2005年9月18日
北穂高岳滝谷ドーム中央稜
北島、渡邉(奇数ピッチ渡邉、偶数ピッチ北島がリード)
 
 9月17〜19日の三連休を使って、滝谷のドーム中央稜を登攀した。滝谷は、年々確実に崩壊しているという印象。登攀中にも南峰直下のC沢左股上部で激しい岩なだれを目撃、近くにクライマーがいたので、だいじょうぶだろうかと心配になった。比較的安定している中央稜も、グラグラ動く岩が予想外に多い。ホールドを慎重に確認しながら登る必要を感じた。
 
(渡邉記)
6:10 涸沢BC発
9:00 稜線より取り付きに向かい下降開始
 17日のうちに、北穂南稜上部のテン場まで登っておくつもりだった。しかし、仕事の都合で東京を出発したのが、「うしみつ時」になってしまい、二人とも寝不足気味。無理をせずに涸沢泊まりとした。昨夜は、生ビールとおでんで乾杯して早々と就寝、5:00に元気に目覚めた。北穂南稜を登っている間は雲ひとつない快晴。絶好のクライミング日和である。しかし、稜線に近づくとさすがに滝谷側からガスが湧いてきた。
 ドームを左から巻き、最初の鎖場を過ぎたところで、うっすらと3尾根に下降する踏み跡が見えている。ここで登攀装備を身につける。9時に下降開始。ほんの5分ほどの下降で踏み跡は不明瞭になり、3尾根の稜線と思われる2〜3級の岩場を適当に降りる。
 10分ほど降りたとき、下から「おーい、ここに下降点があったぞ」と先行パーティの声。前方を見ると3人パーティ(龍鳳登高会)の二人が2mほどのピナクル(T1?T2?)の向こう側にセットされたペツルの懸垂支点を見つけ出し、さらに20mほど下降して支点を探している仲間を呼び戻している。懸垂支点のはるか前方には、中央稜の1、2ピッチが見える。すでにそれぞれのピッチに、クライマーが取り付いていた。
9:30 懸垂下降開始
 Wロープ1本でぎりぎり間に合った。バンドに降り立ち、3〜40mほど登り返して右に折れ曲がった10m前方に、写真で見るのと同じ凹角の中央稜の取り付きがあった。龍鳳登高会の方達が「われわれは3人で時間がかかるから、どうぞ先に・・」と声をかけてくださった。ありがたく礼を言って、先行させていただく。
10:00 登攀開始
1P 30m( W 上部チムニー越えの体感 X )
 凹角の左側を登る。最初の20mはやさしい。しかし、上部の10mが全ピッチ中で一番難しかった。チムニーは狭くヌメっていて、上部のチョックストーンのところまで這い上がる気持ちにとうていなれない。左側の壁にはボルトとハーケンが連打されているが、ホールドが細かく、わたしの技術では、たぶん登れない。諦めてボルトにシュリンゲをかけ、フットホールドまでしっかりとA0を使って左の壁をチョックストーンまで登った。このピッチを登り切るのに25分もかかったそうだ。情けない。次回の課題だ。龍鳳のみなさん、ごめんなさい。
2P 30m ( W テラス手前のスラブ越えの体感 W+ )
 目の前のフェースを7,8m右上してリッジに出る。さらに続くカンテを登ってテラスに出るが、テラスの手前2mほどのスラブ越えが核心。右にホールドがないので、左のホールドにがんばってつかまり、よいしょと伸び上がって右上のガバを取りに行く。
3P 20m
 ただの緩傾斜の登り道。
4P 30m ( 最初の凹角 W、トラバース後20mの体感 W+ )
 左右どちらにもルートがとれると書いてあるが、みんな左側の凹角を登っているようだ。7〜8mほど登ったところで右にトラバースし、上部チムニーの左側めざして登っていく。トラバースの先がホールドが細かく、微妙なクライミングが必要になる。高度感も増し、ルート中で一番登攀の楽しさを味わうことができた。
5P 20m ( V 最後の乗越しの体感 W− )
 傾斜の緩い凹角を15mほど登り、右に2mほどトラバースして、「ハング」というほどもない壁をよいしょと越えて終了する。あっけないほどやさしいピッチだった。
12:50 登攀終了
 目と鼻の先にドームの頭があり、さらにその向こう側を縦走路が走っている。ギャラリーがたくさんいるので、とても気持ちがいい。二人で大げさに握手を交わし、ギャラリーから一番よく見えるところに座り込んで、30分も休憩した。
 縦走路に出て、龍鳳の方達3名と一緒に登攀装備を解く。龍鳳Pはこの後、北壁をもう1ルート登り、北穂小屋に泊まるのだそうだ。われわれは一目散に涸沢に飛んで帰り、生ビールとおでんで乾杯した。
 翌日は、早朝から雨。前穂北尾根を経由し、重太郎新道を使って岳沢に降りる予定だったが、中止して一般路を上高地まで下った。