものか?


2002年4月26日(金)

◆奥さんにシャンパンを買ってくるように指示を受けたので、寄り道が出来ず 購入本0冊。HMMとSFMの最新刊が出ていたのは昼休みに確認。今月に限っていえば SFMの方が好みかな?さすがに新叢書スタートとなると景気づけもそれなりで エールを送りたくなる。

◆「雪だるまの殺人」Nブレイク(ポケミス)読了
ナイジェル・ストレンジウエイズ登場の著者第7作。早川のブレイクにしては珍しく数年前に復刊されたのでその機会にゲットされた方も多かろう。運がよければまだ在庫があるかもしれない。私の所持本は、例によって「東京泰文社」シール付き。数千円で購入したのであろう。それでも、今まで積読にしてきたのだから、呆れる。まあ、ブレイクはまだ10冊以上積読があるので(つまり著作の半分以上を読んでいないわけですな)、長く楽しんでいきたいと開き直っておこう。さて、この作品は、「ストレンジウエイズのクリスマス」というか「雪だるまと罪の季節」というか実に実に「40年代英国風の殺人」なのである。こんな話。
早春。雪解けの朝。イースタハム荘園の芝生に作られた雪だるまの顔が大きく割れた。そして、当主ヒヤワドの双生児ジョンとプリシラは、そこに見知った人間の顔を見て叫びを上げる。話は二ヶ月前、1940年の新年早々に溯る。前年のクリスマス・イブに荘園で起きた「猫幽霊」事件の解明に、ヤード副総監の甥であるナイジェル・ストレンジウィエズが駆り出されたのだ。だが、彼が妻のジョージアとともに乗り込んだイースタハム荘園は、一人の女性を中心とした奇妙な緊張感に包まれていた。その美女の名はエリザベス・レストリック。当主ヒヤワドの妹である。米国での放蕩は彼女の心身を蝕み、かつて荘園の太陽であった少女は、一族の腐った林檎になりかけていた。彼女の怪しげな友人と精神科医、エリザベスに複雑な思いを抱く一族の次男坊であるすぐ上の兄アンドルー、荘園を静かに運営する総領ヒヤワドの妻シャーロット。そして、ある夜、エリザベスは謎の縊死を遂げる。全裸と薄化粧。背反する物証と、交錯する心証。過去の罪、未来の罠。雪の館に悔恨の念と危険な香が立ちのぼる時、ストレンジウエイズは、忌むべき真相に辿り着き、ただ絶句する。果して、雪だるまから覗いたのは誰の顔だったのか?
中盤からは、謎解き趣味に余り拘泥せず、絶対悪との闘いの様相を呈し始める本格推理小説。子供を狂言回しに使った雪の夜のゴースト・ストーリーであり、名探偵の登場とともに館に死が訪れるコード型の推理小説であり、伝統的な家族と復讐のドラマでありながら、全編を貫く小道具や人物の内面はスキャンダラスなまでに「現代的」な小説である。なんとも愛すべき小説である。英国の好きな人は是非どうぞ。


2002年4月25日(木)

◆関内で御仕事。雨の中一軒だけ、伊勢崎町の定点観測。ゲテモノ買いに走る。
「死の乱舞」薩美幸太郎(リブロ:帯)500円
「殺戮の画集」都呂々笙(創造書房:帯)500円
「メグレ警視の料理」西尾忠久・内山正(東京書籍:帯)900円
「死の乱舞」と書いて「死のランバタ」と読ませるらしい。うほほっ。ブラジル移民によるブラジルを舞台にした、ブラジル移民のハードボイルドらしい。装丁に描かれた美少女がゲテ趣味を煽る。「殺戮の画集」の作者は、昭和30年代に夜這いを題材にした小説を書いた事もあるらしい。どっはああ。この話は、バブル崩壊後の日本を舞台にした裏切りと殺戮のハードボイルド、なのかなあ?なにがなんだかよく分かりまへん。「メグレ警視の料理」はいつか買おうと思っていたメグレを題材にした料理エッセイ。絵がおいしそうです。
◆大阪古書組合のカタログをパラパラ見ていると、光国屋に「まさか」の出物。この本が3000円は何かの間違いであろう。ダメもとで申し込んでみようかしらん。


◆「銀杏坂」松尾由美(光文社)読了
この作者らしい不思議テイストの連作推理。オカルティックな謎に普通の刑事が挑むという基本構成は、作者自身が作中匂わせているように「Xファイル」にインスパイアされたものかもしれないが、作者の生まれた街を写した北陸の地方都市という舞台設定の妙ゆえか、それと言われなければ気づかない程、別物の作品に昇華されている。御見事。
書誌的には、第1作がミステリマガジンに掲載され、第2作以降がジャーロに移ったというのが、なかなかの快挙。EQ時代も含めてこの2誌を渡り歩いた日本のシリーズキャラクターなど果してあっただろうか?
肝腎の内容は、それぞれに工夫を、凝らしてはいるが、謎のサイズも解法も小じんまりとした印象。「しっとりとした」とか「人情の機微に触れる」といった常套句が似合うところをみると、捕物情話あたりが作者の念頭にあったのかもしれない。確かに、題名といい、プロットといい、総て江戸時代に置き換えても、余り違和感のない話が並ぶ。
幽霊が住むアパートでの失せもの捜しを描いたシリーズ開幕編「横縞街綺譚」、
未来予知が出来る女性が自分が夫を殺す夢を見てしまい警察に助けを求める「銀杏坂」、
生霊となって夜な夜なさ迷う男が通り魔の容疑者にされる「雨月夜」、
念動力の少年と受刑者の娘の友情に密室殺人が絡む「香爐峰の雪」、
そして、乗った筈のジェット機から消え失せた男を描いた「山上記」など、宮部みゆきであれば江戸ものに仕立て上げそうなネタばかりである。それだけ、不思議というものが住みやすい時代だったのであろう。結局、今の時代でこの不思議をやろうとすれば、最終的に、この連作を連作たらしめているある「仕掛」を施さずにはいられなくなる。それが残念であり、わたしの好みではない、と申し上げておこう。


2002年4月24日(水)

◆残業。購入本0冊。
◆政宗九さんの掲示板で、シリーズものを切っ掛けに、謎の「本格」論争。何が論点なのか、よく分からんのですが、あたしゃ、ドルリー・レーン4部作なんぞは一編一編が優れた「本格推理」であると同時に「シリーズものとしての本格推理小説」だと思いますけどね。
ちなみに、私は「本格推理小説」を英語で表現するときには、Classical Whodunits と書く事にしております。はい。


◆「抱き人形殺人事件」井口泰子(コバルト文庫)読了


2002年4月23日(火)

◆あ、夕べの「スタートレックDS9」、録画し損ねてやんの。ったく、最近ビデオへの執念が薄くなっていけない。いざとなればCSに入ったり、パッケージソフトで捜したりすればいいかと思うと、根性が湧かないんだよなあ。20年前のビデオ録画を見ても、何が面白いってコマーシャルが一番面白いという事に気がついてしまった今日この頃なのである。そのうち「懐かしのコマーシャル」などというソフトが出てきそうで怖い。これは、古い雑誌についても全く同じ事が言えて、単行本で読める巨匠の連載小説よりも、広告の方が圧倒的に面白いのである。もしも私が宝石だの、新青年だのの傑作選を企画すれば、絶対広告を入れますとも、ええ。
◆古本ワゴンやら新刊書店を覗くが物欲湧かず、購入本0冊。


◆「地獄への追走」島田一男(春陽文庫)読了


2002年4月22日(月)

◆何故か残業になってしまう。「本でも買わなやっとれまへんな」モードで新刊買い。
d「読者よ欺かるるなかれ」カーター・ディクスン(早川ミステリ文庫:帯)760円
何故今ごろ文庫化されなあかんのか?という疑問を抱きつつも、泡坂解説のために購入。カーター・ディクスン名義の中では珍しくポケミスでも版を重ねてきた幸運な本であり、今回の文庫化で狂喜乱舞するという人はいないものと思われる。例えば「バトラー弁護に立つ」を文庫化して、それに併せて「疑惑の影」を復刊する、というのがマニアからも、初心者からも評価される筋の通し方だと思うのだが、正直、一体何を考えているのか判らん文庫化である。まあ、ディクスン名義の中でも出来のいい方から数えて5番目ぐらいに来る話なので、これを機会に広く読まれる事を祈ってはおりますが。あ、もしかして「TRICK」人気便乗の文庫化か??「わっはっは、お前達のやっとるような事は、さくっと御見通しじゃよ」
◆今週読んでいる原書が、面白くて面白くてしょうがない。やっぱりこの作家は固め読みして、ファンクラブでも立ち上げようかな。なぜ、この作家の本が続けて訳されなかったのか本気で不思議になってきた。合宿制のビューティー・クリニックで起きた殺人を眼鏡っ娘の探偵が追う話。さあ、作者は誰でしょう?


◆「突然の余白」佐野洋(角川文庫)読了
たまには日本推理界のご意見番の作品を読んでみべえ、と昨日の安物買いの山からひっつかんで通勤の友にする。佐野洋の作品というのは、欠点はないが華もない、というのが個人的な印象であり、大量に文庫化されて比較的入手も容易なため渉猟心も刺激されないままに現在に至る。おそらく4、50冊は所持している筈だが、書棚の最下段後ろ側という場所に突っ込んであるので何を持っているのか確認するだけで一苦労なのである。閑話休題。島田荘司やら笠井潔が台頭してくるまでは、この人が実作と批評の二足のわらじの第一人者。しかし、作家の資質というよりは、編集者の質を問うような重箱の隅の揚げ足取りばかりが記憶に残っており(「<土地勘>じゃなくて<土地鑑>なのである」とか)、「怖い」というよりは「煙たい」というイメージである。というような事を前提に「お手並み拝見」とばかり読み進んだが、へえー、意外に読ませるではないか。こんな話。
物語は、胃の全摘手術以降閑職に追いやられたサラリーマンと過去を背負った小料理屋の女との心中事件で幕を開ける。男の「人生の余白にちょっとした色どりを添えたいと思い旅に出る」という書き置きは果して遺書だったのか?だが、この死を切っ掛けとして、男の親族たちが次々と同じ毒で殺害されるに至り、事件の様相は一転する。ひょんな事から心中事件に関わった週刊誌記者古河の探索は、やがて心中男とうりふたつの男の存在に行き当たる。人生の余白に描かれた欲望のプロットに朱を入れたのは誰?
フランスミステリを、平易な日本語で綴ったような作品。情緒に陥る事なく複雑な人間関係と毒薬の輪舞をさらりと書き下し、フィニッシュにすれっからしも納得させる捻りを加えて着地を決める。ただ、捜査官が、自分の娘婿とは言え、週刊誌の記者にべらべらと事件の裏側を喋ったりするものであろうか?そのあたりの必然性が見えないのだが、結局作者は、一旦終了した捜査の担当官が他所の管轄の事件にまで出張っていく不自然さよりは、ミステリのファンタジーを選択したということであろうか。


2002年4月21日(日)

◆激烈な二日酔。トイレと寝床を往復しつつ、15時頃まで寝る。記録ですな、これは。
◆復活して、本の雑誌用の原稿をやっつける。でも、まだ今月は原稿依頼を受けていないんだよなあ。不人気につき半年で打ち切りなのかも?
◆夕方、買い物ついでに一軒だけ定点観測。5冊200円のお店で無理矢理拾う。
「再婚旅行」佐野洋(集英社文庫:帯)40円
「旅をする影」佐野洋(集英社文庫:帯)40円
「いろいろな目」佐野洋(角川文庫:帯)40円
「同じ女たち」佐野洋(角川文庫:帯)40円
「突然の余白」佐野洋(角川文庫:帯)40円
正直なところ佐野洋は何を持っていて何を持っていないのか、殆ど把握出来ていない。まあ、帯付きだったので、とりあえず買ってみる。半分ぐらいはダブっていそうな気がするなあ。
◆本日23時半頃24万アクセスに到達いたしました。毎度ありがとうございます。


◆「星売り」草上仁(早川書房)読了