2001年
猟奇の鉄人が選ぶ13の椅子



ぱんぱかぱーん\(^0^)/

さあ、皆様(中でもMoriwakiさん)
大変長らく、お待たせいたしました。
既に恒例となりましたが、
昨年、私ことkashibaが読み散らかした340冊の中から
極私的オモシロ本を勝手に選ばせて頂きました。
あれも入れたい、これも入れたいという思いを振り切り
泣く泣く選んだお気に入りたち。
それでも、12冊には納まりきらず13の椅子となりました。
勿論ここに入っていないと言って、決して面白くないわけではありません。
ここに上げさせて頂いたものは
kashibaが自信をもってお勧めできる作品だという意味にとって下さい。
それでは、いってみましょう!!。

過去2年間は、感想をそのまま引き写すのですが、今年は、改めて寸評をつけてみました。
何かの御参考になれば、幸いであります。



第13位
「ムジカ・マキーナ」
高野史緒(新潮社)

入手困難

天上の音楽を題材に
耽美的波乱万丈天下無双のエンタテイメントに仕立て上げた作者の才能と知性に脱帽。
なんと「頭の強い」作品なのだろう。


第12位
「小説KAPPA」
柴田哲孝(CBSソニー)

入手困難

「ジョーズ」と「ダック・コール」を足して1で割った愛すべき作品。
本当は人に教えず、こっそり「判る人だけ判る本」にしておきたい逸品。


第11位
「病める巨犬たちの夜」
A.D.G(ポケミス)
入手困難

「おれが暗黒小説だ」も捨て難いのだが、こちらのアンチミステリー性をより買いたい。
すれっからしのための、すれっからしによる、すれっからし田舎者フレンチ・アンチ・ミステリ。


第10位
「夏の滴」
桐生祐狩(角川書店)

吐き気がするほど爽やかな少年モダンホラー。
禁じ手なしのアモラルの影から作者のほくそ笑みが覗く。

その夏、世界は終わった。


第9位
「長い腕」
川崎草志(角川書店)


この時代に生まれるべくして生まれた歪んだ悪意のカタチ。
余りにもかけ離れた事件が一本の補助線で異形の真相に収束する興奮。
新世紀の悪所の在処を示した快作。



第8位
「ハイペリオン」
ダン・シモンズ(早川書房)


圧倒的絢爛。
これが大河物語である。
わいわいゆうとります、ハイペリオン、半ばでございます。



第7位
「さよならの値打ちもない」
ウィリアム・モール(東京創元社)

入手困難

こんな昔にこんな凄いミステリが紹介されていたのか、と唸る技巧派ミステリの極致。
この作品のためだけに「クライム・クラブ」揃いを買う値打ちのある傑作。



第6位
「ジェニーの肖像」
ロバート・ネイサン(早川NV文庫)


ロバート・ネイサンを湯水の如く読み散らかした「愛の」1年。
やはり、この作品にトドメを指す。
全ての少女ファンタジーの頂点に君臨する伝説的傑作。
魔の様に甘く切ないメメントモリ。


第5位
「オレンジ党と黒い釜」
天沢退二郎(ちくま書房)

入手困難

天沢退二郎を湯水の如く読み散らかした1年。
とりあえず、キャラクターが賑々しい第1作を右代表でエントリー。
これぞ、世界級のダークファンタジー。
ハリー・ポッター何するものぞ。



第4位
「レキオス」
池上永一(文藝春秋)


天空に魔法陣!地に生足!
時を超え、空間を歪ませ、美しくも黒い弾丸娘は走る。
亜熱帯沖縄を蹂躪する魔術大戦の行方は、ただレキオスの導くままに。
面白さに衒いがない文句なしのハイパーバトルエンタテイメント。
さあ、あなたも大股開きできゃははははははは。



第3位
「グラン・ギニョール城」
芦辺拓(原書房)


本当は「怪人対名探偵」「真説ルパン対ホームズ」も総てランクインさせたかった。

それほどにここ1、2年の芦辺拓は凄い。
こんな短期間に出版してしまうのが勿体無いぐらいに凄い。
1932年のエラリー・クイーンの奇跡を彷彿とさせるといっても過言ではない。
さあ、脂の乗りきった<黄金期>の技巧作をどうぞ旬のうちにご賞味ください。



第2位
「妖異金瓶梅」
山田風太郎(桃源社ポピュラーブックス)


個人的オールタイムベスト10入り確実、著者畢生の名作。
大河小説であり、本格推理小説であり、悪党小説であり、
伝奇小説であり、奇妙な味であり、最上級のエンタテイメント。
こんな小説、どこにもない。
こんな小説家、どこにもいない。
さらば応伯爵!
さらば潘金蓮!
さらば山田風太郎!



改めまして、パンパカパーン\(^0^)/
2001年の第1位!!!!
ああ、やっぱりここは推理サイトでした!!

第1位!!

「銀座幽霊」「とむらい機関車」
大阪圭吉(創元推理文庫)

ああ、私はこの作家を読まずに日本の探偵小説を語っていたことが心の底から恥かしい。
本当にこんな本格推理作家が戦前にいたのか!?と唖然愕然。
幾つかの作品は、アンソロジーで読んではいたが、
これほどトリックやら推理小説の文法にこだわった人だったとは思わなかった。
もう完全脱帽。小林文庫オーナーが惚れ抜いたのもむべなるかな。
「尾張にも探偵作家がいた」どころの騒ぎではない。
「戦前日本にも真の探偵作家がいた!」
と大声をあげてそこら中を駆け回りたい思いである。
この2冊は絶対に買いである。
エラリー・クイーンがこの書の存在を知っていたらQQ入り間違いなしの作品集であろう。
文句なしの傑作!


という訳でした。 さあ、茗荷丸さんとは幾つ重なったでしょう? おしまい

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