このページは個人の研究目的のものです。
閲覧はご遠慮ください。

麻疹(measles)ウイルス性疾患

発疹期融合傾向のある斑状丘疹性紅斑が全身にみられる。全身の発疹はカタル期の発熱がやや下降して再び高熱になる(二峰性発熱)頃から耳介後部、頸部から出現し、全身に広がる。

Koplik 斑頬粘膜の臼歯のあたりに白く小さい粘膜疹がみられる。Koplik 斑は、全身の発疹出現1〜3日前から90%以上の例にみられるので早期診断に役立つ。1〜2日で消失する。

回復期色素沈着がみられる。麻疹の発疹は出現順に消退し、色素沈着がしばらく残存する。

修飾麻疹6カ月男児で、非常に軽症で経過した。母親由来の移行抗体のため潜伏期が14〜20日と延長し、経過も短く軽症となる。


風疹(rubella) ウイルス性疾患

直径2〜5 mmの比較的均一の円形の斑状丘疹が、全身にみられる。約40〜50%が発熱を伴う。発疹とほぼ同時に発熱し2〜3日で解熱する。発疹は色素沈着を残さない。

眼球結膜の充血、頸部リンパ節の腫脹がみられた。


流行性耳下腺炎(mumps)ウイルス性疾患

両側耳下腺および顎下腺の腫脹・疼痛がみられた。約10%に髄膜炎、まれに膵炎、感音性難聴を合併する。思春期以降の男子では睾丸炎を合併しやすいが不妊症となることは極めてまれ。



水痘(varicella)ウイルス性疾患

体幹を中心に丘疹、水疱が散在している。水痘-帯状疱疹ウイルスの初感染で発症する。免疫不全児では重症化しやすい。

水疱の拡大像。丘疹、水疱、痂皮が同時に混在してみられるのが特徴である。頭部有髪皮膚面や口腔粘膜などにも生じる。



帯状疱疹(herpes zoster)ウイルス性疾患

右胸部に小水疱が帯状にみられる。通常身体の一側の皮膚知覚節に沿ってみられる。知覚神経節に潜伏していた水痘-帯状疱疹ウイルスの再活性化によるもの。



突発性発疹(exanthema subitum)ウイルス性疾患

躯幹を中心に紅斑がみられ、一部には癒合するものもみられる。ヒトヘルペスウイルス6型または7型の感染による。生後6〜12カ月に多く、約3日間発熱が続いた後に分利的に解熱し、その頃から発疹が出現する。



伝染性紅斑(erythema infectiosum)ウイルス疾患

別名「りんご病」。顔面では、蝶形紅斑様発疹がみられる。原因はヒトパルボウイルスB19である。学童に多い。赤芽球系細胞に感染するので、溶血性疾患の患児や胎児では、Hbの急激な減少を起こしやすい(aplastic crisis・胎児水腫など)。

上下肢にはレース状紅斑がみられる。入浴や日光照射で発疹の再燃をみることがある。



手足口病(hand-foot-mouse disease)ウイルス性疾患

左:手掌・右:膝部手掌および膝部に小水疱がみられる。手掌、足底に水疱・丘疹、口腔内は水疱性・潰瘍性の口内炎ができる。その他、膝、臀部、陰部などにも皮疹がみられることがある。水疱の形は細長く、長軸が皮膚線の走行に一致している。



ヘルペス性歯肉口内炎(herpetic gingivostomatitis)ウイルス性疾患

歯肉の発赤・腫脹、口腔内粘膜や口唇・口周囲の皮膚に紅暈をともなう水疱がみられる。単純ヘルペス1型の初感染でみられることが多い。




外陰部ヘルペス(herpes genitalis)ウイルス性疾患

小水疱の集簇がみられる。単純ヘルペス2型でみられることが多い。



kaposi水痘様発疹症(Kaposi varicelliform eruption)ウイルス性疾患

前胸部を中心に、炎症症状の強い小水疱やびらんが集簇している。



ぶどう球菌性熱傷様j皮膚症候群(staphylococcal scaled skin syndrome ;SSSS)

皮膚のびまん性の紅潮がみられる。眼脂がみられ、口周囲の痂皮に放射状亀裂がみられるのが特徴である。皮膚の紅潮は間擦部にとくに強い。皮膚を摩擦すると容易に表皮が剥離する(Nikolsky現象)。

左:急性期・右:回復期急性期には皮膚の発赤がみられ、口周囲にびらんがみられる。回復期では体幹の大きな膜様落屑を認める。四肢末端の膜様落屑も伴う。黄色ブドウ球菌の産生する表皮剥脱毒 (exfoliative toxin)による。


A群溶連菌感染症(Streptococcus pyogenes infection)

全身に細かい紅斑がみられる。発熱・咽頭炎〜扁桃炎、いちご舌、頸部リンパ節腫脹などがみられ、回復期には指先から落屑が始まる。合併症として急性糸球体腎炎(2〜3週後)・リウマチ熱(2〜4週後)をきたすことがある。

(角膜穿孔例)
3歳男児。
麻疹後に眼脂、眼瞼腫脹がみられた。再び発熱し発疹も再発し来院。SSSS様の顔貌を示している。



丹毒(erysipelas)

頸部に発赤がみられる。境界鮮明で辺縁が健常皮膚からややもりあがっている。おもにA群溶連菌による皮膚感染症。局所の発赤・腫脹・疼痛を認める。顔面、四肢にみられることが多い。発熱・頭痛・嘔吐などの全身症状を伴うことが多い。



非定型抗酸菌症(atypical mycobacteriosis)

1歳女児。左:外観、右:頸部エコー
左下顎部に弾性硬の腫瘤がみられた。エコーでは境界明瞭な内部echogenicityの低い腫瘤が認められる。机の角で左下顎部を打撲し、その後腫脹がみられた。白血球, CRPは正常であった。


猫ひっかき病 (cat scratch disease)

腋窩部に半球状のリンパ節腫脹と同部位の皮膚の発赤がみられる。Bartonella henselaeによる感染症。多くは猫にひっかっかれた後、3〜5日に受傷部位が丘疹となり水疱→膿疱となる。この後1〜2週以内に所属リンパ節腫大がみられ、時に直径8〜10cm位になる。ほとんどが8週以内に自然治癒する。



川崎病 (Kawasaki disease)

急性期の全身像 体に不定形発疹と四肢末端の紅斑・腫脹がみられる。
不定形発疹 さまざまな大きさ、形の多形紅斑様発疹がみられる。原則として色素沈着や掻痒はない。
BCG接種部位の発赤 BCG接種部位の紅斑がみられる。しばしば認められ、本症を疑う重要な徴候になる。
眼球結膜の充血 両側結膜結膜の充血がみられる。毛細血管の1本1本が拡張して明瞭にみられるのが特徴である。眼脂が多い場合は二次感染である。
口唇、口腔粘膜所見 口唇の発赤と、いちご舌がみられる。口唇に亀裂が生じ、出血したり血痂が生じることもある。
手の硬性浮腫 手に硬性浮腫がみられる。指の先端がやや紅潮している。両手両足が硬く腫れ、皮膚が緊張して光沢を帯び、テカテカパンパンになる。
手の膜様落屑 指先からの膜様落屑がみられる。回復期にみられる症状である。


皮膚カンジタ症(cutaneous candidiasis)
乳児寄生菌性紅斑 (erythema mycoticum infantile)

おむつの当たる部分に鮮紅色紅斑をみる。通常のおむつ皮膚炎と異なり、しわの奥まで赤い。周辺に小紅斑が多く衛星病巣として散在する。

乳児寄生菌性紅斑 辺縁に鱗屑を伴い、衛星病巣が散在する。


白癬(tinea manus)(tinea pedis)

手掌、指間部に落屑がみられる。

足底、足縁、趾間に落屑とびらんがみられる。


ケルズス禿癬(kerion celsi)

頭部の急性深在性白癬。被髪頭部に扁平に隆起した脱毛巣があり、膿汁の排泄がみられ毛髪が抜ける。


スポロトリコーシス(sporotrichosis)

皮膚深在性真菌症の代表。
Sporotrichum schenckiiの感染による。顔面に肉芽を生じ、中央がやぶれて潰瘍化している。


疥癬(scabies)

ヒゼンダニ (Sarcoptes scabiei) の感染による。紅色小丘疹と小水疱がみられる。長さ数mmの隆起した線状疹がみられ、疥癬トンネルと呼ばれる。
手指にやや褐色を帯びた小結節と小水疱、小膿疱が多発している。