コンピュータ犯罪捜査官受験体験記
H12.2.3、警視庁コンピュータ犯罪捜査官の採用試験に行ってきた。
応募条件が厳しくて、生年月日が昭和35年4月2日から昭和48年4月1日まで、
高度情報処理技術者(マイコンを除く)または技術士(情報処理または情報工学)で、かつ
民間等で5年以上の有用な職歴を持っていないと応募すら出来ない。
申し込み期限は1/28で、情報処理技術者試験発表日が1/31だったが、
ネットワークスペシャリストに合格していることにして応募書類を
取り寄せる。応募説明には、「各種別の資格・経験の基準は平成12年2月
13日(第1次選考日)現在とする」「第1次選考通貨者は、第2次選考日に
資格を証明する書類を持参する。」となっていたので、資格も何とか
大丈夫であった。
第一次選考日、警視庁17Fの大会議室に連れて行かれる。
300人以上入れる広さだが、受験番号は1〜13までで、うち2人が
欠席している。女性は0名だった。
大会議室では、全く休む間も与えられず、直ちに住所や連絡先を指定の用紙に
記入することを命じられる。書き終わらないうちに、身長、視力、色覚、聴力
検査を行うところへ連れて行かれる。という感じで、「警視庁についてから
まずトイレに行こう」などと考えているとそんなことは出来ないと考えて
おいた方がいい。
身体検査が終わり、連絡用紙に記入を終えると1日の予定が発表される。
まず、最初は経験小論文(40分)である。論文の題名は正確には覚えていない
が、「あなたが関わったコンピュータネットワーク構築、運用したシステムに
ついて説明し、運用開始後、どのような問題が起きて、どういう対策を施した
か?」というような内容である。23字×55行の横書き原稿用紙に記入する。
私は、「メールサーバを立ち上げたけど、第三者中継にあったので、その対策を
あとから追加した。」という論旨で書いておいた。
次に教養考査。30問90分間で、マークシート選択式である。
一般教養を問う問題で、「室町幕府について正しいのはどれか?」「ドイツ諸都市
の説明で正しいのはどれか?」「白樺派の説明で適切なのはどれか?」といった
のが出題されたが、完全に忘却の彼方の世界で全然分からない。全体的にいえる
のは、数学と社会科の出題が多くて、英語は1問だけだった。
ここで、昼食となる。試験官から「トイレ以外はこの部屋から出ないように」
と指示される。弁当を忘れた人は試験官に地下にあるという食堂に連れて行か
れる。私は弁当持参だが試験官監視の下での食事はおいしくない。
次に専門考査(選択式)がある。
40問を60分で答える。難易度は情報処理2種午前レベルである。
一番笑えた問題は、OSI7層をいくつか穴を開けてあって、正しい穴埋め
の組み合わせ答える問題で、下から3番目に「トランスポート層」と書いて
ある。問題そのものが間違っているので正解を出すことが出来ないのだが、
トランスポート層は下から4番目で、下から3番目は穴にしたかったのだ
というように読み替えて答えておいた。
情報処理試験と違う点は、perlについての問題があったのと、Intel/HP
共同開発中のIA-64アーキテクチャを採用するCPUの名前を問う問題が
出題されていたことくらいである。
次は専門考査(記述式)である。
3問を90分で解く。でも内容はネットワークスペシャリスト午後1より易しい。
第1問が、電子メールの第三者中継の被害にあったので、その対策を
どうするかという内容。午前の論文で書いたことをもう一度書いた。
第2問が待ち行列理論。
一言で言えば、M/M/1が2つある場合とM/M/2の場合の平均待ち時間の公式を
だせばいい問題だが、M/M/2の公式は覚えていなかった。この2つのどちらが
待ち時間が長いかは知っていたので、その大小関係は答えることが出来た。
第3問が、IPスプーフィングに関する問題がでたが、詳細は良く覚えていない。
いずれにしても悩まずに答えられるレベルの問題だった。
最後は一般論文(60分)
「コンピュータ犯罪捜査官になったら、どのように職務に臨むべきか?」
というようなテーマだったと思う。原稿用紙はやはり23字×55行である。
市民の幸福な生活に役立っていることをアピールした方が良いとか
適当に書いておいた。
一次試験は、はっきりいって高度情報処理技術者試験の中でも
ネットワークスペシャリストにとても有利な内容だった。そして、
3月上旬に一次試験通過の知らせがきた。
3/11二次試験に行く。
二次試験参加者は4人である。
今回は到着直後13Fの小さな会議室に連れて行かれる。
例によって直ちに書類の記述を指示される。祖父母の死去した日、死因を
書く欄があるが、そんなの分かるわけない。後日FAXしろと言われる。
書いている途中で、健康診断に連れて行かれる。採尿、採血、心電図、
体重(一次試験のときは身長だけだった)、胸部レントゲン、問診など
を行う。
次に口述試問を行う。「新聞は何を読んでいるのか。」「ギャンブルは
しないのか?」「法の華は知っているか?」というようなことを聞かれる。
それが終わって、しばらく書類記述を続ける。そして口頭試問になる。
「公開鍵暗号方式と共通鍵暗号方式の長所短所をそれぞれ説明してください。」
「共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式の仕組みについてもう少し詳しく
説明してください。」
などの質問が来るが、それ以外はあまり技術的質問は無い。
あとはこれまでの経歴についてで、UNIXよりWindowsNTが得意なこと、
メールの第三者中継の被害はあっても、ホームページ改竄にあった
経験は無いこと、などを言っておく。口頭試問、口述試問ともに
「事件が起きると24時間勤務で捜査にあたらなければなりませんが、
自信ありますか?」と聞かれて、「自信持てません」と答えておいた。
前の会社で、24時間勤務を何度も繰り返して35歳〜40歳になる
と例外なく不整脈になっていく上司の姿を見て今の会社に転職したと
いうことがあるので、コンピュータ犯罪捜査官になるのは辞退する
ことにし、警視庁採用センターに連絡を入れた。