クルマ用電気配線の基礎

このページでは、クルマ用電気配線の基礎について解説しています。


1.電線
 使用している電線のサイズによって、電流を流せる最大値が決まっている。実際には、電線の導体温度にも関係しているが、おおむね下記の数値を超えない範囲で電線を選択する
 なお、周囲温度や電線を束ねて使用する場合などは、各係数を乗じて許容電流を低減して使用する

      
ビニル電線許容電流
公称断面積(mm2) AWG相当 許容電流(A)
0.5sq 24 10A
0.75sq 21 12A
1.25sq 16 19A
2.0sq 14 27A
3.5sq 12 37A
10.0sq 7 66A
22.0sq 4 115A
導体許容温度60℃ 周囲温度30℃ とする
       
電流低減係数(周囲温度) 電流低減係数(配管通線本数)
周囲温度(℃) 係数 同一管内線数(本) 係数
30 1.00 1本 1.00
35 0.91 3本以下 0.70
40 0.82 4本 0.63
45 0.71 5〜6本 0.56
50 0.58 7〜10本 0.49
55 0.41

(例) 1.25sq線で周囲温度40℃、電線5本を束ねて使用する際の許容電流
    19A×0.82×0.56=8.7A

2.電線色記号
 三菱車で使用している電線のサイズおよび線色標記は、下記に示すとおり

コード 線色 コード 線色 線種記号 線種
<F> フレキシブル線
BR <T> ツイスト線
SB 空色
GR SI サイズ記号 線サイズ
なし 0.5mm2
LG 黄緑 (  )付 0.3mm2

(例1) <F>1.25G−B
   フレキシブル線 1.25mm2 地色−緑 マーキング色−黒
(例2) (L−R)
   0.3mm2 地色−青 マーキング色−赤

3.部品および用語
 車で使用している一般的な電気部品・用品および用語の説明
 (一部に固有商品名もありますが、よく使うのでそのまま載せています)
ア行
圧着端子 電線をネジやボルトで接続するための端子で、専用工具にて端子をつぶすことにより接続する 線サイズにより端子を選択する必要がある 丸形・Y型/裸・絶縁付き等のバリエーションがある
アース 車体アース  一般的に車体をバッテリーの(-)に接続して、(-)の配線を省略している
IG(イグニッション) キースイッチのONポジションで通電される電源を指す
インシュロック 自在結束バンド 取り付けたあと再度外すことができるリリースタイプのものや、耐候性のあるもの・色違いのものなどバリエーションがある
ACC(エイシーシー) キースイッチのACCポジションまたはアクセサリー電源を指す
HID(エイチアイディー) 一般にディスチャージランプと呼ばれるライト HIDとは高輝度放電装置のこと 従来のランプにあたる物はバーナー、放電装置はイグナイタ・バラストなどと呼ばれる
LED(エルイーディー) 発光ダイオードのこと 制限抵抗か定電流素子を直列に接続して使用する
エレクトロタップ 電線を挟み込むことにより配線を分岐させる接続パーツ プライヤーがあれば接続作業ができる 接続する電線のサイズによりエレクトロタップのサイズを選択する必要がある
カ行
ギボシ端子 車の後付配線で使用される端子としては一番メジャーなものである ただし、電流容量は10A以下で使用することが望ましい
クワガタ端子 丸形圧着端子の先が割れているタイプのもの
検電テスター ランプやLEDで目的の線に電源が来ているかどうかチェックするツール
コルゲートチューブ 配線を熱などから保護するジャバラ状のチューブのこと
サ行
自己融着テープ 配線の端子部などを絶縁する時に使用する 重ね巻きした部分が熱により融着するため、ビニルテープのよりも剥がれが少なく絶縁度が高い
常時+12V エンジンキーを抜いてもバッテリーの電圧がかかっている電源系統 新たに作る場合は、必ずバッテリーから引き出す線にヒューズを入れること
ソケット リレーやバルブを差し込んで使用する基台のこと
タ行
ダイオード A(アノード)→K(カソード)方向にだけ電流を流す整流素子
タイラップ インシュロックと同じ
タブ(ファストン)端子 一般に平形端子といわれるもので、#250はギボシ端子よりも電流容量は大きい
チャタリング リレーがONする時に、接点が完全に接触した状態に安定するまでの間に接点がバウンドを繰り返し接点がON-0FFを繰り返すこと
テスター アナログ・デジタル表示のタイプがあるが場合によって使い分けをする 電圧・抵抗・電流などの測定モードがある
閉じる スイッチやリレーの接点がONすること
ナ行
熱収縮チューブ 熱を与えることにより収縮するチューブで、電線の絶縁または結束に使用する
ハ行
ハーネス 電線のこと
バルブ 電球のこと
ビニルテープ 配線の端子部などを絶縁する時に使用する
ヒュージブルリンク 回路に異常が起きて過電流となったとき溶断して回路を保護する ヒューズに比べて電流容量が大きいところに使用するため、即断性はない。コネクタ付き電線タイプとソケットホルダータイプがある
ヒューズ 回路に異常が起きて過電流となったとき溶断して回路を保護する 容量が少ない分、即断性に優れる。ガラス管・ブレードなど形状に種類がある
開く スイッチやリレーの接点がOFFすること
マ行
まわり込み 電源が予定していない別の回路から入ってくること DIYで配線追加の際は特に注意が必要
ヤ行
ラ行
リレー 継電器とも言い、コイルに通電することにより接点が動作する 通常はコイル通電で接点ONのもの(4極リレー/A接点)が使われるが、ものによっては通電時接点ONおよびOFFとなるタイプのもの(5極リレー/A,B接点)も使われている
レジスタ 抵抗器のこと
ワ行

4.配線工具
 配線に使用する工具類の用途説明
工具名 用  途
ニッパー 細い線や物体の切断
ラジオペンチ 細い物体の保持・曲げ
プライヤー 物体の保持・曲げ エレクトロタップ挟み込み時に使用
カッターナイフ 薄く柔らかいものの切断、電線の被覆剥き
電線切りはさみ 22sq程度までの撚線・多芯線の切断
ワイヤーストリッパー 電線の被覆剥き 電線サイズによりいろいろなものがある
圧着ペンチ 一般的にカー用品店で売られている圧着ペンチ これひとつでギボシ・タブ・車用コネクタの端子の圧着が可能 
圧着工具 裸および被覆付き圧着端子の圧着 裸用と被覆付き用は兼用できない 端子サイズにより圧着器を変える必要がある 手動用での最大サイズは38sqあたりまで
ピンセット 配線をつまんだり、保持する
はんだごて 自宅では電気式を使用 車や屋外ではガストーチ式のものが非常に便利

5.配線加工時の注意
 配線の基本原則の説明
項 目 内  容
計画時 必ず配線図を書くこと 端子等で中継をする場合でも、どちらをオスにするかをはっきりと決めておく これにより誤配線や接続ミスを防ぐことができる
作業時 バッテリーの(−)は必ず全て外す これは配線作業時に誤ってショートさせてしまうのを防ぐため
作業後 通電前に必ず配線チェックを行う 追加した配線を稼働させていない状態とし、他の電装品の動作に異常がないかどうか確認した上で、動作確認を行う
車体アース(シャシアース) 現在の車の電装系はマイナスアースが基本となっている これは車体を電線の代わりに導体として使用することにより、電線を半減できるために採用されている 逆に言えば、車体に接続すればどこでも0Vは取れるということになるが、配線作業時に+12Vがかかった線を車体に触れさせてしまうとショートするので、注意が必要である
電線色 後付配線の+12Vが常時かかる線は赤、0V(シャシアース)は黒で統一する
端子のオス・メス ギボシ・平形ともに+12Vがかかる側をメスとする これは端子接続を外した場合に誤ってシャシに触れてショートさせないための配慮
電装品への接続 フォグランプなど複数を取り付けるものについては、配線の線色および端子のオス・メスについては統一しておく 配線の振替えや電装品交換時に誤配線を防止するため
ACC電源 ACC電源を別に作りたい場合は、キーがACCにある時に電圧が出るラインにリレーのコイル側を追加して動作させ、リレーの接点側はバッテリーの(+)からヒューズを通して接続し、ACC電源とする
電源のまわり込み もともとの回路に新たに別回路を追加した場合に、新たな回路がONすることによって、動作しなくても良いはずのもともとの回路が誤動作してしまうこと
配線追加時に総合的に回路の検討が必要である 電流を流す方向を決める必要がある場合は、ダイオードなどを挿入する(容量に注意)

6.カラーコード
 カラーコードの見方
色名 数字 10のべき乗 許容差% 備考
         1 ±20 黒い礼服
        10 ±1 お茶を一杯
       100 ±2 赤いにんじん
      1000 ±3 第3の男
     10000 岸恵子
    100000 ±5 みどりご
   1000000 青い緑青
  10000000 紫式部
ハイヤー
ホワイトクリスマス
       0.1 ±5 金五郎
      0.01 ±10 銀行頭取
なし ±20 梨で20世紀
 4色の場合 第1,2カラー:有効数字  第3カラー:べき乗  第4カラー:許容差
 5色の場合 第1,2,3カラー:有効数字 第4カラー:べき乗 第5カラー:許容差