一ノ倉沢中央稜・中央カンテ
2004・10・2〜3 北島、松浦、渡邉、河本、岸山、安藤、中村、宇田、足立、飯田、柳瀬、飯田、坂口

記・柳瀬
2004/10/02-03 谷川岳/一の倉沢/奥壁*中央カンテ
パーティー 渡邉、宇田、柳瀬
0545出会い出発
0730中央カンテ取付※全て渡邉さんリード
P トラバース
バンドを右にトラバース、1箇所大きくバンドが切れている所あり。続いてスタンスホールド豊富なフェースへうつる。ルートは難しくないがランナウトする。
P ルートの印象がない。ルート終了点に岸山さんと坂口さんの笑顔が印象的だった。渡邉さんの軽快なクライミング。宇田さんは靴擦があり大分痛むようだった。中央稜に取付くクライマーが見える。こんなに近かったのかと思う。
P カンテにうつる。ビレイ点から細かいフェースのトラバース、濡れたバンドを左上する。途中に蛙発見。
P
 まさしくカンテだ!ホールドスタンスも細かいものの豊富で登りやすい。先行する河本Pの姿が見えず少々遅れを取る。
P 高度感も出てきて楽しい。しかし暑い。
P チムニー。坂口さんと岸山さんの姿発見。中に入ってみたくなるチムニーだが、ぐっと我慢して外側を登る。
P フェース。左上してすぐ右上するのでクライマーの姿見えず。
P 核心。奮闘中の坂口さん発見。気を引き締める。渡邉さんは難なく登り、核心抜け口にアブミをセット。う、って事はやっぱりフリーで行くべしという事と理解。が、しかし。登れない、悩まずアブミを出す。要修行!!
P 薄かぶりのコーナークラック。途中、セットされたアブミが風に揺らぐ。フレーク沿いに登ると面白い
10P 残り数ピッチ。烏帽子岩のスカイラインが接近して来た。消化ピッチとは言え、気を緩めずに。
11P 烏帽子岩基部。先行河本Pと合流中央稜の武藤さんに下降のポイントを確認する。

【ここから下降全て50mW】
P 烏帽子岩の左側壁にハーケンが3本。そこから下降。ここで、落石を起こしてしまう。坂口さんの脇30センチのところ。坂口さんがよけなければ今ごろ…。坂口さんごめんなさい6ルンゼ側に古い残置ハーケンがあり、そこまで下りてしまった方が安全。
P 笹薮のトラバース。地べたまで下りず、途中の踏跡に乗り移る感じで笹薮の中の露岩の木でビレイを取る。
P 踏跡を辿る
P 6ルンゼ下降点凹角沿いにそろそろと下りる、落石に注意しながら。
P この下降点が、少し建築的でライトの建築みたいな空間。そんな事を考える。
P 6ルンゼ側のテラス上。
P 6ルンゼ側テラス。
P 空懸混じりで草付帯へ。
P 既に闇の中。深海にいるような感じ(深海に行った事ないけれど)。狭いテラスにみんなの頭にヘッ電、みんな元気。
10P 最終ピッチ暗闇の中の懸垂下降なんてそうめったに経験できない。海の中に入っていくような・・・(危ない人?)ヘッ電が点す岩肌が雰囲気をかもし出す。
南稜テラス 1820
翌日下山開始5:30 出合到着12:45


記・坂口
谷川岳一ノ倉沢 中央カンテ  パーティー 河本、岸山、坂口

2 私の山の師であるKさんが、30数年前、毎週のように通い詰めた一ノ倉沢の出合に立つ。Kさんにはいろいろな山に連れて行って貰った。2年ほど前、Kさんは体をこわし、大好きな山に登れなくなってしまった。その時、私はKさんの分まで山に登るのだと心に決めた。山を始めて6年、今までの山行のあれこれが走馬灯のように思い出される。一ノ倉の岩場を登る機会がこんなに早く巡ってこようとは、考えてもみなかった。ひょんぐりの滝の下降やテールリッジを私はうまく進んで行けるのだろうか。ルートの途中で登れなくなってしまったらどうしようとさまざまな不安で一杯になる。

5:45出発 しばしのゴーロ歩きの後、樹林帯に入りひょんぐりの滝上に出る。懸垂下降し、対岸のスラブ帯に移る。お天気もよく、岩も乾いており、フリクションが利いて、快適な岩稜歩き。テールリッジに少し入ったところで、小休止。武藤さんから「足元に不安がある人は、ここでクライミングシューズに履き替えて」とのアドバイス。迷惑をかけてもいけないので、私は迷わずクライミングシューズに履き替えた。恐れていたテールリッジは快適そのもの。良かったあ、安心した。でも、濡れていたらこうはいかないのでしょうけれど。

 中央稜取りつきで、武藤・北島さんパーティと別れ、河本・渡邉さんパーティは中央カンテの取りつきに進む。取りつき近くには、水場があった。今日は暑くなりそうなので、お水を汲んでいくべきか迷ったが、重くなるので結局やめてしまった。1リットルしか持っていないので、足りないかもしれない。

 河本さんがリードしてくださり、私、岸山さんの順番で登る。1P、2Pともホールドもスタンスも豊富でちょっと安心する。落石を起こさないように注意して進む。3P目は、濡れていてちょっと嫌な感じのトラバース。しかし、フリクションが利いて見た目ほど嫌らしくはない。
 4P目はカンテを気持ちよく登り、小垂壁のところは要領がすぐには掴めず、登るのにちょっと時間がかかってしまう。5,6Pを登るのがとても楽しいと思いながら進み、7P目の垂壁を苦労して登ったと思ったら、もう一方のロープのヌンチャクに体がひっかかってしまっていて、もう一度登り返さなければならない。ヌンチャクをとって登りなおしたら、なんともう一つヌンチャクがひっかかっている。ロープを緩めてもらい、また下に降り、さらにもう一度登り返す。手がはちきれそうになるのを何とか堪え、テラス上に体を持ち上げる。河本さん、岸山さんに励まされ何とか頑張って登ることができて、とても嬉しい。登る前に、ロープの状態をよく確かめてから登れば、こんなに苦労することは無かったのにと反省。ここが核心部とのこと。

 紺碧の青空の中、迫力ある景観を周囲に見ながら、気持ちよく登る。岩の感触が手に心地よく感じられる。ああ、登るのがとても楽しい。私は、ただ登るだけでよいけれど、リードをして下さっている河本さんは、さぞお疲れになっているだろう。登るほかに二人分のビレイとロープの引き上げとが加わっているのだから。それも10ピッチも。登らせて頂いて本当にありがたいなあと感謝。自分も早く、等分の負担を背負って登れるようにならなければと強く思う。

13:30 とうとう終了点に立った!烏帽子岩を真近に見て、登攀が終わったことを実感する。宇田さんが、中央稜を登っている武藤さんと無線で交信。ふと、眼下を見ると中央稜のピナクルの下で無線を耳に当てている人がいる。黄色のTシャツ姿。あっ、武藤さんだ!無線で交信中なのに、嬉しくて思わず大声で「武藤さーん!」と叫んでしまった。すると、武藤さんは、大きく手を振って「ど〜りゅー!」とコールを返してくださった。自分が同流の一員であることを実感し、誇りに思え感激だった。

 烏帽子岩の下部から下降にとりかかる。スラブを1ピッチ懸垂で降り、やっかいな笹薮のトラバース。緩斜面に出たあと、6ルンゼの長い懸垂下降、そのあと1ピッチを降りたところで、薄暗くなってきた。ヘッドランプをつけ下降を続ける。対岸の2ルンゼを下降していた他パーティもヘッドランプをつけたようだ。
 南稜テラスまで、あと2ピッチほどになったところで、すっかり暗くなってしまった。足元がよく見えないので、バランスを崩さないように体を十分に倒して注意して降りる。出合いまでの道のりはまだまだ遠い。暗い中を無事に下っていけるだろうか。不安が胸をよぎる。
 「南稜テラスでビバークにしよう」との河本さんの言葉に私はほっとした。雨もポツポツ落ちてきて、雨と暗闇の中で事故を起こさずに下っていけるだけの自信が私にはなかった。私にとっては初めてのビバーク体験だ。テラスに降り立ち、すぐに雨具を身につけ寒さをしのぐ。手持ちの食料を口に入れ、お水を一口ずつ分け合って飲む。水がないと思うと食欲がわかない。中村さんのおいしい山ごはんのことを思う。

 中央稜パーティは、今どの辺にいるのだろう、一人で中村さんは心配してくださっているだろうねと皆で話し合う。出合いに近い方の一角にヘッドランプがいくつか光っているけれど、あれが中央稜パーティなのかな。

20:00 持っていたレスキューシートを下半身に巻きつけ、テラスに横になる。空を見上げると、色々な形の雲がどんどん流れていっている。雨雲が流れ去ったかと思うと晴天の空が現れ星と月とが顔を出す。この得がたい時間を楽しもう!そう思った。状況的には、恵まれたビバークだもの。


3 雨が降ったり止んだり、強い風が吹きつけたりと、長い長い夜を過ごし、やっと夜が明けた。一睡もできなかったけれど、一日くらい眠れなくても大丈夫。最後の懸垂下降の途中でひっかかってしまったロープの回収のために、渡邉さんのビレイで河本さんが南稜の1ピッチ目の部分を登る。雨が降っていて滑りやすいので、とてもやっかいだ。雨のなか本当に申し訳なく思う。

6:45下降開始。
 河本さん、渡邉さんがロープを張ってくださった後を確実に下る。何度もロープを張ったり回収したりを繰り返し、安全を確保していただいての下降。安心して下ることができた。ひょんぐりの滝部分を登り樹林帯を抜けると、出合の道路に傘をさして、一列に並んでいる人たちがいる。あっ、手を振ってくれている。うちの人たちだあ!嬉しくなって大きく両手を振り返した。出合までの道をもどかしくすすみ、懐かしい顔、顔、顔と対面。たった一日のことなのに、何だかとても懐かしく感じ、熱いものが胸にこみ上げてきた。
 避難小屋で中村さんのおいしいお鍋を味わう。中村さんや中央稜パーティの方々が至れり尽くせりのお世話をして下さった。心配をかけた上に、こんなに歓待してくださるとは。ありがたく申し訳ない思い、大感謝。


記・安藤
谷川岳山行 中央稜 パーティー北島、足立、安藤

101日宇田号で2300過ぎ中野サンプラザを出発。今晩と明日のお酒行動食を買いにスーパーへ寄りながら10月2日駐車場に200到着。避難小屋前のスノコにテント設営。北島様がいらして、オーダーを聞く。朝の出発時間を聞くと一杯やってもいられずすぐに床についた。(宇田さんは麦一缶飲んでました。)

 430起床。500駐車場に行き共同装備のジャンピングとツェルトを受け取る。(ロープは今回女性は持たなくて良いとのこと)
545全員揃い出発。 快晴の中、ひょんぐりの滝懸垂下降より長い待ち時間となる。中央稜基部でカンテ組を見送り武藤さんリードで1P登る。30分程でやっと2P。武藤さんより無線が入いるがこちらの声が入らない様子。何度か試すうちにカンテ組に中継を依頼し登り出すことができた。(無線で交信できないと不便なことがわかりました。)ここの登りだしはロープ張っていないと怖かった。3Pも時間待ちで行動食を食べる。4P位から待ち時間はなくなるが核心は武藤さんのサービスビレーで無事に終わる。5Pの終了で足立さんの笑顔で迎えられ思わずこちらもにっこり。長め休憩をとり6Pここは松浦さんリードだがコールが聞こえない。安全とのことで登りだす。
登攀終了は
15:00

15:40頃北島さんたちが揃ったので懸垂開始。私の今日の核心はこれからだった。2本目までは要領がつかめない状況だったが松浦さんのアドバイスでその後はなんとかクリアできたのでは。と思う。最後の空懸は楽しかった。懸垂終了(空懸まで)は17:30。すぐしたの20m懸垂が終了直後で辺りは真っ暗になった。(大丈夫かな。と心配)武藤さん・松浦さんは道を把握しているので行きましょう。とのこと。松浦さん先頭に進む。このとき自分のヘッデンがとても暗いことに気づく。足元すら見づらい状態(電池は交換して間もないのに。)皆さんのペースについていけずとても遅れ迷惑をかけました。(すみません。)足元が心配でたまらない自分の前を前後の方の協力でなんとか歩けました。下山到着9:19。大変有難うございました。これで私の谷川デビューは無事終りました。武藤さんをはじめ北島さん(懸垂のザイル回収すべてしていただき有難うございました。)中央稜参加の皆様お疲れ様でした。次回はもっとレベルをあげて望みたいと思いますので宜しく御願いいたします。

* 反省
・無線は互いに交信確認をしておくべきでした。

・ヘッデンは明るいものを持参すべきでした。
・次回に向けて総合的な体力が必要と実感しました。トレーニングに励みます。


記・渡邉
 中央カンテの河本、岸山、坂口Pと宇田、渡邉、柳瀬Pは下山が遅れ、南稜テラスでビバークになりました。雨が降ったり、風が吹いたり、月が出たりと変化の多い一夜でしたが、一枚の岩棚に雨具を来て全員でゴロリと横になり、山にどっぷりとつかって幸せな一夜でした。雨中のテラスからの下山も、河本さんが全てにわたって気を配ってくださり、無事に出合にもどれました。ヘッ電下山で出合に下った衝立岩中央稜(北島、足立、安藤、武藤、松浦、飯田)各Pの皆様、心配をおかけして申し訳ありませんでした。また、一人で出合に残って食事の用意をしてくださった中村さん、本当にありがとうございました。翌日、われわれの下山を皆さまで迎えてくださり、すごく嬉しかったです。心づくしの鍋物も、漬け物も、うどんも、ビールも焼酎も、おいしくいただきました。みなさま、本当にありがとうございました。充実した中身の濃い山行でした。様々な経験と反省は、次回からの山行に生かします。 


コメント
・河…下山が夜になるかもと覚悟はしていたが、終了点で13時半。しかし、6人一緒の6ルンゼ〜南稜の懸垂下降はロープ操作がスムーズにいかないこともあって時間を要し日没。南稜テラスでのビバークとする。日帰りであれば急いだかもしれないが、翌日もあるため慌てなかった。翌朝、雨の中懸垂最後のピッチで引っかかったロープを回収し、下山。

・宇…クライミングシューズを12時間履いていた為、踵に靴擦れ。中央カンテは三回目。一番で取り付いた ので、落石の心配なく安心して登れた。懸垂は、ピッチが短く時間がかかったのでは。夜テールリッジを下降したら相当遅くなっただろう。ビバークして正解。本当は、中央稜に行きたかった。今度!

・渡…ヒョングリ越えたところで遠藤君のお父さん(中央稜登攀)に挨拶された。

・足…昔、中央稜に行ったとき、暗くじめじめした印象だったが、明るくよかった。北稜下降。6人で時間かったが、衝立前沢の最後の懸垂を終えたところで暗くなった。中村さんのごはんがおいしくて幸せ。

・北…オールリード。例の2〜3P目のカンテを右に越えるところでロープが屈曲して下降。怖かった。核心のチムニーはA−O。14:40衝立の頭着。懸垂のシステムはスムーズだった。空懸終えてヘッデン。衝立前沢は予想以上に時間がかかった。

・坂…おもしろかった。下降にすごく時間がかかることが分かった。中村さんのごはんがおいしく、お腹に染み渡った。

・中…膝の調子悪かったが、食料担当でもあり同行。2日は天気良く、天神尾根は登山客でいっぱい。国境稜線から交信はできなかったがノゾキから中央稜が見えた。