八ヶ岳中山尾根

2003年12月29日(月)〜30日(火)
メンバー:村野(記)、三堀信二、めぐみ


12月29日 8:15 美濃戸口 赤岳山荘発

  駐車場には雪少なく地面が見えているところあり。南沢経由、途中南沢大滝の分岐より雪は例年の通りとなる。途中一回の休憩を入れ阿弥陀北西稜へのアプローチを確認するも、実際は間違いで、氷登りのゲレンデであった。

 行者小屋着、少し山側のテントサイトに幕営後、11:10中山尾根へ向かう。アプローチのトレースはバッチリあり日も昇り、少し暖かくなってくる。
 下部岩壁の少し下の尾根上で登攀具をつける。下部はめぐみ女史がリードでスタート。出だしの3m程のフェースは、かぶってはいないがホールドがガバではなく手袋では難しい。慎重にランニングを取っていく。支点は整備され、ステンレスのハンガーがあるため安心できる。凹角を左上し30mで2Pのテラスに着く。このころから、しだいに風が強くなってくる。2Pは下部の核心、凹角状のスラブ。このスラブ、ホールドに乏しいものの、長年アイゼンで削られた結果、アイゼンの前爪の形にフィットする穴があいており、足をそこに置いてゆけば結構安定する。20m程でそこを抜け、潅木がまばらに立つ雪稜となる。
 急な岩稜を左からまいてひとのぼりすると上部岩壁に達する。下部岩壁に比べ広々としており開放的。上部は村野リードでスタート。30m程V級程度のフェースクライム、テラス状になっているところで一息入れてかぶった凹角に取り付く。ここも支点はステンレスハンガーが使われており、思い切った動作で登ることができる。抜け口はホールドに乏しいく厳しく感じた。風がさらに強くなり、雪の着いていない地面の土を跳ね上げ目や口の中に入ってくる。ここよりロープを解き30m程登ると、再び岩稜が現れたのでこれを忠実に登ることにする。やさしい岩稜をロープいっぱい50m伸ばすとかぶったピナクルの下に達する。この間、突風が時折吹き、耐風姿勢をとることしばしば。ここまできたらピナクルを突破するしか手はなく、ランニングをひとつ取り覚悟を決め突っ込む。ランニングが足元に達すると上半身はピナクルの上に抜けるが、よいホールドがないため容易に足を上げられない。気合一発で足を上げ右手でガバホールドをつかむ。ピナクルを抜けたとたん、今までいくらかさえぎられていた風が襲いかかる。ナイフエッジをつかみ下半身が風によって軽くなるのを感じながら、10m程トラバースすると終了点を示すステンレスハンガー3本あるアンカーに着く。見覚えのあるとさか状岩壁のトラバースが見え、胸をなでおろす。

 ロープをしまい縦走路に合流する。稜線を何度か諏訪側、佐久側とたどると地蔵尾根のくだりにかかる。いくらかやわらいだ風に再び雪を伴い、下から上に向かって猛烈に吹き上げ、目をあけていることが困難になる。何度か風をやり過ごしていると、『むらのさん、顔が凍傷になってるよ』と言われ、素手でさわってみるとなんと、顔が凍りついている。固まっている氷を溶かすとやっと顔の感覚が戻ってくる。しばらく下り、低木が現れるころになると、今までの風がうそだったように穏やかになる。一目散に行者小屋を目指しかけくだると、薄暗くなったころ、17時近くにテント場に着いた。さっそくビールを仕入れ、三堀がかついできたちゃんこ鍋で、プレ正月を決め込む。20:30消灯。
  
  翌30日、4:00の予定が4:30起床。なんとか6:15阿弥陀北西稜を目指して出発する。昨日確認した小沢の踏み跡をたどると、30分ほどで凍った滝に出る。これを左から高巻くとさらにその上に、三方を断壁に囲まれた見事な氷柱に出くわす。踏み跡は、この氷柱を登るためのアプローチだったのだ。こうなると急に気力がなくなってゆくのを感じてくる。ルート図をよく見るとどうやら南沢沿いに下りすぎた事がわかったので、行者小屋方向にトラバースしてゆけば、正規のアプローチに合流できると考えた。案の定、支尾根を三つほど越えると、樹林の中の踏み跡に合流した。しばらく登ると、視界が開け、尾根上に出たことがわかる。先行パーティーの人と話を交わすと、岩壁取り付きまであと一時間程かかるという。これを聞いて、かれこれ二時間は歩いていたため、急速に気持ちが萎えてしまい、帰るモードのスイッチが入ってしまう。少し休んで下ることにする。正規の踏み跡を下ってゆくと、先ほど」合流した地点からは、樹林の中をくねくねとたどっており、踏み跡がないと相当迷うことが予想される。

 一時間ほどで天幕に戻り、11時ころ下山を開始する。途中、南沢滝に本日入山している山想酔人パーティーと合流して、大滝を見たり小滝でアイスクライミングをする。今シーズンは、氷の発達は悪く、登れるラインは少ないため、登りつくされてぼろぼろの様相を呈している。
 15時ころ美濃戸の駐車場に着き帰宅の途につく。

  今回は、八ヶ岳の風の強さに圧倒されたが、中山尾根と言えども大変充実した登攀だった。