言いたい放題・日美の映画評論〜映画タイトルら・わ行〜 |
最初から気乗りはしなかったのだが、話題作を押さえておこうと手に取った。気乗りしなかったというのは、内容的に戦争をテーマとする映画が苦手なこととユダヤ人の迫害といういかにもオスカー狙いという路線が気に入らなかったからだ。
前半の恋人を口説き落とすまでのシーンはコメディとして、自分自身ではおもしろく演じているつもりなのだろうが、あまり上品ではないだじゃれでどうも笑えない部分があり、少々退屈した。
後半からの展開はまずまず見せてくれた。幸せな新婚時代と後半の収容所シーンの明暗を色濃く描き出したかったのだろうが、前半が長いのかもしれない。最後に本当にアメリカ兵の戦車が出てきたり、恋人時代の想い出のレコードを流したり、構成としてはよく考えているし、人物の描き方でもっと別の感動が生まれたのではと思う。
そもそも収容所など戦争の内容をコメディ化することに無理があったのだろう。シリアスになるか、コメディっぽくさせるかで中途半端になった感がある。子供にゲームだと言い聞かせる父親の気持ちに立てば遣り切れ無いものは感じるが、逆に同じ収容所に入れられた第三者から見れば、自分のことだけで精一杯の筈。「いい加減にしてくれ」と怒鳴りたくなる心境じゃないだろうか、と少々余計なことを考えてしまった。
又、教育上、子供にそこまで嘘を突き通さなければならないかという疑問も残る。現実から目を逸らすことが果たしていいのかどうか…。
ユダヤ人の迫害という重いテーマながら一人一人の気持ちがあまりに淡泊で描き切れていないのに、これでアカデミー受賞とは信じられない。受賞しなかったらあまり目に留められていなかったのではないか。但し、あくまでも独断と偏見であることをお断りしておきたい。
【内 容】
刑務所での刑期をあと二日で終えようとしていたルーディは、逆恨みされていた囚人仲間から、刺殺されそうになる。それを咄嗟に庇った親友のニックが、代わりに殺されてしまう。
ニックは恋人を守るために人を殺め刑務所に送られたのだった。そのことに深く感銘を受けた見も知らぬ女性アシュラーといつしか文通を交わすようになり、互いに出所の日の出会いを心待ちにしていたのだ。ルーディの心は重く沈んだ。
やがて出所の日、雪空の下に一人佇むアシュラーの姿を見つけ、ルーディはついに彼女を放っておけず、自らをニックだと名乗って声をかけてしまう。彼自身、本音の部分ではニックから嬉しそうにアシュラーの手紙を見せられ、壁に貼られた写真を盗み見しながら、次第にアシュラーへの思いを募らせていたのでその誘惑に打ち勝てなかったのだ。
二人はすぐさま恋に落ちる。しかし、ある日ライフルを手にしたアシュラの兄ガブリエルとその仲間がいきなり襲ってきて、ニックが以前働いていたカジノへの強盗計画に巻き込もうとする。
ニックではないルーディには内部情報など手に入るわけはない。しかし協力しなければ殺されてしまう。ルーディはアシュラーの立場をも救うため、一か八かの賭けに出た。が事態は思わぬ方向へ動いていく…
【寸 評】
可もなく不可もなしといったところ。確かにストーリーは二転三転するし、絶体絶命のピンチに陥ったルーディが、どんな風にその場その場を切り抜けていくのか興味をそそられた。
しかしラストやどんでん返しの箇所など少々これはルール違反ではないかと感じたり、つじつまが合わないと感じる部分がないわけでもない。また特別意外性があるわけでもない。
ただ、それぞれの演技は必見。
「ディアボロス」でも熱演していたシャーリズ・セロンがかわいくてセクシーな魅力を振りまいていた。(こういう役柄のタイプの女性は好みではないのでちょっと気に入らなかったが…)何と言ってもゲイリー・シニーズのいつもながらの悪役振りは見事にはまっていた。長髪の雰囲気も逆に凄みを感じさせて、改めて存在感のある俳優だと思った。
ベン・アフレックは元々顔立ちなどあまり好きな俳優ではないのだが、罠にはまりこんでいく姿を好演していたと思う。
まずまずB級サスペンスの味わいを堪能できる作品と言えよう。評価は3.25
壮大なスケールでこれから三部作となる物語の第一話目。
神秘的な風景などまさに神話・伝説の世界のようでまずは映像の美しさに目を奪われる。
ストーリーも三部作だけあって、時間はたっぷりな分、指輪を狙う物たちや仲間同士の争いまで心理描写も大変細かく丁寧に描かれており、かといってくどくなく、ぐいぐい話に引き込んでくれる。悪と戦うSFXアクションといい、見所は満載。
欠点としてはあれだけの数で襲ってくる割に敵は少々弱い気がしないでもないが、次々降りかかる難題に立ち向かっている勇敢な戦士達の様子はうまく表現出来ているからよしとしよう。
連続ドラマの一週間でも待ち遠しいのに、次回作まで間があきすぎるのですっかり今までの流れを忘れてしまいそうだ。
終わり方としては新たな出発に向かって、ということで一応不自然でない形で完結に持ってこれていると思うので、続きがあると知っていれば一段落つける、いいエンディングではないだろうか。
ただ、オスカーの作品賞を逃したのは、やはり完結していない一部を見せられてそれだけでは判断し難い、ということもマイナス要素になったのだと思う。
昔は二本立ての映画が当たり前だった。素晴らしい映画ではあるが、折角の余韻を途切れさせない為には、特別に二本立てにして、もう1,2時間短くまとめ、休憩時間を挟んでの上映にした方が満足度が高まったのではないかと考えたりした。あるいは前半・後半分けて見ることが出来るように配慮してもかまわない。
今回上映を長期間に分けたことは、この満足度を二作目、三作目と持続させたままエピローグに持ち込めるかどうかが本当の勝負になるだろう。
4人組のリーダー格であるエディは、仲間で出し合った10万ポンドを持って、賭博場へ行く。が、街一番のギャングであるハリーにいかさまで負けてしまい、50万ポンドの借金を背負わされる。返済期限は一週間。偶然、隣の部屋の銀行強盗の計画を盗聴した4人はそれを略奪することを思いつく。その一方でハリーは骨董品の値打ち物である2丁の銃を探していた。
やがてバラバラに見えた事件が一本の糸で見事に繋がっていくのだが、この辺りはミステリー小説の構成を見ているようでもあった。
この手のパターンは、映像化されるとあちこちに場面が飛んでいく為、最初は人物の顔と名前が一致せず分かりにくくなってしまいがちである。しかし分からないなりにも小気味よく展開していくのでついつい引き込まれてしまう。今回も話が進むにつれ次第に方向が見えてきて、成る程とうならせてくれた。
又、ハリウッド映画とは趣を異にした独特の映像の撮り方で魅せてくれる。
内容的には「風が吹けば桶屋が儲かる」的と言おうか、鼠が一番世界で強い物は何かと考えて、想像はふくらんでいくが結局鼠という解答に回帰していくという昔あった寓話にも似て、堂々巡りのおもしろさを感じた。
派手さはないが、音楽もビートルズの時代を思わせるいかにもイギリスらしい雰囲気を漂わせていて、「山椒は小粒でもぴりりとからい」的な上質の構成で仕上げていた。評価は3.75というところ。
記憶喪失の女性サマンサが過去を求めて、三流私立探偵に依頼する。彼女は命を狙われ、報酬目当ての探偵は思わぬ事態へと巻き込まれていく。彼女の正体は元CIAでの政府の影の暗殺者だったのだ…。
監督の妻でもあるジーナが、女性であることを忘れさせてくれる程、痛快で洗練されたアクションを見せつけてくれる。
まさに「マトリックス」に通じる迫力(最新映像を言っているのではないのでご注意。あくまでもジーナのアクションへの評価。「マトリックス」のキャリーや「トゥルー・ライズ」のジェミーと互角だと思う)と言えよう。
それに引き替え愚鈍な(ちょっと言い過ぎ?)男をサミュエルが味のある演技で見せつけていた。男女の立場を逆にしたところがおもしろい(実は女性上位の映画やドラマは日本でも意外に多いのだが…)し、このサミュエルの演技がジーナの俊敏さを引き立てたとも言えるだろう。
豪快な爆破シーンあり、迫力満点。解決かと思いきや、一難去ってまた一難…という所は時間稼ぎ(中継ぎ)の感も否めないが、終わりまで一気に見せてくれる。
ブレンダン・フレイザー主演の「タイムトラベラー」が実におもしろかった。あの映画が好きな人にはこれもお勧めと聞きつけ、次の主演作らしいこの映画を手に取った。
今回はミステリアスな美女(悪魔)との共演でまさに西洋の童話といったところ。悪魔の言葉通りにしか叶えられない何ともお粗末な魔法が笑わせてくれるが、ラストの二人の台詞も後々まで余韻を残すもので、エリザベス・ハーリーの演じた魅力的な小悪魔像は大成功だろう。
ブレンダンも相変わらずの演技力をアピール、「タイムトラベラー」以上に魅力ある映画だと感じた。
様々な二人の衣装や時代に応じた異国の風景なども楽しませてくれる。
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