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2000年2月20日(日)

◆そうそう、昨日の日記で忘れ物。交換本が到着していたのであった。誰から届い
たかは交換相手のご希望により、特に名を秘す。
d「獄門島」横溝正史(角川文庫:初版)交換
「地底生物マントラ」福島正実(ソノラマ文庫)交換
来た来たあ!角川横溝初版クエスト、これでM5!これに再版についてきた帯を
つければ、ほっほっほ、立派な初版・帯の出来上がりっと。「マントラ」も何故か
縁がなかった本。こういう本は交換に限りますのう。運と運との出会いであります。
◆ブックオフで1冊だけ拾う
「エンド・オブ・サマー」JLラム(講談社:帯)100円
帯の煽りを読むとファンタジーっぽくも見えるのだが、普通小説なのかもしれない。
まあ、100円だし。
◆Uncharted Spaceの10万突破オフに参加するために新宿へ向かう。紀伊国屋
書店で、あれこれと新刊を眺めた挙句に1冊だけ購入。
「墜ちる人形」Hローレンス(小学館文庫)730円
◆ハルク裏の居酒屋に集合。主賓のフクさんに、石井女王様、やよいさん、葉山さん、
無謀松さん、おーかわさん、溝口さん、しょーじさん、CO.鱸さん、チコさん、 ほそみさんが
日曜の夜という設定にも関わらず
集合。私は石井・やよい・葉山・無謀松・おーかわという
濃い一角にいたので、
専らミステリ話。MYSCONの古本オークションの話や島田一男
ほか通俗ミステリ
の話などで盛り上がる。「鷲尾三郎や大河内常平を必死で探すという
のは、今で
言えば勝目梓や西村寿行に大枚叩くに等しい」と思っていたのは私だけでは
なかった
事が証明される。その他、赤川次郎の何が面白い、西村京太郎はここまでは
許せる、
といった実にパンピーなお話、おーかわさんの古本屋バイト話などが記憶に
残って
いる。フクさんに「忍法鞘飛脚」「ブルネットに銀の簪」をお祝い代わりに進呈。
あれこれと古本が飛び交うのはいつもの事。おーかわさんが天虫花を譲ってもらい
式貴士完集。おめでとうございます。やよいさんが喜国さんを取材した信濃毎日の
切り抜きを見せびらかす。石井さんが「この本棚に乱歩が入っている筈」と解説。
何故に、人の家の本棚を記憶している?CO.鱸さんが「これだけは読んでおけ
というミステリーを書いて欲しい」とコースターを回していたのだが、皆さん渋い
所を書き過ぎ。私は堂々と「Xの悲劇」を書いたところ、さすがに「これは読み
ました」と言われてしまった。二次会は、例によってカラオケボックスで歌も歌わず
話し込む。CO.鱸さんの隣になったので専らお相手。はいはい、と話を聞いて
いるだけで時間が過ぎる。日曜の夜なのにしたたか酔っ払って、ちょっとした拍子に
ジョッキをひっくり返すていたらく。無謀松さん、CO.鱸さん、すんまへん。
しかしあれを飲んでいたら二日酔は更にひどくなった事請け合い。ご近所組の
やよいさんと帰りの電車でもひたすら通俗ミステリ話で盛り上がる。帰り着いたら
23時半。明日から勤めがあるとも思えないご乱行の一夜。掲示板で話題になって
いる「二枚のドガの絵」の翻訳者の正体を聞けたのが収穫か。

◆「暁のビザンティラ(上)」菅浩江(ログアウト文庫)読了
掲示板の書き込みに刺激を受けて手に取った残り少ない菅浩江作品。少々イラスト
がオトメチックだったので軽い話なのかなと思っていたが、とんでもなくハードな
設定のSFであった。のっけから遺伝子操作である。16歳の通過儀礼として自分の
ペアとなる動物(メブ)を与えられる人々。しかしその動物を与えられない者もいる。
主人公は亡き兄の行いによってメブを与えられなかった少女カイチス。カイチスは
村を出て、メブを育てる皇帝の「荘園」を目指す。しかし、途中流れ者の甘言に
騙され曖昧宿に売り飛ばされそうになるところを、一人の女性剣士に救われる。
その謎めいた女性剣士ビザンティラに迫る皇帝直属の人獣たち。しかし人獣たち
は何故か彼女に敬意をもって接するのであった。果してビザンティラの負った
宿命とは?「天つ乙女」の伝説は彼女たちに何を告げるのか?といった、お話。
思い切り次回に話を引いたところで上巻は幕。掴みは上々で設定も雄大。もともと
が連載小説なので、各章ごとにひきまくる。後書きまでもが、引きをかます。
というわけで、感想も明日に引くのであった。


2000年2月19日(土)

◆日記、掲示板へのレス、掲示板の修復で気がつくと15時半。うーん、いくら
なんでも時間かけすぎ。ちょこっとだけ新検見川・幕張定点観測。
「ポルターガイスト」Jカーン(角川NV)300円
「カルチャーセンター殺人講座」池田雄一(徳間書店:帯)200円
「転校生」森真沙子(角川ホラー文庫)170円
「真夜中の時間割」森真沙子(角川ホラー文庫)210円
「水晶の夜」森真沙子(角川文庫)170円
「眼のない人形たち」森真沙子(祥伝社文庫)210円
「東京怪奇地図」森真沙子(角川書店:帯)700円
「太陽大爆発 クライシス2050」川田武(学研)300円
「或る『小倉日記伝』・父の系譜」松本清張(新潮社PICO文庫)50円
「青い宇宙の冒険」小松左京・愛川哲也(講談社コミックノベルズ)300円
一番の収穫がコミック版の「青い宇宙の冒険」じゃあねえ。とほほ。ダブリが
ないのがせめてもの救いか。
◆晩飯を食べながら「ジャイアントロボ」の6話・7話をビデオ視聴。これは
よかった!文句なしの傑作でしょう。ついにバビル2世やサリーちゃんや赤影
まで出て来るのには参ったが、横山キャラ総出演もここまでやれば立派。永井豪
がバイオレンス・ジャックでやった「あれ」ですな。ふむふむ。
◆寝転がって「21休さん」の6・7巻を読む。7巻は21休自身の事件。かなり
辛い設定だが、とりあえずのハッピーエンドで安心して寝る。巨乳の女性カメラマン
という新キャラがこの期に及んで登場してきて、実はもっとシリーズを続けようと
いう気持ちはあったんだろうな、と思わせるが、この辺りで「知る人ぞ知る漫画」
として終わっておくのも幸せかも。昨晩「コミックマスターJ」(傑作!)を
読み返していたので、ふっとそんな事を感じてしまった。

◆「大久保町の決闘」田中哲弥(電撃文庫)読了
面白い!挿し絵が上手い!

とだけ書いてやめようか、とも思ったのだが、作者だってしっかり「解説」まで
書いて遊んでいるのだ。少しはお付きあいせねば関西人の名がすたるというもの
である。
前橋本内閣時代の6大改革の内「行政改革」には「中央省庁の組織改革」の一方に
「地方自治」の改革が包含されていた。中央から落下傘的に副知事や総務部長
として送り込まれる自治官僚、あるいは今回の大阪府知事選を例に取るまでも
なくその首長の座さえ、中央からの人的支配を受ける日本の地方公共団体。その
構図を支える源泉は地方交付税交付金という名の補助金である。慢性的に赤字運営を
余儀なくされている多くの地方公共団体はそれゆえまやかしの「自治」を甘んじて
受けいれているのだ。斯くの如き「地方」と「中央」のあり方につきメスを入れる
改革が政治プログラムの中に織り込まれていたのだが、残念ながら現小渕内閣の
下では「景気回復」が最優先事項とされ「地方自治改革」が閑却視されてきたこと
は周知の事実である。そのような現状に対し、田中は兵庫県明石市大久保町という
一地方公共団体のあり方を通じて、我々に問題提起を行っている。「都市開発」
という55年体制以降の政治課題の本質は「豊かでゆとりのある地域社会を構築する」
という美名のもとに、利益誘導型の政治家とゼネコンを中心とする産業のみを潤す事
にあった。しかし、大久保町はこれを潔く拒絶する。そこに広がるのは広大な荒野で
あり、フロンティアである。更にそこに住む住民の自主自律の気風は「安全」につい
ても他の公共団体とは一線を画したシステムを確立せしめている。即ち「銃刀法」の
停止である。これを無法であると笑う事は、パックス・アメリカーナの傘の下で
惰弱な日常をむさぼる「日本人」であることの証明に他ならない。自らの視野狭窄に
気づかぬまま「平和」を当然のものとして受け入れている日本人の偽善を田中の
筆は容赦なく暴き立てる。田中は、大久保町民こそが真に世界市民、即ちコスモ
ポリタンたる資格があるとし、その象徴として町に国連病院を配置する。加えて
田中は主人公に受験生を据える事で、均一な企業戦士育成に機能してきた日本の
教育制度にも一石を投じている。あまりある諧謔と活劇描写に騙されてはいけない。
この書はまさに現代日本への警告の書であり、そしてバブル崩壊の後遺症から未だ
立ち直れずにいる日本の輝かしい再生に向けた最良の処方箋なのである、というのは、
全くの大うそである。なぜ、そんなうそをつくといわれもしょうがない。関西人の血
だと思っていただきたいのである。


2000年2月18日(金)

◆昼休みに出先から神保町へ。
「黄金の街」エヴァン・ハンター(早川書房)700円
d「頭脳破壊」ペドラー&ディヴィス(角川書店)300円
「探偵たちの食卓」前島純子(早川書房)167円
「美神の黄昏」宇神幸男(講談社)167円
「最後の市民」Eグレーザー(早川書房)167円
ハンターは捜すとはなしに捜していた作品。ミステリでないことは分かっては
いるが、やはり気になるのだな、エド・マクとなると。どうやら「ジャズ小説」
らしい。うーん、苦手だなあ。「最後の市民」はナチに呑み込まれていくドイツ
を描いた普通小説。小宮山書店の3冊500円棚で、最後の1冊を何にすべえか
と悩んだ挙句に掴む。カバー絵が悪くないのですよ。一応、早川書房だし。でも
一生読まないと思うので欲しい人がいたら御進呈します。で、3冊抱えて久しぶり
に店内の棚を眺めていると、ちょっといいものに出くわす。
「嫉ける」新章文子(講談社ロマンブックス:署名)800円
寡作でなる女流乱歩賞作家の署名入り(為書きなし)が800円なら文句無しに
買いでしょう。私が古本屋ならば、もう一声行くところだが、まあ安く買えたの
で文句は言いっこなし。
◆就業後、噂のブックオフ目白店へ。地下になかなか広い空間が広がっていて
眺めごたえはあったが、既に「つはものどもが夢のあと」。百均棚にショート・
ショート広場の後期3作とかハウスホールドの「人質はロンドン」、文庫百均に
創元の「タイム・トラップ」などがある程度。既に昼間、新章文子で「ミニ血風」
を出しているので心やすらかにパス。とりあえず名刺代わりに買ったのはこの程度。
d「憎悪の化石」鮎川哲也(角川文庫)150円
「アクーラ・ミッション」大場惑(エニックス文庫)100円
d「スヌーピーのテニス作戦」CMシュルツ(鶴書房)100円
ピーナッツは、所持本が角川バージョンなので買い換え。鮎哲は「もうワンセット」
の一環。よくみたら目立たぬところにおちゃめな印が押してあった。うー、こんな
本はブックセンターあずまのおばちゃんなら50円にしてくれるところだなあ。
ぶつぶつ。
◆帰りがけに高田馬場のブックオフ2店も覗くが、外道一匹。
「ギリシャみやげは死体付き」三枝和子(中央公論社:帯)100円
ジャンル外の作家の手遊び。珍しいといえば珍しい。おばちゃん探偵ものらしい。
ジェシカおばさんマニアとしては見逃すわけにはいかない。ぱらっと見た感じ、
リーダビリティーは異常に高そうである。
◆ナポソロのポケミスカバーが揃ったので、世の中にはどのようなサイトがある
のかな?と久しぶりにナポソロ関係のサイトを検索していくと、おお!あるは、
あるは!中には存在すら知らなかったジュニア版の表紙書影もあってギャフン。
1年前とは随分サマがわりである。これはスヌーピーも同様。シュルツ氏追悼で
スヌーピーブックスリストでも作ろうかと思ったのだが、既に世の中には濃い
収集家がいて2百冊オーダーの国内出版物の書影が殆ど拝める状況なのであった。
うーん、凄いぞ、凄いぞ!!成田氏ではないが、いろいろなジャンルで「幼年期
の終わり」が来ている事に気がつく。それぞれの分野の最強がホームページを
作るためにパソコンを買う時代になっていたのだ。いやあ、恐れ入りました。
でも、ナポソロの書影はそのうちに張り込むぞおお!!
◆若手古本野郎のしょーじさんがHPを立ち上げる。おーかわさんのところや
鏑木さんのところも買う本が一杯あって楽しそうだが、しょーじさんのところも
放出本のコーナーなど侮れないぞ。「お、いいもの、持ってんじゃん」とチェック
をいれた佐々木丸美の「新・恋愛今昔物語」が一晩で消えたのには驚いた。全く
この世界、油断も隙もあったものではない。

◆「湖畔の殺人」F&Rロックリッジ(六興キャンドル・ミステリ)読了
本国の人気に比べ日本ではぱっとせず忘れられた夫婦作家の第2作。世のミステリ
収集家が血道をあげる「六興キャンドル・ミステリ」(通称:キャンミス)の
第5巻。キャンミス13巻中「他で読めない」8巻のなかでは比較的入手が楽、
というのも「人気のなさ」を表しているのかな?しかし、夫婦作家で夫婦探偵と
いうのはこのチームぐらいではなかろうか?推理作家同士で夫婦というのは、
マクロイ&ハリディ、ミラー&ロス・マク、新津&折原、小池&藤田とパラパラ
浮かぶが、夫婦の合作となるとコール夫妻と、このロックリッジ夫妻あたりしか
思い浮かばない。夫婦探偵は、クリスティのトミーとタッペンス、ライスのジャ
スタス夫妻、クエンティンのダルース夫妻、クレインのアボット夫妻、ハメット
のニックとノラ、彬光の百谷泉一郎&明子、赤川の泥棒シリーズ、などが浮かび、
更に時間をかければわんさと出てくるであろう。「スカイジャック」とか「ブルー
ムーン探偵社」のように元夫婦という変わり種もあるぐらいである。どれも申し
合わせたような「友達夫婦」であり、当たり前といえばこれほど当たり前な話も
ないが、<「亭主関白」で実は妻がホームズ><「かかあ天下」で実は夫がホー
ムズ>というようなコンビがもっとあっていいような気もする。もっとも、これは
単に私がもの知らずで思いつけないだけかもしれない。乞、ご教授。
以上、瑣末の夫婦考。
閑話休題。この作品に登場するノース夫妻は、アメリカでは大人気であったそうで
舞台や映画・テレビにもなっている由。映画化作品は41年のMGM作品「Mr.&
Mrs.North」。第1作の「North Meets Murder」が原作
であろう。その好評の最中、上梓された第2作はこんな話。
ニューヨーク州の景勝地ローン湖畔の休暇に臨むNYPDのウエイガンド警部。
現地ではノース夫妻の歓迎を受け、テニス・トーナメントやホーム・パーティに
興じる彼等だったが、一見平和そのものに思われた湖畔で女性殺害事件が起こるや
殺伐たる現実に引き戻される。殺されたのは広告会社勤めの平凡な女性OL。
しかし彼女はひょんな事から莫大な遺産を承継する事が決まっていた。果して
動機は遺産か?しかし、翌日、もう一人の女性が巧妙な手口で焼殺されるに至って
事件は複雑になっていく。2人目の被害者は、自らの美貌を武器に、男たちを
食い物にしながらのし上がってきたやり手のキャリア・ウーマンで、その敵は数
限りなくいる。多すぎる容疑者を前に、果して「本命」の被害者がどちらであった
のかすら分からない事件に挑むウエイガンドとノース夫妻。しかし、惨劇はそれで
終わりではなかったのである、、、
事件がバタバタと起こり、その取り調べに付き合っている内に次の事件が起こって
しまうという気ぜわしい作品。最後には車3台のカーチェイスもあって、そのサービス
精神には敬服する。真相に至る手掛りは、実に「瑣末」で、この辺りもコージーの
お手本的展開である。もっとも大クイーンの「ヨードチンキ」程の論理のアクロバット
が堪能できるという程ではないので過大な期待は抱かないように。ノース夫妻の
探偵ぶりは、今ひとつ。この作品では、作者は「本職」に花をもたせており、
どうも夫婦探偵というよりは、ウエイガンドを含めたチーム探偵と捉えた方が
よいのかもしれない。一応のフェアプレイではあるが、少々レッドヘリングを
ばらまき過ぎ。はっきり言って最後には「誰が犯人でもいいぞ」状態になって
しまう。まあ及第点を与えてもよいが、あまり人が読まない本を読みたい人や
アメリカン・コージー・ミステリの原点を探りたい人が読めばいい作品であろう。

◆うーん、なんか今日は「濃い」なあ。「まだまだ若い者には負けんぞ」という
じじいぶりが出てしまったか?


2000年2月17日(木)

◆体調いまひとつすぐれず、ぐずぐず。それでも古本屋へ行く。
「長い月曜日」Sジャプリゾ(東京創元社:帯)1100円
「俳優」井上雅彦編(広済堂文庫)50円
d「神戸港殺人事件」Jメルヴィル(中公NV)100円
「縄文土偶殺人事件」中津文彦(双葉NV)100円
「ミス・オイスター・ブラウンの犯罪」Pラヴゼイ(早川ミステリ文庫)420円
ふーん、ジャプリゾってこんな本が出てたのね。知らなんだ。まだ現役なんだろうな。
ああ、異形シリーズはそろそろ自分がどこまで買っているかが分からなくなって
来たぞ。「出たら買い」していた頃が懐かしい。ここまで売れ線になるとは誰が
予想したであろうか?
◆帰宅すると、えぐちさんから本到着していた。
「夢の咲く街」森下一仁(コバルト文庫)交換
「架空幻想都市(上)」めるへんめーかー編(ログアウト文庫)交換
よっしゃあ!これで菅浩江・こんぷりーと!!ここに完全収集を宣言します。
で、ついでにえぐちさんの探求書リストがついてきたのだが、うわあ、なんとも
「ピンキリ」なりスト。あまりにも難易度に差があるものが平然と並んでいる。
それはともかく、この探求書リストは探求書リストとして機能しませんぜ、旦那。
ここまでの探求書を書くのであれば差し値をしてもらわないと動きが取れません。
で、とりあえず売約済みでないところから「13の凶器」(背アセ)と「推理文壇
戦後史2」(帯)てなところをお送りいたしまする。ソノラマ海外の19、20は
タッチの差でくりさんのところにお輿入れなのでした。すまん、すまん。
◆自宅オフの詳細案内をようやく発送。申し込んだにもかかわらず、ご案内が
着いていない方はご一報下さい。

◆「水底の顔」田中文雄(朝日ソノラマ)読了
「夏の旅人」「猫怖」「妖髪」「コガネムシの棲む町」に続く作者の第5怪談集。
古本屋で巡り合うまで出ていた事も知らなかった。91年の出版である。値段が凄い。
四六版で450頁以上の本ではあるのだが、2500円はないだろう!!
これは、率直に言って当時の本としては異常に高い。国書刊行会でもあるまいに、
バブルの余韻なのであろうか、千円インスタントラーメンや、百万円電気カーぺット
を彷彿としてしまった。当時は、なんでも高ければ売れたんだよねえ。勿論、私は
100円均一でゲットしております。ありがとう、ブックオフ。
で、値段はともかくとして中身はなかなか宜しい。短編9作と中編1作。それぞれに
趣向が凝らされており、どれも水準をクリアしている。滝原満名義だった頃の作品も
拾われており、作者のファン(いるのか?)なら見逃すわけにはいかないであろう。
とにかく職人作家なので、一言で作風を云々すると痛い目を見るが、まあ怪奇色の
強いものについては「ノスタルジーと純愛の人」という印象がある。もっとも、
心の闇を引き出していくとそこに落ち着くものなのかもしれないが。以下、ミニコメ。
「水底の顔」表題作。最もノスタルジー色の強い作品。失踪した父の故郷に逼塞した
母子が出会った水霊の正体は?「舟歌」の調べに乗って綴られる孤独な者どもの物語。
最後に一ひねりあって楽しめる。
「生首を蹴る男」サッカー奇談。運動部系の鉄拳制裁が招いた怨嗟の悪夢が今に
甦る。導入部の巧みさは、さすが活動屋の面目躍如。オチも怖い。
「魔像を穿つ」牡丹灯篭タイプの古典的怪談が、ラストに思いがけない展開を
みせ、見事に現在なお鑑賞に耐える悪夢譚に化けた。
「蓋のない柩」生理的嫌悪感直撃。解説にネタバレがあるので、先にこちらを
読む事。題名からは「吸血鬼」ものを連想したのだが、違いました。土葬の風習が
ある孤島に秘められた謎とは。きもちわるい。
「森に憩う」純愛を軸にした森林奇談。なぜかタイムトラベルものの雰囲気がある。
ラストが爽やかで救われる。
「かけすと拳銃」この作品だけ滝原名義の頃の作品。兄に支配される弟の姿が
悲愴。活劇的要素も満載で少し作品集から浮いた印象を与える。上手いのだが、
要素を詰め込み過ぎたためいずれも踏み込みが甘い。
「野ざらし」といえば、落語を思い出すのだが、その裏筋を行く話。これも設定
の妙で読ませる。ちょっとエッチ。
「恐竜に出会った朝」バブルな設定。なぜかネッシー怪異譚が「刑事コロンボ」
になってしまう。剣と魔法に推理趣味を持ち込んで読者を呆れさせた作者の真骨頂。
なんやねん!これ。
「ライブ・スクリプト」男女の恋愛と老人の妄執を絡めたホラ話。映画界を舞台
にしており、作者も楽しそうに書いている。結末も笑えるのだ、これが。お勧め。
「猫が出てきた部屋」中編。お得意の怪猫譚だが、作者が後書きで述べているように
<愛すべき猫>が描かれている。しかし、短編の時と文章の密度がガラリと変わる
のには驚く。まさに職人。読後ちょっと幸せになれるかもしれない。


2000年2月16日(水)

◆えー楽志さん。拙い感想をお褒め頂きありがとうございます。kashibaの感想
が仮に面白いとすれば、一に本の選択、二に雑談なんだろうと思います。個人的
には「推理小説は、素で読むのが一番いいのだ!」と信じておりますが、まあ、
「へー、そんな本あったんだ。ちょっと捜して読んでみようかな」というきっかけ
にお使い頂ければこれに勝る喜びはございません。
◆えーGAKUさん。元祖「古本ブルドーザー」は勿論GAKUさんです。最初
に使いまわしたのはおそらく私でしょう。でも、「血風」とか「定点観測」とか
「d」みたく「でふぁくと・すたんだーど」なものですから。いやほんま。
◆初めて掲示板が壊れる。調べてみると原因は容量オーバー。本日からは10M
にアップしたのだが、昨日までの契約容量は8M。タッチの差で僅かながら足が
出てしまっていた。しかし、さして画像を増やしたわけでなし、一体いつの間に?
というのが正直なところ。カウンターに気を取られている内に、かくも容量を
食っていようとは、全くもって「管理人失格」である。破損された部分に書き込み
頂いた方々(末永昭二 さん、キバヤシ@ザ・ワールド さん、早見裕司 さん、
惣坂真夏 さん、奈良泰明 さん、松本真人 さん)には慎んでお詫び申し上げる次第。
尚、幸いにも常連の眞明さんからその部分のログをお送りいただけたので、現在の
ページが過去ログに回った段階で修正させて頂く予定である。眞明さん、ありがとう
ございました。「本を買い過ぎて床が抜けたアパートの管理人」とはこのような
気持ちなのであろう。とほほ。尚、既に容量は充分に確保されているので、従来通り
書き込んで頂きたい。
◆葛西定点観測。収穫らしい収穫なし。
d「ラスプーチン」Cウィルソン(サンリオSF文庫)170円
d「地球人捕虜収容所」KHシェール(創元推理文庫)40円
d「星間パトロール銀河大戦」Eハミルトン(早川SF文庫)40円
d「あるスパイへの墓碑銘」Eアンブラー(創元推理文庫)40円
d「マドモアゼル・ムーシュの殺人」ドムーゾン(講談社文庫)40円
d「袋小路の休日」小林信彦(中公文庫)40円
うー、いかんいかん、買ったからには嬉しそうな顔をせねば、おーかわさんに
叱られる。こんな顔(^0^)。「袋小路の休日」の文庫が欲しくて5冊200円
に手をだしちゃったんだよう。
◆松本氏に冊子発送。膳所氏から本代着。なんと凄いオマケつき。うーむ、世の中
には強烈な同人誌があるのですねえ。ありがとうございました。
◆MYSCONのオークション用古本の登録が始まった、と思ったらもう枠が一杯
なの?完全に出しそびれ。今回は売り子に徹しようかなあ。まあ、碌なダブリ本は
ないので、御一緒に「朝市」でも開きますかね、よしださん?

◆「失踪」高木彬光(講談社ロマンブックス)読了
野球ミステリ再訪シリーズ第2弾。フクさんのところ(10万アクセス、おめで
とうございます!)で色々な野球ミステリが挙がった中には見当たらなかったよう
に思ったが、やはり高木彬光の中でも「神津恭介」以外の探偵、なかんずく百谷
泉一郎は今となっては「忘れられた探偵」なのだろう。妻:明子を「ペリ」なる
愛称(フランス語で「妖精」とかいう意味らしい)で呼ぶ、日本の「メイスン」、
と書いてしまうと、当時の「ペリー・メイスン」人気(なにせ、新作長篇が週刊誌
に連載されるぐらいである)に便乗した安易な造形のように思われるかもしれないが、
作者なりの「社会派推理」用の探偵だったのであろう。せめて「破戒裁判」だけ
でも長く読み継がれて欲しいものである。もっとも、この話は残念ながら、どちらか
といえば、大前田英策か東都新聞向けのド通俗ミステリであった。
大阪のジャガースと東京のイーグルスの天王山。イーグルスの新鋭投手、渡部は
「2年目のジンクス」と噂された今シーズンの不調を吹き飛ばしたような快投を
演じていた。ところが、彼は6回途中で「不調」を訴え自らマウンドを降りてしまう。
しかもそのまま行方不明となってしまうのであった。一方、百谷家には奇妙な来客
があった。「人の命に関わる問題」と泉一郎を尋ねてきた清楚な女性は、しかし
泉一郎が帰宅すると応接間から消え失せていた。再び彼女が彼等の前に姿を表した時、
殺人事件が起こる。被害者は、ジャガース狂の実業家。そして彼女は被害者の姪であり、
同時に失踪した渡部投手の恋人でもあった事が判明する!!野球賭博、企業乗っ取り等、
裏社会のカラクリに呑み込まれる若き恋人達の弁護に立つ百谷泉一郎!!
日本でペリー・メイスンをやろうとするとどうしても無理が出る。この作品でも
法廷に持ち込まれては終わり、とばかりにそれ以前に真犯人を挙げるという構成
になっている。この辺りの逃げ方は、さすが彬光、上手いものである。連続殺人
の真犯人も、消去法で「まあこいつしかいないだろう」と見当はつくものの、それ
なりの工夫が凝らされている。事件の動機が、百谷明子の「異能」によって暴かれる
件も面白い。ただ野球ミステリとしては、「鈍い球音」の壮大さに比べると少々小粒。
角川文庫以降は出版されていない気もするのだが、高木彬光ファンが神津恭介や
霧島三郎や近松茂道を読み尽くした挙句に辿り着けばよい作品といった所か。


2000年2月15日(火)

◆カウンター問題解消!!やっと理由がわかった。このサイトの作成にはホーム
ページビルダーを使っているのだが、これがとことんHi−ho提供のCGIと
相性が悪いようなのである。ホームページビルダーの指示通り作成すると、コー
テーション等が微妙に異なってくるらしい。数値設定も自分で出来るようになった
し、これでいつぶっ壊れても安心である。一気に10万アクセスとか設定も出来
ちゃうぞ(>何が嬉しい?)しぶとくド素人に付き合ってくれたHi−hoの
ウエッブマスターに感謝。ホームページビルダーは「猿でも作れるソフト頂戴」
と言って買ってきたもので、特段の不満もなかったのだが、相性まではフォロー
できないみたいである。
◆カウンターの一件で寝不足かつまだ問題も未解決だったので早めに帰宅。会社
の近所を一軒覗いて済ませる。
「浅草ロック座殺人事件」加納一郎(エイコーNV:帯)300円
「蘆屋家の崩壊」津原泰水(集英社:帯)700円
帰宅するとくりさんからの交換本が到着。
「Ribbon」古神陸(KKベストセラーズ)交換
「星はすばる」金春智子(徳間文庫パステルシリーズ)交換
松本さんから交換冊子到着。ああ、こちらからも出さねば。
「創元推理コーナー8」(東京創元社)交換
「SFと怪奇・冒険解説目録」(東京創元社)交換
居ながらにしてあれこれと変なものが集まった1日であった。

◆「おせっかいな潮」ESガードナー(ポケミス)読了
トレーラーでアメリカ中を放浪する奇矯な犯罪愛好家ウィッキンズじいさんを
探偵に据えた作品。もう1作「けむるランプ」にも登場するらしいが、なぜこの
探偵をもっと使ってくれなかったのか!と作者に詰め寄りたくなるぐらい面白かっ
た。ガードナーの読み残しも、メイスンやクール&ラムではないという理由で後回し
にしてきた作品が数作ある程度なのだが、ここへ来て傑作にぶち当たった。
ヨットで発見された老実業家スターンとその若き友人ライトの射殺死体。実業家に
製品を売り込まんとしていたセールスマン:シェールは、そのヨットから海中に
落ちた女性を、近傍に浮かぶもう一隻のヨットの主である女性ジョーンとともに
助けたのだが、そこでこの死体に出くわしたのである。海中に落ちた美女ニータは、
援助を受けていたスターンをヨットに尋ねていったところ死体を発見しショックの
あまり気を失って海に落ちたのだと証言する。事件を担当するサンタ・デルバラ郡
の地方検事デュリエは、大事件に奮い立つのだが、その彼の家を新妻ミルドレッド
の祖父であるウィッキンズが尋ねてくる。無類のミステリマニアであるウィッキンズ
は、おせっかいにも、石油採掘の利権や複雑な遺言が絡む事件の調査に乗り出す
のであった。
一癖も二癖もある関係者を配置して読者を翻弄する著者一流のストーリーテイリング
に酔う本格推理。トレーラーで放浪の旅を続けるウィッキンズは作者自身の夢を
体現した人物なのであろう。類い稀な観察力と抜群の行動力で奇手を次々を打って
義理の孫の捜査を手助けする姿は実に頼もしい。クライマックスで女性用の水着を
着用したまま犯人と格闘するといった「変人ぶり」も堂にいっている。また題名にも
なっている潮流についての推理は、メイスンものの最上作を思わせる内容であるが、
それだけに留まらず、怪しい関係者のアリバイくずしにも思わず手をうつ。淑やかな
新妻の化けの皮が剥がれていく件も爆笑もの。ホンキイトンクなお笑いと綿密に
組み上げられたプロットが嬉しいノン・シリーズの収穫であった。たとえガードナー
がこれ1作しか残さなくても、知る人ぞ知る佳作としてミステリ愛好家の記憶に
残った事であろう。お勧め。


2000年2月14日(月)

◆うーむ、なんとカウンターの故障は、私のチョンボだとのレスが帰ってきた。
ショック!これまで3回の問い合わせでは、そういう指摘を受けなかっただけに、
一体あれはなんだったのだ?と不思議になってしまった。とりあえず、新しい
カウンターをおいてみる。とほほ、お蔭で夜更かしだよ。新しいカウンターに誤り
がなければ、また0から始めるのも一興だけど、なんとなく割り切れないよなあ。
いっそ、松本楽志さんのように、カウンターを外してしまうというのも潔くていい
のかもなあ。
◆南砂町定点観測。
「ほら話しゃれ話USA」井上一夫編(集英社文庫:帯)50円
「殺しのトリックプレイ:殺人球場」新宮正春(講談社Jノベルズ)100円
「続・映画版スケバン刑事:風間三姉妹の逆襲」(講談社)100円
d「ブロードウェイの探偵犬」小鷹信光編(大和書房:帯)100円
今日こそはボウズを引いたかと思いきや、最後に柱の影から出物発見。大和書房
の小鷹アンソロジー5冊の中で、文庫落ちしていない2冊の内の一つをゲット。
しかも帯付き、値段は100円。嬉しゅうございます。井上一夫のジョーク集も
初見。まだまだ世の中には見た事もない本があるものだ。

◆「ぶたぶた」矢崎存美(広済堂)読了
昨日、ブックオフで出会ってしまった作品。第2作に感銘を受けて、よし!第1作
も新刊で買うのだ!と思っているところに見つかっちゃうんだもんな。まあ、これは
「早く読め」という神の思し召しと考えて、本日のお供に連れて出た。ご存知かとは
思うが、この第1作は表紙が凄い。ぶたぶたの大アップである。いっかな私が
恥知らずでも、これをむき出しのまま電車で読む事はできない。慌ただしい朝の時間
せっせと書店の紙カバーを掛けて出ていく。ところが読み出すと今度はニタニタが
止まらない。これは参った。第2作では刑事役を務めたぶたぶただが、この第1作では、
ベビーシッター、タクシー運転手、パソコンの営業マン、フランス料理のシェフ、
ホームレス等など色々なものに扮して登場する。そしてその先々で彼(?)は関わる
人々を幸せにしていくのだ。ピンクのぶたのぬいぐるみが人間以上に人間的な話を
始める時、「奇跡」は起きる。どこまでも微笑ましく、どことなく懐かしく、どこにも
いないようで、どこにもいる、そんな山崎ぶたぶたの綴る物語は、きっと日常に疲れた
貴方の心も溶かしてくれる。敢えて分類すればファンタジーなのだろうが、そんな
定義を無効化してしまう「ぶたぶた」パワーに溢れた不思議小説。早く読んで楽に
なっちゃいなさい。以下ミニコメ。
「初恋」ぶたぶた登場編。ぶたぶたが子供の扱いにかけては天才的な手腕を発揮する
ことを証明する。ラストは胸きゅんものである。そして題名も。
「最高の贈り物」不登校児の心を開くぶたぶた。とぼけていながら全部知っているという
コロンボはだしのぶたぶたがいいんだわ。
「しらふの客」爆笑編。ぶたのぬいぐるみがタクシーの運転手をやっているという図だけ
で、可笑しさが込み上げて来る。そして更に笑いはエスカレートしていくのであった。
絶対電車の中で、読んではいけない。
「ストレンジガーデン」個人的にはこの作品集のベスト。ぶたぶたシェフ編。若い弟子の
尊敬ぶりがなんとも微笑ましい。主人公ともどもそんなぶたぶたに説教されてみたくなる。
「銀色のプール」家出少年とぶたぶた。家出のルールと説いて聞かせるところがなんとも
世慣れたぶたのぬいぐるみである。
「追うもの、追われるもの」私立探偵にぶたぶたの追跡を頼んだ女の正体が意外。
これもお笑いの要素が強いか。
「殺られ屋」痛い話。特にラストにかけての捻りはお見事。思わず登場人物に
頑張れ!と声をかけたくなる作品である。
「ただいま」少しいつもとは毛色の変わった作品。果してここで語られるのが
ぶたぶたの過去なのであろうか?その分、ウエットに心に沁みる。
「桜色をさがしに」フィナーレは、ぶたぶた関係者の共演。ぶたぶたに関わって
幸せになった人たちが出会う時、きっとぶたぶたは現われる。もっと幸せになれる
よう、もっと強くなれるよう、そら!ぱこっとドアが開く。


2000年2月13日(日)

政宗九さんのサイトの箴言に一言。うーん、私の場合、今押さえておかないと
読めなくなるという「恐怖感」が、古本買いの原動力である。そのために一生かけ
ても読めないかもしれない本を買っている。確かに自分でも少しいき過ぎている
とは思う。しかし、積読が怖くて本買いはできない。だから開き直ってしまおう。
私は「積読一代男」なのである。キャッチフレーズは、
「積読一万年」
って、やっぱり威張る事じゃねえか。
◆「タイムレンジャー」第1話を見る。30世紀の未来の特撮がお粗末。敵の
スケールが小さい。でも紅一点がアニーを思わせていいぞ。もう少し見続けて
みよう。
◆「仮面ライダークウガ」第3話を見る。うひゃー、ビデオ収録だったのね。
やっぱり特撮はフィルム収録でないと違和感だなあ。主人公の妹の保母さん役
が可愛い。こちらももう少し見てみましょう。
◆日記や掲示板へのレスで半日以上潰れる。昨日、時間的に回れなかった鎌ヶ谷
大仏の2店を定点観測。まあ、これといったものはない。
d「愛の輪舞」Vホルト(角川文庫)200円
d「深き霧の底より」SRテム(創元NV:帯)250円
「アイドルは名探偵」井上ほのか(コバルト文庫:帯)40円
「あこがれは上海クルーズ」佐々木譲(コバルト文庫)40円
「バイク物語−白の章」石井敏弘(コバルト文庫)40円
「バイク物語−青の章」石井敏弘(コバルト文庫)40円
d「2095年の少年」横田順彌(コバルト文庫)40円
「映画版スケバン刑事」(講談社)200円
「甦る幻影城2」(角川書店)450円
d「世界スパイ小説傑作選1」丸谷才一編(講談社文庫)100円
「挑発」Cプラット(富士見ロマン文庫)100円
d「ネロ・ウルフ対FBI」Rスタウト(光文社文庫)100円
「怪しい人々」東野圭吾(光文社:帯)100円
「虹を操る人々」東野圭吾(実業之日本社)100円
「ヒート:地球が熱くなる日」Aハーツォグ(ダイヤブックス)100円
「ぶたぶた」矢崎存美(広済堂)700円
VホルトとCプラットが少し珍しいところ。コバルトは佐々木作品が欲しくて
後の4冊は5冊200円にするための帳尻合わせ。「甦る幻影城」は索引欲しさ。
改めて眺めてみると「幻影城」という雑誌の凄さが分かる。マニア冥利に尽きる。
ブックオフで、書店に注文しようと思っていた「ぶたぶた」が見つかってしまう。
思い切り葛藤した挙句に籠に突っ込む。御免!(<誰に謝っている?)
後はマンガを1冊。
「放課後には魔道師:学園編」くら・りっさ(ラポート)100円

◆「この闇と光」服部まゆみ(角川書店)読了
技巧の極致。装丁からして普通のミステリとは異なる事が伝わってくる。なんと
お洒落な装丁か。一体どこまでがカバーでどこからが帯なのか?白い本の上に黄色い
カバーがかかり、更に黒の帯がかかる。おそらく日本ミステリ史上最大の帯であろう。
その帯に「この小説の結末は決して誰にも話さないでください」とある。このキャッチ
は一体誰が始めたのであろうか?クリスティーのロングラン戯曲「ねずみとり」の
カーテンコールで、必ず役者がこの台詞を言うのは目の当たりにした事があるが
果してその前にもあるのかな?少なくとも、このキャッチによってこの書が、語り
自体に罠の仕掛けられた小説である事がばれてしまう。なんともメタなネタバレで
ある。しかし、この作品にはその程度のネタバレをものともしない強さがある。
物語は、レイアなる女の子の1人称で始まる。いずことも知れぬ王国の幽閉された
盲目の姫君。ひたすら彼女に愛と知識を注ぐ王。そして彼女を憎んでいる世話役の
ダフネ。プゥという熊のぬいぐるみだけがレイアの友達。暗闇の中で、父から与え
られる知識を吸収していくレイア。やがて、12歳に達した彼女が「女性」の徴を
迎えた時、楽園に崩壊が迫る、、、
全く本格推理ではない。あえて勝負をすれば、作者の騙りをどこまで先読みするか
であるが、そのような読み方は無粋というものであろう。半ばまでのゆったりとした
童話の如き物語が変容する様は、まさに騙りの万華鏡。ツイストにつぐツイストに
酔う事必至。しかしある意味で、これも「日常のミステリ」なのである。その日常が
尋常ならざるものであっても、謎はほらそこにある。そして静かなラストも感動を
呼ぶ。作者のファンならずとも是非読んでおきたい佳作であるといえよう。


2000年2月12日(土)

◆この日記は13日の朝に書いていますので、ここで告知致します。3万アクセス
記念企画のオフ会は申し込みを締め切らせて頂きました。計11名の参加予定です。
うち、10名が小林文庫さんの10万突破オフ参加者。つまり今回は小林文庫10万
突破オフの2次会という事になりました。大胆にも世間さまに向けて「ねえ、
うちこない?」と声をかけるという凄まじい企画でありましたが、どうやら平穏
に推移しそうです。お申し込みを頂いた方々には、改めてご案内を差し上げます。
(うちに来た事がない方は3名!うーん、TDL並みのリピーター率:笑)

◆昨晩から調子の悪かったカウンター。どうやら本格的に壊れた模様である。
前回は1万アクセス記念企画の最中に潰れたが、今回も3万アクセス記念!と
銘打っている時期にこれだ。かなり頭に来て、朝一番でウエッブ・マスターに
メールを送る。まあ、週明けにならないと返事はないであろうが。とほほ。
◆「埼玉・千葉古本狩りツアー2日目」
8時過ぎに起床して昨日の戦果を床に広げる。よしだ氏も愛車へわざわざ本を
とりにいき、夫々が冊数を数えるさまは、さながら輪島の朝市。結果は、昨日
記載の通り。土田氏は、手持ちを断念して「送り」にすべく、ダンボール詰めに
勤しむ。水が美味い。少し前夜のアルコールを持ち越した体に鞭打って、千葉攻め
に向かう。成田街道はいつも通りの込み具合で、第一目的地「ブックオフ八千代
大和田店」到着は10時20分。広い店内と均一コーナーの充実ぶりが嬉しい
お店。早速、店内に散る4名の古本コマンドー。よしだ氏が単行本の100均
コーナーで鷲掴みモードに突入しているのを横目で見ながら文庫・新書コーナー
を撫でていく。「これは、土田氏が拾うだろう」とチェックを入れながら眺めて
いったところ、ほぼその通りの展開になって笑えた。彩古氏は、またもや人が買わ
ない領域で勝負をかけている。kashibaの釣果は以下の通り。
「ハリスおばさんに花束を」Pギャリコ(早川NV文庫)100円
「少女伝説・桜子」丹内友香子(ケイブンシャ・コスモティーンズ)100円
d「エアロビクス殺人事件」エドワーズ&ペンズラー(早川NV文庫)100円
「石の剣」久美沙織(新潮文庫)200円
「舞い下りた翼」久美沙織(新潮文庫)200円
「青狼王のくちづけ」久美沙織(新潮文庫)300円
「ウルフヘッドの誕生」林友彦(創元推理文庫)100円
「ネバーランドのカボチャ男」林友彦(創元推理文庫)100円
林友彦はこれで揃ったのかな?久美本はよしだ氏おすすめ。見かけない本では
ないものの、思い立ったが吉日である。人の忠告は素直に聞いた方がよい。
◆モーニングコーヒーを飲んで、第2地点へ。道を一本誤り迷いかけるが、
店の看板で救われる。ブックセンターあずま八千代店、いとう系列の店舗は2階建て。
本の状態は今ひとつだが、チェーン店にしては珍しく値引きしてくれたりする。
ここでは彩古氏が血風級(らしい)を最後に拾う。
「T型フォード殺人事件」広瀬正(集英社文庫:帯)140円
「エロス」広瀬正(集英社文庫)140円
d「西の反逆者」Fセイバーヘーゲン(早川SF文庫)140円
d「黒の山脈」Fセイバーヘーゲン(早川SF文庫)140円
d「アードネーの世界」Fセイバーヘーゲン(早川SF文庫)140円
d「小鼠ウォール街を撹乱」Lウェバリー(創元推理文庫)50円
d「小鼠月世界を征服」Lウェバリー(創元推理文庫)50円
d「ルパン対ホームズ」Mルブラン(角川文庫)50円
d「水晶の栓」Mルブラン(角川文庫)50円
「妖女・死人の家:ロシアの怪奇名作」武田武彦編(偕成社)50円
「この闇と光」服部まゆみ(角川書店)650円
とりあえず広瀬正を揃える。ウェバリーは前日はパスしたのだが、50円だと
拾いたくなる。角川のルパンはM1。この2作とも水谷準訳ではない。あとは
「奇巌城」の訳者が分かれば、やよいさんの質問に答えられる。服部まゆみは
うっかりしていたら本屋でもみかけなくなってしまった作品。実はこの中では
一番嬉しい収穫。
◆3軒目は、同じチェーンの三山店に向かう。降りるなり他の3人は「さっきの
店に戻ってきたの?」と尋ねる。それほどにみてくれが似ている。「また、値引き
してくれるかな?」とよしだ氏。ここではワタクシ的に嬉しい拾い物。
「ルナティカン」神林長平(光文社文庫:帯)160円
これで、光文社文庫の神林をコンプリート。あとは読むだけ。
d「シャドウアイズ」Cプタセク(創元NV)210円
「妖夢街の影男」朝松健(双葉NV:帯)300円
「白仮面と赤い魔女」朝松健(双葉NV:帯)300円
「幻獣戦記」朝松健(中公NV)300円
後はマンガを少々
「パンドラ」明智抄(朝日ソノラマ)200円
「バースデイ」MEIMU・鈴木光司(角川書店)300円
「紅色魔術探偵団」山田章博(日本エディターズ)450円
彩古氏が「人から頼まれた」とダーティー松本を拾っていく。この買い物を人に
頼むかな?いやはや。
◆4軒目は、私のお勧め店。今回の企画には絶対この店を入れようと思っていた
実籾駅前のT書店。鄙には稀な折り目正しいお店である。一見、リサイクルショップ
風の作りなのだが、オタクから文学愛好家まで楽しませる渋い品揃えで、一行も
楽しそう。よしだ氏が、じっくり腰を据えてしまうが、結局何も買い物をしなかった。
しかし、古本者の期待に何かしら応えてくれそうな雰囲気がとても良いのだ。
買ったのは、彩古氏から渡された
「遠い星から来たノーム1:トラッカーズ」Tプラチェット(講談社:帯)800円
既に本屋にはない童話だそうである、非常に立派な本。後は、
「スペクター」Sローズ(創元NV)280円
d「金色の魔術師」横溝正史(少年少女講談社文庫)100円
童話サイズの「金色の魔術師」は表紙絵の金田一耕助がなかなか良いイメージ。
これは拾いもの、ってこれも彩古氏に拾ってもらったんだけどね。
◆この段階で既に2時過ぎ。4時には上がりたいというよしだ氏の要望があった
ので、デニーズで遅めの昼食をとって(4人のうち3人が昨日と同じメニューで
ある)高根木戸へ向かう。途中で、土田氏が宅急便で本を発送。いやあ、よく
あのサイズを引き取ってもらえたものだ。
5軒目は、やはり「いとう」系列のブックスーパーこばやし高根木戸店。ここも
広いが、本が綺麗なので、上級者には買うものがない。ただ覚えたての作家を
発掘するには適した本屋である。よしだ氏が「猿の惑星」のTVシリーズのノベラズ
を拾って喜んでいる。土田氏は相変わらず快調に抱えている。荷物が無事に送れた
安心感か?いずれにしても凄すぎ。私が拾ったのは1冊のみ。
「崑崙遊撃隊」山田正紀・田辺節雄(講談社コミックス)300円
さあ、次はいよいよオーラスだ!
◆本日6軒目、2日の旅の終わりはブックオフ高根木戸店。通常サイズのブック
オフだが時々面白いものが出る。それをまんまと土田氏が攫っていった。サンリオ
SF文庫の人気作「パヴァーヌ」100円。「土田さん、大血風じゃない!」と
彩古氏のぼやき。「オットー」に始まり「パヴァーヌ」で締めるかあ。なんとも
羨ましい展開。「いやあ、沢山買うからですよ」とは御本人の弁だが、それだけ
の問題ではない。kashibaは完全購入記録のためだけに、なんとも気合の入らない
買い物を少々。
d「完全殺人を買う」松本清張編(集英社)100円
「企業脅迫殺人連鎖」松村喜雄(大陸NV)100円
「殲滅遊戯:アミューズメント・ポイント」福本義裕(大陸NV)100円
「緋色の館」図子慧(小学館キャンパス文庫)100円
かくして、走行距離190キロ、2日に渡って繰り広げられた古本バトルは終幕。
家の近くでおろしてもらい、帰宅したのが午後4時半。部屋の片付けと昨日の日記で、
後の半日を費やす。土田氏談「いやあ、1年分の買い物をしてしまいました」
「嘘つけ!!」と全員の突っ込み。「あ、読む方ですよ」「納得!」
二日間で回った店舗数18店、kashibaの購入した本の冊数121冊。
いやあ、抜群のドライビングテクニックで2日間頑張ってくれたよしださんを
はじめ皆さんお疲れ様でした。よし!次は、ブックオフの総本山神奈川だ!
(って、いつやんねん?)

◆「トム・スイフトの宇宙冒険1:宇宙植民都市」Vエイブルトン(サンリオ)読了
これも旬の読書(一体どこが「旬」なんだか?)サンリオのもう一方のジュビナイル
シリーズ「時間と空間の冒険」は最近入手するまで存在さえ知らなかったが、トム・
スイフト・シリーズについては「あ、出てるなあ」程度の認識はあった。しかし
加藤直之マニアでもない自分にとっては無縁のシリーズと割り切っていた。それが
ここへ来て書痴達の探究熱に火がついてしまうのだから、世の中何が起こるか分から
ない。「マイナーを残せ」とは然り至言であろう。宇宙開発を推進するコングロ
マリット「スイフト社」の御曹司にして、知力・体力に優れた18歳の青年トム・
スイフトを主人公に据えた丁寧なつくりのジュヴィナイルSF。第1話では、スペース
コロニー「ニューアメリカ」を舞台に、歪んだ科学者の野望を打ち砕くトムと
その友人ベンの活躍が描かれる。物語の冒頭、レース用宇宙艇の爆発事故で虚空に
投げ出されるトム。宇宙艇の破片がコロニー衝突コースに入ったために救助を受けら
れぬ
まま、僅かに残った空気を推進力に用いて命からがらコロニー外壁に辿りつく。
しかし、
その事故には恐ろしい秘密が隠されていた。コロニーの副長官を務めるグロッツ
博士の開発した新技術に欠陥があったのだ!しかもその技術は、太陽系調査隊の
ロケットに採用されようとしていた。このままでは大事故が起きてしまう!
果してトムは、その証拠を掴む事ができるのか?忍び寄る黒い影、青年たちの友情、
血湧き肉踊る宇宙レースに向けて運命の歯車は回り出す、さながらコロニーの
回転に合わせるように。
よくできたジュヴィナイル。主人公の境遇が恵まれ過ぎているために、最初は
抵抗を感じるが、子供の頃はそういった主人公にこそ感情移入しやすいものなのだ。
「権力者の陰謀」を「科学」の力で暴いていくというプロットはアメリカ産娯楽
作品の定番か?つっぱり美女との交感ぶりにも思わず拍手を送りたくなる。
トムの父親との因縁がある悪役、という設定にはキャプテン・フューチャーとウル・
クオルンを彷彿とした。コロニーの設定も当時の最先端の知識で丁寧に書かれて
おり、なかなかよろしい。あと、加藤直之ファンは、絶対に買い。メカといい、
キャラといい加藤調を堪能できる。再評価にも納得がいく作品である。


2000年2月11日(金)

◆ついにその日がやってきた。埼玉・千葉古本狩りツアー!水面下で進行していた
連邦のV作戦が遂にその正体を現したのである。よしだまさし氏の車で、私と
よしだ氏の双方が埼玉と千葉の古本屋を案内し合うというスーパー企画。ただで
さえ本を買いまくる主催者二人組に、なんと!SF古本界の若獅子:MZT氏@
書物の帝国、幻想ブルドーザー:土田氏@幻想文学館、そして古本大魔王:彩古氏
までが参加するという、まさに埼玉・千葉焦土作戦ともいうべき悪魔の企画である。
◆ツアーの幕開きは、本日オープンの古本市場保木間店@足立区。午前9時半に
東武伊勢崎線「竹ノ塚」駅に集合したkashiba、MZT氏、彩古氏、土田氏の4人は
よしだ氏運転のワゴン車に乗り、一路目的地に向かう。現地到着、9時40分。
既に行列が出来ているがその殆どがゲームソフト狙いの客、我々の敵ではない。
そう!集まった5人にとっては「敵は身内」なのであった。ガラス越しに中の棚を
伺う彩古氏の鋭い目付き。既に最初に落す棚を絞った模様。開店と同時に店員に誘導
される羊の如きゲーム客を尻目に書棚に急ぐ5人の書痴たち!しかしその戦果は、
はかばかしいものではなかった。kashibaの釣果は以下の通り。
「東欧SF傑作選(下)」ネスヴァードバ他(創元推理文庫)200円
d「加田令太郎全集」福永武彦(新潮文庫)95円
「ミーカがミーカ、トラブル・メーカー」大原まり子(コバルト文庫)95円
「銀河の夢」星敬編(コバルト文庫)95円
「ビッグタウン」Cハワード(近映文庫)200円
「夜霧のマンハッタン」Mオーウェンス(近映文庫)200円
「別冊奇想天外:吾妻ひでお大全集」(奇想天外社)410円
d「うるさい宇宙船」高井信(コバルト文庫)95円
この戦場で、一番の釣果は土田氏の「オットーと魔術師」。やるのう。
◆2軒目は、駅から古本市場に向かう途中目に付いた、普通の古本屋。ここでは
楽しそうにポケット文春を狩るよしだ氏が印象的。早々に本を見切った彩古氏は
パンフレットを購入。kashibaの買い物は2冊。
「ホメロスの殺人方程式」小峰元(講談社:帯)100円
「宇宙からの侵略:アトランティスからきた男2」Rウッドリー(評論社)100円
◆埼玉県草加市に入って小さな古本屋を覗く。いかにも街の古本屋といった店構え。
よしだ氏から「ホルトのリーダーズダイジェスト、いらない?」と1冊手渡される。
中身をみると「マリー・アントワネット」の生涯を描いた小説の一部らしい。
うーむ、と唸るが、折角なので買う事にする。
「リーダーズ・ダイジェスト名著選集」Vホルト他(リーダーズダイジェスト)100円
「V2:ビジターの逆襲Part1・2」Kジョンスン(勁文社:帯)各300円
◆4軒目は古本市場の草加店。二階部分に巨大なスペースが広がっている。
しかし、広いだけ、という印象も若干あり。棚の整理が悪く、よくいえば楽しめる
が、やたらと時間を食う。ここでもよしだ氏が「これ、珍しいよ」と赤井秀和主演の
香港映画の原作SF

「猫」衛斯理(徳間文庫)200円(「猫」の偏は豹偏)
を手渡される。自力では、丸美本2冊プラスアルファーを拾う。丸美本は安田
ママさん用。
d「水に描かれた館」佐々木丸美(講談社:初版帯)450円
d「風花の里」佐々木丸美(講談社)590円
「はるかなる旅路」横田順彌(大陸書房ネオファンタジー文庫)200円
d「死を呼ぶクイズ」幾瀬勝彬(春陽文庫)95円
ここでは、眉村卓を大量にゲットするMZT氏が印象的。
◆5軒目は午前中のメイン・イベント。なかなかの品揃え。彩古氏がRアーサー
のジュヴィナイル推理をゲットしたのに続き、各々がそれなりに買い物。
d「ザ・スクープ」クロフツ、クリスティ他(中央公論社)400円
「悪の捕物帖」佐賀潜(光文社カッパNV)200円
「禁断のあぶない学園」森奈津子(スーパーファンタジー文庫:帯)100円
「強殖装ガイバー2:第三の影」早見裕司(徳間AM文庫)200円
d「幽霊は淋しがりや」速水あこ(ケイブンシャコスモティーンズ:帯)100円
「ぬばたまの呪歌」霜島ケイ(小学館キャンパス文庫:帯)200円
「邪神は嗤う」霜島ケイ(小学館キャンパス文庫:帯)200円
「闇常世」霜島ケイ(小学館キャンパス文庫:帯)200円
「探偵神宮寺三郎:邂逅の街」齊藤竜也(ケイエスエス)450円
「これが特撮だSFXだ」池田憲章(広済堂豆たぬきの本)100円
彩古氏はついでに甲斐バンドの写真集などを買い込んでいる。なんたる趣味の
広さ!撤収後、デニーズで昼食。4人揃って、期間限定のランチメニュー、ハンバーグ
500円也を頼む。なんとも本以外には金をかけない連中である。
◆昼食後、6軒目はブックオフ。こじんまりした作りながら2階部分を上手く
使っており楽しめる。食後の腹ごなしには丁度よい。
d「ハンサムな狙撃兵」Cエクスブライヤ(教養文庫)100円
d「並木通りの男」Fダール(読売新聞社)100円
「探偵ボーズ21休さん:7」新徳丸・三浦とりの(少チャンコミックス)200円
デザート代わりには程よい分量。ああ、やっと21休さんの6巻が読める。
結構ないのだ、この最終巻が。こういう店でも土田氏はざくざく掴む。少年向けの
怪談集も厳しくチェック。
◆ぐるりと回り込むルートを描いて、越谷駅前の「本だらけ」に到着。バラック建て
の2階部分に広がる書棚。上がり口に「あなたの古本屋のイメージを変える!」と
いう挙句が書かれていたが、成る程濃ゆい。ここで7軒目。
「翡翠の戦士」Jロード(創元推理文庫:帯)150円
これは、紙魚の手帖狙い。4号をゲット。後17部。道は遠い。
d「死のリフレイン」Jマイルズ(創元イエローブック)150円
d「ステージの悪魔」Jケインズ(創元イエローブック)150円
「ひと夏の迷い子たち」竹内志麻子(コバルト文庫)50円
これにて緑背の竹内本はコンプリート。
「東の海神、西の滄海」小野不由美(講談社X文庫:帯)250円
「花闇を抱きしもの(上)」霜島ケイ(小学館キャンパス文庫:帯)250円
「花闇を抱きしもの(下)」霜島ケイ(小学館キャンパス文庫:帯)250円
「マヨイガ(上)」霜島ケイ(小学館キャンパス文庫:帯)250円
「マヨイガ(中)」霜島ケイ(小学館キャンパス文庫:帯)250円
「マヨイガ(下)」霜島ケイ(小学館キャンパス文庫:帯)250円
「影喰らい」霜島ケイ(小学館キャンパス文庫:帯)250円
「夢埋みの郷」霜島ケイ(小学館キャンパス文庫:帯)250円
「紅蓮天女」霜島ケイ(小学館キャンパス文庫:帯)250円
「まほろばの狩人」霜島ケイ(小学館キャンパス文庫:帯)250円
「追儺幻抄」霜島ケイ(小学館キャンパス文庫:帯)250円
「桜一夜闇千夜」霜島ケイ(角川ASUKAノベルズ:帯)350円
霜島ケイを一気買い。10巻以降をあまり目にしなかったので、高値掴み覚悟
で買い込む。あとで直ぐ後悔する事となる。
「おとうさんがいっぱい」三田村信行(フォア文庫)150円
「殺しの弔鐘」島内透(広済堂NV:帯)200円
d「アタック作戦:続・電撃フリント」Bストリート(ポケミス:映画カバー)450円
つい映画カバーにひかれて、割高な本を買い込む。初めて映画カバーを見たの
だからしょうがない。「おとうさん」は土田氏のお勧め。「これですよ」と教えて
もらう。小野不由美のゲームエッセイ本をゲットして貫禄をみせていた彩古氏が
とうとう竹内志麻子に手を出す。50円の魅力には抗いがたいものがある。
◆8軒目。よしだ氏が最もお勧めの店に向かう。ブック・マーケット北越谷店。
ここは均一コーナーが大充実。店内の音声広告の文句までブック・オフそのまま
なのはご愛敬だが、新書には古いものも目につき、まさに古本者のパラダイス!!
一同は歓声を上げつつ獲物を抱えて通路を行き交う。
「メカニック」LJカーリー(二見書房)100円
d「花嫁人形」佐々木丸美(講談社)100円
d「ながれ星」佐々木丸美(講談社)100円
「グアム−東京3時間15分」宗正明(双葉NV大判)100円
「シャム兄弟のひみつ」Eクイーン(鶴書房)100円
「深夜の目撃」佐賀潜(文華新書)100円
「会社泥棒」佐賀潜(東京文芸社)100円
「黒い会社」佐賀潜(東京文芸社)100円
「小説法律入門」佐賀潜(徳間書店)100円
d「まちがえた番号」Mルブラン(創元推理文庫)100円
d「ショートショート劇場4」(双葉文庫)100円
d「妖魔の宴:フランケンシュタイン編1」(竹書房)100円
「狙撃者のメロディー」高原弘吉(春陽文庫)100円
d「飛行船の上のシンセサイザー弾き」難波弘之(文化出版局ポケットメイツ)100円
「天国にそっくりな星」神林長平(光文社文庫)100円
d「ザ・スクープ」クロフツ、クリスティ(中央公論社)100円
佐賀潜が一気に増える。「えいやあ」で掴んだが、帰宅後確認すると1冊もダブりが
なくてラッキー。「ながれ星」の100円は上出来。光文社文庫の神林はこれで
リーチ。久しぶりの前進に感動する。ここでの心残りは、つい先ほど250円で
買った霜島ケイが百均に結構並んでいた事。無念。「ザ・スクープ」を再度拾う。
100円となれば致し方ない。
突然、彩古氏から「これ、珍しいよ」と1冊の本を渡される。
「武侠小説」岡崎由美他(賓陽舎)500円
車中で話題になっていた中国武侠小説のガイドブック。なんとこの本を出すために
出版社を作ったという珍本。通常の流通には載らない本との事。勉強しよう。
彩古氏自身は某スターの本を抱えセドリに余念がない。MZT氏は山田正紀が
リーチとなった模様。支払時に襷のように回していたよしだ氏のポイントカードに
着々とポイントが刻まれていく。
◆引き続き「ブック・マーケット」の岩槻店へ向かう。そろそろ買い疲れが出て
きており、街道沿いの小振りの店はすっ飛ばす。9軒目でも納得の品揃え。
「続々マッシュ」Rフッカー(角川文庫)100円
d「忍法鞘飛脚」山田風太郎(角川文庫)100円
「宇宙兵物語」今日泊亜蘭(早川JA文庫)100円
「ナイト・ゲーム」名木田恵子(MOE文庫)200円
「あまい死の匂い」加納一郎(秋元文庫)100円
「600万ドルの男:殺人クリスタル」Mケイディン(三笠NV)100円
「600万ドルの男:UFO、宇宙救出作戦」Mヤーン(三笠NV)100円
遂に「600万ドルの男」完集!!三笠ノベルズ全体でもリーチ!これは嬉しい。
「宇宙兵物語」も「ナイトゲーム」も人からのお勧めをうけほいほい買い込む。
快調、快調。通常であれば、既に荷物の重さに耐え兼ねているところ。ああ、車は
便利だ!
◆10軒目は、古書展で見覚えありとの事で小ぶりの店を訪れる。ごく普通の
店だが、中にはよいものもある。
d「タンブーラの人形つかい」竹本健治(徳間NV・MIO:帯)100円
d「“魔の四面体”の悪霊」竹本健治(徳間NV・MIO:帯)100円
この辺りから、kashibaの各店パーフェクト購入が話題になりだす。いわれて
みれば、全店で大なり小なり買い物をしているのは私一人だけであった。おお。
◆とっぷりと暮れ果てた中、これもよしだ氏が「ちょっといいお店」という店
に寄る。これで埼玉を最後にする、という事であったが、ここで彩古氏、土田氏に
血風が吹きあれる。詳しくは夫々のご報告を待とう。
私は蚊帳の外で、ちょぼちょぼ拾う。確かにいいお店である。均一台といい、
普通の棚といい、実に味のある品揃え。
d「螺旋階段」MRラインハート(早川ミステリ文庫)150円
d「ヴォスパー号の遭難」FWクロフツ(早川ミステリ文庫)150円
d「聖女が死んだ」Cエアード(早川ミステリ文庫)150円
d「バレンタインの遺産」Sエリン(早川ミステリ文庫)150円
「戸川純の気持ち」月刊宝島編集部(JICC)200円
凡そ漁り終わって外で出た処で、よしだ氏が「おーい、皆あ、ここにHMMとSF
アドベンチャーが3冊100円で並んでるぞおお」と全員に注意喚起。どれどれと
覗き込んでEQFC用に3冊を確保。
d「HMM283:EQ誕生50周年記念号」(早川書房)
d「HMM287:『密室』大特集」同上
d「HMM192:本格探偵小説特集」同上、3冊100円
都合埼玉で11軒を回り、高速に上がって一路我が家に向かう。
◆高速を降りたところで、道に迷いかけるが、なんとか正しい道へ。途中、津田沼
で、今日の打ち止めに1軒の店に立ち寄る。ここは、奥行きの広さが度肝を抜く
ものの、品揃えは今ひとつ。それでも、MZT氏と土田氏はなにかしら買い物を
する。私も完全購買記録が掛かっているために、ほとんど無理矢理買う。
「死の誘い」Kチャールズ(創元推理文庫:帯)350円
「伊豆大島殺人火山」浅川純(大陸NV)250円
浅川純が未見だったので発作的に手が出てしまった。これがなければ記録は止まって
いただろう。
◆5人で我が家で宴会。手を洗って、シャンパンで乾杯。よしだ氏、土田氏は初訪問
につき、本棚を楽しんで頂けた模様。彩古氏は「少年探偵」を手に取って中身を
確認。「これはやはり買わねば」と決意を新たにしていた。
軽くつまみをつつきながら、本の交換会。既に車中にて、頂いていたのは、
「背徳の召喚歌」朝松健(二見書房:ベルベットロマン)土田氏より
「トム・スイフトの宇宙冒険1:宇宙植民都市」エイブルトン(サンリオ)MZT氏より
d「お嬢さま大戦」森奈津子(レモン文庫)同上
「グースカ夢見る問題児」森奈津子(レモン文庫)同上
更に、よしだ氏から交換本とお土産本をどさっと拝受。
「ぬはは殺人者」中原涼(アルゴ文庫)
「ナポレオン・ソロ10:空飛ぶスラッシュ」Pレスリー(ポケミス:写真カバー)
「漫画アクション増刊 がんばれ!!タブチくん2」(双葉社)
「CHECK」、「天狼」3号・4号、「NUME」2号、
「HORIZM」9号、「THE REVENGE OF WOOD-SMOG」
ああ遂にポケミスのナポソロの写真カバーが揃った!!嬉しいいい!!

土田氏と即席交換で、以下を頂戴する。

「モンスターメーキャップ大図鑑」中子真治(講談社X文庫)
「肉感春売人ニュース活人事件」桑原譲太郎(徳間NV・MIO)
ありがとうございます、ありがとうございます。
11時過ぎにMZT氏が帰宅の途につく。後の4人は夜中まで古本談義に花を
咲かせ、2時過ぎに翌日に備え睡眠。
結局、その日に買った冊数は、MZT氏:98冊、kashiba:86冊、土田氏:114冊
彩古氏:39冊、よしだ氏:51冊、5名で計388冊であった。
土田幻想ブルドーザー強し!!
◆寝る前にメールを開けると、「わ!」また凄い人からメールが届いている!!
大変、大変。ぶたぶた。

◆「幻の馬」ボワロー&ナルスジャック(偕成社)読了
今が旬、と掲示板で話題になっているボワナロのジュヴィナイルを手に取ってみた。
待ち合わせ場所までの車中で読み切らなければならない、という制約もあって
軽い読物をと思ったのだが、どうして、なかなかよく出来た「オカルト・ミステリ」
であった。主人公であり探偵役を務めるのは弁護士の息子フランシス。その明晰な
頭脳から、仲間からは「サン・ザトゥ」(切り札なし)と呼ばれる高校生である。
彼の家は名家であり、かつては別荘代わりに使っていた城に多くの財宝が陳列され
ていた。しかしその財宝は、大戦中に失われてしまったという。今や維持費に追われる
彼の父は、城を売りに出す。人出に渡る前に思い出に浸るべく、城に逗留する
フランシスは、管理人夫妻とその養子ジャンと旧交を温める。しかし、その城には
最近ある怪異が起こっていた。毎夜、姿なき馬が中庭に現われその跡を残していく。
果して、それは中世の城主の持ち馬の亡霊なのか?伝説の背景を追うフランシス。
やがて暴力事件と謎の消失事件が相次いで起こり、フランシスはその知力と体力の
限りを尽くして、亡霊と陰謀に闘いを挑むこととなる。
シンプルなプロットが嬉しいオカルト・ジュヴナイル・ミステリ。本当にボアナロなの?
というのが第一印象。子供向けに書かれたものであるため、文章が非常に簡明で歯切れ
がいい。加えて、ストーリーにも贅肉がなく、読者の興味 を引き付けて放さない。
本格推理として捉えると、ややアンフェアとの謗りは
免れまいが、それでもこの圧倒
的な面白さの前には許されてよいのではなかろうか。

読んだ子供を推理小説好きにする名編といえよう。