言いたい放題・日美の映画評論〜映画タイトルさ行〜


13ウォーリアーズ

【寸   評】

 可もなく不可もなく…魔物が襲ってくるということでどんな魔物なんだろう、とその正体に一つの関心が集まると思うのだが、これがまあ、お粗末…というか、ネタばれさせるほどのことはないので書かないが、あまり期待しない方がいいと思う。
 中世の雰囲気を漂わせているこの種の映画としてはやはりダントツで「スリーピー・ホロウ」がオススメ。
 別に今回の映画は無難に見れなくはないが、このジャンルを見尽くしている人にとっては変わり映えのないお馴染みのパターンで物足りなく感じるのではないだろうか。


13F

【内   容】

 1937年のロスを再現しようと、とある高層ビルの13Fにおいて、コンピュータによる最先端技術の研究が密かに進められていた。
 ボスであるハノン・フラーの厚い信頼を受け、次期後継者として最有力者であったダグラス・ホールは仮想現実を創作しようと研究に研究を重ねていた。
 そんなある日、フラーが何者かに殺害される。翌朝、目覚めたホールは身に覚えのない血だらけのワイシャツを自分の部屋のゴミ箱に見つける。証拠は揃い、ホールは容疑者にされるが、不思議なことに彼はこの間の記憶が全く欠如していた。
 いったい何故なのか…殺害されたフラーの娘だという謎の美女ナターシャが現れ、やがて彼は現実世界の真実を知る。

【寸   評】

 「マトリックス」+「ガタカ」/2をマイルドに仕上げたスタイリッシュ映画とでも言ったらいいだろうか。近未来を描いたこの手のおしゃれで大人の鑑賞に耐えうる(夏休みにお子様とご家族でどうぞ、といった類いのものではない)内容は私の好むところである。
 「Xメン」は他の寸評で読ませて頂いた限りでは、内容的に子供向けらしいのでどうも見る気がしなくなった。今回も実は悩んだ末、「Xメン」をやめて、こちらのビデオを観ることにした。「Xメン」を観なかったのは正解か不正解か分からないが、ひとまずこのビデオを手に取ったのは正解だったようだ。
 過去と現在を往復するので設定はややこしいが、その分よけい謎めいて物語の中へ引きこまれていった。
 「現実と思われるこの世界もひょっとすると仮想空間に過ぎないのかもしれない」という発想はまさに「マトリックス」と共通しているが、「マトリックス」は仮想世界を操る悪との限りなき戦いとそのスピード感によってスリルを生み出しているのに対し、「13F」は主人公やその他の人々とともに仮想世界の存在と関連する謎を解き明かしていくところにスリルを求めつつ、真実を悟った主人公やその他の人々の驚愕、戸惑いといった心情も前面に押し出している。
 作品としては、映像や、まとまりあるストーリー性など総合的に「マトリックス」が上だと思うが、人々の心の動きなど「13F」には別の魅力が多く詰まっている。過去におけるセピア・カラーのような味わい深い映像、そして近未来におけるそびえ立つ高層ビルや過去の仮想空間へ通じる機械装置などの映像対比もなかなか凝っている。
 そして、何よりもクレイク・ビアーコとグレッチェン・モルのそれぞれが現実と仮想空間での複数のキャラクターをとびっきりの名演技で演じ分けていた。


13デイズ

【寸   評】

 政治的背景を緻密に描き、近代のアメリカの実話をスリリングに表現している。第三次世界大戦にならざるを得ない事態を回避させた緊迫の13日が見事な脚本で再現されていた。
 知らなかったキューバ危機の真実を知ることが出来たことは勿論だが、3人の政治家のそれぞれの考えがリアルに伝わって、その信頼関係や人間関係や、彼らの心の葛藤が緻密に描かれていて、ケビン・コスナー主演の中では久々の大作だと思う。ラストの表向きはアメリカ万歳ではあっても、それだけでは終わらない何かを伝えたい、という想いがじわじわと伝わってくる。
 映画を一つの娯楽と捉えた上で大衆向きのシーンをしっかり設けつつ、最後には本当の勝利とは何かということを考えさせる形でしめくくっている。
 ふと、思えば、アメリカはこの若さで大統領としての重い責務を立派に果たし、また、任せる側も、若い者にいさぎよく道を譲っているが、日本の政治家は、耄碌しそうなお爺さまばかりがしがみついている。…ちょっと情けなくなった。


ザ・コンテンダー

【寸   評】

 ネタばれになってます、、、

 副大統領の地位を巡る陰謀。法廷シーンや策略などなかなか見所満載なのに、結局はレイン・ハンセンの過去のスキャンダルは事実無根だったでは、あまりにも説得力に欠ける。
 いっそのこと、スキャンダルは本当で、でも男性なら許せる、見逃す過去を女性だからと言って許さないのは偏見ではないか、という路線を貫き通すべきではなかったか。
 無実であるという設定にしてしまった以上は、確かにレインがその事実を最後まで隠し通さなければこの物語は成り立たない。では、何故それほどまでに追いつめられ、スキャンダルにまみれ、世界中の人にテレビでそれを流されたあげく、汚い女だとののしられながら、じっとひたすら耐えてまで、自分の無実を隠し通して主張しなかったのか、もっと納得の行く説明がなければ折角の攻防戦も意味が無くなってしまう。
 寧ろ、最後まで真実を不透明のまま終わらせるという手もある。個人的にはすっきりしないのは好きではないが、このケースに限ってはまだその方が違和感を防げただろう。
 サスペンスで言えば、連続殺人と謎で攻めたあげく最後の動機は単なる精神異常者だったと言っているのと何ら変わらない。ということで私の評価は3と手厳しいかもしれないが、動機付けも理由もこだわらない、という人にとっては策略渦巻く攻防戦はまずまずの見応えではないかと思う。


ザ・ハリケーン

【内   容】

 11歳だったルービン・カーターは、白人を刺して金の時計を盗んだ容疑で少年院へ送られる。全くの濡れ衣だったがペスカ刑事は、普段から黒人に対する偏見に凝り固まっていた。
 カーターはついに脱走を図り、軍隊に入る。自分の体を武器にする術を学んだ彼はプロボクサーとしての夢を見いだす。軍隊で培ったボクシングの才能を開花させた彼は、ヨーロッパのライト・ウェルター級チャンピオンに二度輝く。
 いよいよプロとしてデビューしようとした矢先、故郷のパターソンで運悪く警察に捕まってしまう。
 少年の頃脱獄した後の残り10ヶ月分の服役を終えて出所したカーターはようやく1961年にプロデビューを果たし、“ハリケーン”の異名をとる圧倒的強さで王座を手にした。
 ところが黒人で前科者のカーターがスターダムにのし上がったことに対し苦虫を噛みつぶす思いで見つめていた宿敵のペスカ刑事は周到な陰謀を張り巡らせ、アリバイのないカーターをまたもや無実の罪で起訴する。
 1966年、終身刑を言い渡されたカーターはすべての欲を絶ちきった中、自伝を書き続けた。
 この自伝を古本屋でたったの25セントで手にしたレズラーは幼少の頃の自分と酷似した彼の人生に深い共感を覚え、手紙をしたためる。
 その手紙はカーターの心に一条の希望の光をもたらし、レズラと彼は強い信頼の絆で結ばれる。
 レズラは、差別と偏見から才能がありながら満足な教育を受けられない黒人を救いたいという心あるカナダ人たちの元で暮らしていた。
 カーターとレズラの思いは、この3人のカナダ人達の琴線に触れ、彼等が立ち上がった時、黒人差別による不当裁判の実体を暴くための闘いが始まる−。 

【寸   評】

 カーターが黒人の少年レズラと信頼関係を深めていく過程の描写が秀逸。
 一つのクライマックスであるカーターとレズラの出会いに至るまで、映像は克明にカーターのこれまでの人生を描写し、彼の自伝を手にしたレズラの日々読み進む物語がやがてそれに追いつき、重ねられていくよう構成されている。これが観ている者を自然に話の中へと引き込んでいく。
 最後がハッピーエンドなので、黒人差別という重いテーマも受け入れやすくなっている。
 緊迫感をはらみつつ暖かい人の心が“和み”と“感動”を与えてくれた。
 特に少年レズラと出会った直後にカーターのしたためた手紙や、カナダ人からの贈り物を手にした折、白人に対する憎悪に覆われていたカーターの警戒心がとけていく様子、又、すべての希望を断ち切って日々過ごしてきたカーターが外界に触れていく中でついに一言「もう耐えられない」と本音を口にした瞬間等は涙を誘った。
 最後の裁判の様子はもっと敏腕の弁護士によって語られ、ペスカ刑事がやりこめられればすかっとしただろうが、これが実話の裁判結果なのだろうから仕方がないだろう。
 普通、この手の内容では裁判が何回もあって、それが見せ場となるところだが、親子ほども違う黒人同士の心のふれあいに焦点をあててここまで観る者を引きずりこんだ手腕は大したものだと感心した。
 久しぶり内容だけで勝負できる映画に出会った。


サボタージュ

【内   容】

 ビデオ映画。「マトリックス」で素晴らしい演技とアクションを見せてくれた女優のキャリー・アン・モスがFBIの女性捜査官を歯切れ良く演じている。
 その他は主演を含めて、超一級の俳優が出演しているわけではないが、内容的に見るとかなりの優れ物。
 元海軍の特殊部隊にいたビショップは、内戦下のボスニアで捕虜4人の救出作戦に失敗し、CIAのトランダーによって不名誉除隊を命じられた。
 現在はボディ・ガードを務めている。が、軍事産業家のトレントを護衛していたにもかかわらず何者かによって、彼が射殺されてしまう。
 この捜査を担当することになったFBI女性捜査官のキャッスルは、ビショップの協力を得て、捜査を進めていく。
 ビショップの手柄により割り出した射殺犯シャーウッドは、奇しくもボスニア内戦時代に捕虜4人を射殺、ビショップをも撃った宿敵であった。
 特殊部隊にいた頃からの敬愛すべくフォレンファント教授から得た情報を元に、背後に隠された事実を暴こうとするビショップ。シャーウッドを雇っている人物は?その人物が全ての鍵を握る黒幕なのか? 

【寸   評】

 劇場で公開されてはいないようだが、サスペンスフルに満ちたストーリー展開と黒幕が誰かという謎が解き明かされるラストまで、久々に切れのいい、緊迫感に満ちた映像を楽しめた。
 近頃の映画では意外な犯人、どんでん返しというのは出尽くした感があって、“意外な”と書くことでかえって予想がついてしまうかもしれないが、それにしてもよく計算された構成だと思う。
 敢えて難を言えば、キャッスルの子供が誘拐されてしまう場面はお決まりのパターンであるし、そこから脱出するシーンはあまりにあっけなく容易すぎた。しかし、銃撃シーンなども迫力があって、これぞ掘り出し物を掘り当てたという気がした。
 その意識からか、多少採点は甘くなったかも知れないが、4.3〜4.5としておく。


60セカンズ

【寸   評】

 出来の悪い弟の為に大勢の友人を犠牲に、巻き添えに、自らをそこまで犠牲にするだろうか、という疑問は残る。
 しかし、予告で見たときにはただのカーチェイスかと思っていたので、スピード感、緊張感をそれなりにストーリーとうまく絡ませて表現出来ていると思う。
 動機付けの薄さを無視すれば予想以上に楽しめた。


シャフト

【内   容】

 にぎわうバーの前に、黒人の男が頭から血を流し死んでいた。早速手段を選ばず問題を解決することで有名なシャフト刑事が駆けつけ、目撃者である女性が目で教えてくれた白人の男性ウォルターを逮捕した。
 しかし、犯人ウォルターは最大の権力を誇る不動産王の息子だった。彼は父の手を借り、国外へ逃亡するが、2年後に舞い戻ってきたところをシャフトに再逮捕される。
 ちょうどその頃、麻薬組織を追っていたカルメンと共に、組織のボスであるピープルスを公務執行妨害という名目で逮捕することに成功していた。そこでピープルスは初めて出会ったウォルターに目をつけ、うまく利用することを考える。
 一方、ウォルターの裁判の判決はまたもや保釈、シャフトは白人優遇、金と権力にのみ動かされる不公平な裁判に憤りを覚え、警察組織から離れる決意をする。そして、いつしか一本の糸につながりつつある、ウォルターと麻薬組織を率いるピープルスを独自に追い続けていく。

【寸   評】

 うまくヒットすれば「007」のようにシリーズ化を目論んでいるのか、テーマ音楽が抜群におしゃれで恰好よかった。(和久井映見さんのアルバムによく似たイメージの曲があって驚いた)クールなサミュエルの様子もばっちり決まっていた。
 ただ「007」の幾つかのストーリーにも見られるように展開がテレビ映画的なレベルにとどまっていたように思う。
 観ているときは、深く考えず、どのような展開になるか結構のめり込めた。だが、観終わって考えると、本来なら父親が不動産王で判決を操れるほどの力を持っていて、設定に麻薬組織まで登場させてくるのなら、もっと大きなスケールで描くことが出来なかったのかと少々物足りなさを感じた。
 お決まりのパターンを回避させようとしたのかもしれないが、結末もかえってあっけなく終わってしまったように思えた。とはいえ、テレビ映画、ビデオ鑑賞用としては十分楽しめる。が、劇場へ行って観るほどのことはないかもしれない。
 サミュエルはいつも太鼓判を押せる演技を披露してくれるが、ウォルター役のクリスチャン・ベイルも表情一つで何を考えているか分かる、実にいい演技を披露していた。他にも彼出演の映画を観てみたい、そんな気分になった。


ジェヴォーダンの獣

【寸   評】

 フランスのジェヴォーダン地方に実際に起こった残虐かつ不可思議な事件を大胆な解釈で映画化しているのが本作品である。
 まず一番に思ったのは、邦題の付け方が失敗ではないか。英語タイトルも原題になぞる形でつけられており、半分ネタばれさせてしまっているタイトルで、インパクトも弱いし、決していいとはいえないのだが、邦題だけ何だか毛色が違うことは確かだ。
 「獣」という響きは確かにインパクトはあるが、「ハンニバル」など最近の映画界ではえぐい内容が流行していることから、大概の人は「獣」そのものの映像への期待と恐怖に満ちた連続殺人が起こるに違いないといった判断をしてしまうのではないだろうか。
 この映画は残虐さにスポットを当てているのではない。(殺された後の目を背けてしまう映像が一箇所あったけど)
 「獣」という比喩表現された物の本当の正体は何なのか、この18世紀におけるフランス人の上流階級に渦巻く争いや支配される村人達の想いを描きたかったのだろう、また、もっと深く描けば更に素晴らしい映画となっただろう。 2時間18分もの長い時間を費やして、細部にまで行き渡る非常に丁寧な描写はなされているが、もう少しテーマを絞ればせめて100分程に収められた映画である。
 ロマンスも取り入れなければ、アクションも取り入れなければ、宮廷での生活ぶりも…と欲張りすぎた感がある。
 その中でもラブシーンが長いので、次第に「獣」は全然襲ってこないぞ、と待ちきれなくなる。(とは言え、中だるみしてしまうことはないと思う)
 一つの場面が長すぎるので、「トラフィック」とは言わないが、もっと頻繁にシーンを切り替えればまだ、テンポが速く感じられたかもしれない。
 内容的には実際にあった殺人事件の実態を思わぬ結論に導いていく辺り、よくひねりが効いているし、瀕死の状態を救う薬などの小物の登場もシェイクスピア劇(イギリスだが)を思わせる。
 脚本次第でもっと密度の濃い物に仕上がったに違いないと思うと残念でならないが、フランスならではの中世という時代背景をよく描いており、一方でフランスにしてはハリウッドに引けを取らないアクション(カンフーの手さばきも見事)が盛り込まれており、評価する点は多い。
 邦題の「獣」は一つの比喩であると認識(獣の正体はエイリアンみたいに恐ろしく俊敏で恐ろしく強いのか等という間違った期待をしないこと)することと、恋愛シーンが少々長いということを承知しておけば、後半の話の展開には成る程と頷けるだろう。美しい人が何より大好きな私は、娼婦役のモニカ・ベルッチの類い希な美貌を拝見できただけでも満足(*^_^*)
 私ならこの映画のタイトル、「ジェヴォーダンの罠」「ジェヴォーダンの生け贄」「ジェヴォーダンの陰謀」「ジェヴォーダンの秘密」等とつけたいところだ。


スーパーノヴァ

【寸   評】

 B級と言おうか、C級と言おうか…。ワープするために特殊なケースに入るのだが、それもむしろ特殊な服を着込んで入るなら分かるが、何故か真っ裸になって入るという設定。そうまでしてヌードシーンを取り入れたいのか(笑)
 それは別にどうでもいいのだが、不思議な物体も怖くもなんともないし、若返ってエネルギーを貰えるのならいいんじゃないの、と思ってしまう。
 もっと危険な面をクローズアップさせないと、緊張感が生まれない。これを地球に持ち込むことがいかに危険であるか観客にアピールするには、若返って筋肉がついてきて…では、全然説得力がない。
 不思議な物体が別にグロテスクである必要はない。このジャンルでオススメの映画と言えば「イベント・ホライゾン」が思い浮かぶ。この映画では目に見える物体などないのに、心理的に人間がおかしくなっていく狂気をうまく表している。
 このじわじわと押し寄せる恐怖感を出すことが意外に難しいため、殆どの映画は安易にグロテスクに走るのだが
「スーパーノヴァ」ではその安易な要素すらなく、だから緊張感がどこにも醸し出せない。
 カールの正体を折角そんな風に設定したのなら、もっとその辺りを軸に物語にも広がりを持たせることが出来ただろうに、脚本も発想を生かしきれていないし、全ての要素がB級止まりで勿体ない限りだ。


スクリーマーズ

 この映画ではあどけない子供の顔に騙された大人が命の危険にさらされていく。
 まるでつい見かけで判断するという人間の愚かさを皮肉ったような設定で、意図はないのかもしれないが、なかなかうまく風刺しているなと思った。
 また、最後の最後までどんでん返しを仕掛けて、一体誰が敵で味方か分からないよう組み立てている。但し、無理がないことはないのだが、常にストーリーに捻りを利かせようと言う努力は評価すべきで、多少の無理も許容範囲とするかな、といったところ。
 意外におもしろく見ることが出来たので、ちょっと甘いが「4」の評価をつけた。
 全く脱線になるが、子供は天使だ、という表現があるが、実は私は子供ほど残酷なものはないのでは、とこの映画を観てふと思った。
 大人社会では目に見えた陰湿ないじめはそれほどない(巧妙になっているだけかもしれないが)が、子供は平気で人を傷つけ、容赦なくいじめる。手加減を知らない。言ってはいけないことを平気で言う。知らないということが凶器になってしまうという実例ではないだろうか。
 いや、勿論これはごく一部の子供であり、子供の頃から思慮深い子も多い。私だって思慮深いとは言えなくてもいじめはいやだったし、子供の頃から人一倍人には気を使ってきたつもりだ。いじめられている子を助けもした。要は子供の頃の本質は殆ど変わらず大人になっていくのだ。
 だから当然、天使のような子供もいるし、悪魔のような子供も逆に存在する。殺人者だって元は子供だったのだ。いや、過去形でなく、子供のうちに殺人を犯す者だっている。
 それを忘れて盲目になって、大人はずるい、子供は純真、という風にひとまとめにして表現するのは少年犯罪を益々増長させるばかりで、罰するべきは大人と同様に罰するべきだと思う。
 子供だから分からない、では通用しない。殺人が悪い、いじめが悪い、というある程度の善悪は子供の頃から分かっているはずだ。被害者のことを第一に考えなければならないのに、加害者が未成年なら、精神異常者なら、罪が軽くなるなんて、被害者の無念さはいかばかりか。
 脱線が長くなったが、ホント、人を見かけで判断してはいけないと言うのはこの映画の持つ唯一の教訓かもしれない。


スター・ウォーズ エピソード1

 子供の視点に立てばそこそこには楽しめるだろう。様々な楽しい風貌の宇宙人達には相変わらず笑わせられる。
 内容は子供だましと言えば子供だまし。F1シーンも確かに息を呑むがやや長すぎるきらいがある。
 大人っぽい内容が好きな私としては、最後も打ち上げ的な雰囲気ではなく、もう少し恰好良く締めて欲しかった。
 何も考えずに気楽に観て楽しむには悪くはないが、これから2〜4まで見ようという気にはなれない。
 ただ従来のスター・ウォーズの中では寧ろこれが一番のお勧めではある。


スターリングラード

 折角の壮大な独ソ・スターリングラード攻防戦秘話を描いた内容であるのに、描き方が勿体ないように思う。
 この非常時にあって、ラブシーンが多すぎて、メロドラマ的要素が強く出過ぎている。
 このため逆に緊張感が欠けてしまっているのだ。大変良い題材なのに、上手く脚本が生かしきれていないように感じた。
 厳しいかもしれないが、評価は3〜3.5。


ストーリー・オブ・ラブ

 倦怠期を迎え、どうにも修復しがたい夫婦の様子を、ブルース・ウィリスとミシェル・ファイファーが熱演している。
 個人的には「イーストウィックの魔女たち」以来、ミシェルの大ファンなので、彼女の映画の評価はつい甘くなってしまうのだが、今回の下手をすれば単調になりかねない地味な内容も二人の演技で大変考えさせられる内容に仕上がっている。
 結婚した夫婦がテーマだから、ついつい自分のことに置き換えて感情移入してしまうのかもしれない。
 しかし、よくある、子供をやたら引き合いに出してのお涙頂戴的な展開にはいつも幻滅させられてきたので、極力二人だけの出演(子供は寄宿舎に預け、休日に親子で過ごす。この設定によって余計親子関係もクローズアップされ、メリハリがついたのではないか)に絞って、夫婦の問題にじっくりとスポットを当てているところに、安易に流されない丁寧な脚本づくりが窺え、大変好感が持てた。
 勿論、親としての子供に不自由をかけたくないという気持ちは大きいだろうが、最終的に、子供が、というだけではない、自分自身が相手を必要としている、という本来の結婚前の本人に真実の愛を求めていた頃の気持ちに戻れたことは何よりのハッピーエンドだと思う。
 最後のミシェルの激しく、熱のこもった台詞の言い回しにも改めて演技のうまさを感じさせられた。
 おそらく、結婚生活だけを延々と描いたものに関心のない人にはこの手の映画は退屈なものに感じてしまうのかもしれない(主人も退屈だったらしい(^_^;))。
 でも、私は二度観て、二度とも最終シーンで泣いたほど、一つ一つの台詞や動きを通して伝わってくる夫婦愛の大切さを、落ち着いて考えることのできた感動的な映画だった。
 女性にとっては結婚しても夫に求める理想や、夫婦関係に望むことは大きいと思う。
 結婚が単なるゴールではなく、永遠に恋人同士でいたい、あの頃のときめきを忘れずにいたいという気持ちを持っている人は多いのではないだろうか。
 そんな女性の気持ちを真正面から捉え、代弁してくれた作品が本作だと思う。


スパイダーマン

 何故か最近再び映画熱が出てしまい、GW前から映画三昧になってしまい、これも全く期待していたわけではないのだが、つい先行オールナイトで観てしまった。
 思っていたように、内容は単純極まりなく、安心して観ることの出来るお子さま向け映画といった感。しかし大人でもスピードのある展開、アクションに全く退屈は感じさせない。映像を見るだけでも価値があるかもしれない。
 子供向けにしては勿体ないほどのVFXで贅沢な作りと言うべきか。一億を越えた制作費を費やしたそうだが、数日でそれも回収できる興行成績を上げているというからご立派。まあ言ってみれば私もその豪華な広告に乗せられ貢献してしまったわけではあるが、この映像は映画館で見るからこそ迫力があるのだと納得は出来る。
 だが、その評価もこの後ビデオで借りた「トゥームレイダー」を観終わると変わってしまった。アクションの凄さから言っても「トゥームレイダー」の方が上だと思う。また、「マトリックス」と比較すればその足下にも及ばない。
 と言っても、近頃の大がかりになっていく一方のアクションと比べるときりがなく、標準より上であることは確かだ。
 難点は悪役ゴブリンの扮装がちゃちで笑わせてくれる所と、悪役の描き方だろう。
 悪役とは言え、好きで悪人になったわけではないという折角の設定を活かして、悪役の悲哀、心情を描き出せばやりようによっては大人向けの映画になり得ただろうと思うと惜しくてならない。
 ストーリーは単純明快だから、悪の心情を抉りだしたとしても子供にとってそれほど難しい作品にはならないはずだ。
 それによってスパイダーマンが内容的に「ウルトラマン」レベルになるか、「マトリックス」レベルになるか、大きく違ってくると言ってしまえば多少言い過ぎかもしれないが、少なくとも「マトリックス」には到底なりきれず、「X−メン」や下の「スポーン」レベルで終わってしまった作品であることは事実だと私は思った。


スポーン

 アメリカン・コミックが原作になっているそうだが、、、言われてみると確かに映像としてはおもしろい。
 当然ながら内容はコミック的であるのは否めないが、娯楽映画として割り切ればそこそこに楽しめる。


ソードフィッシュ

 ジョン・トラボルタが悪役に徹した作品。
 「ブロークン・アロー」での煙草の煙を吐き出すわざとらしい演技が記憶から離れなかったが、この作品ではかなり演技も上達しており、自然な仕草に静かな凄みが加わったなかなか惚れ惚れする悪役ぶりだった。
 最初の爆破シーンを360度回転させて魅せている映像が売りだとのことだが、確かに素晴らしかった。
 誰が敵か味方かありがちではあるが結末のオチは爽快感さえ感じさせてくれるし、ハッカーのヒュー・ジャックマンも適役でとても渋くかっこよかった。ハル・ベリーを含む三者の頭脳の競い合いと言った感じで、テンポの良い攻防戦が繰り広げられていく。
 トラボルタはホームベース型の輪郭と言い、演技力と言い、決して主役級の俳優ではないと思う。しかし、主役レベルに近い悪役を演じると、俄然光り輝く。
 これからも準主役級脇役に徹していろんな悪のボスを演じてほしいものだ。




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