東京の設計事務所、柳田繁穂一級建築士事務所(墨田区)

柳田繁穂一級建築士事務所流建築論




設計事務所という選択肢

 世の中の大体の人々は設計事務所という存在すら知らずに住宅を建ててしま
う。その選択肢は、ハウスメーカーであり、近所の工務店である。
建築というものが、住宅設計というものがそれで事足りるものなら
設計事務所というものは、世の中に必要がない。
設計事務所の存在意義を考えることで、なぜ設計事務所を選択する人々が居る
のか紐解いていこう。

 住宅設計というカテゴリーは車に例えるとうまくなぞらえられる。

 ハウスメーカーとは、車で言えば、メージャーメーカーの販売店を通して
決まった車種を、決まったオプションの中から選んで購入することだ。
そこにはほとんど個性はなく、アズユーライクな部分はほとんどない。
気に入った部分も有れば、気に入らない部分は飲み込んで購入してゆくのだ。

 工務店は現在ではハウスメーカーと差異がだんだん少なくなってきている。
しかし、クライアントの意向に沿ったものづくりがかなり出来る。
ただ、その企業は、いわば陸の孤島であり、自分の企業のスキル以上の設計・
デザインを行うことが出来ない。または、出来たとしても非常に高価な価格を
提示する。車で言えば、好みを通して、あえて数多く安価にある中で外国車を
選択するようなものだ。


では、設計事務所とは何なのだろうか。

 まず設計事務所の業務とは、敷地探しの際のアドバイス、住宅のデザイン、
プランニング、概略設計、確認申請、実施詳細設計、工務店を数社選び出し
三社見積を行いクライアントに最適で、その住宅に最適な工務店を選出する、
工事の監理を第三者機関としてする、竣工後のアフターメンテナンスをすると
いった内容を業務としている。
つまり仕事の内容だけでも、ハウスメーカーと工務店の両方の性質を持つ。

 設計事務所が行うあらゆる工程が、完全な自由設計デザインであり全く制約
がない。したがって、「ここから選んでください」、「それは出来ません」と
いうことがない。クライアントの夢どおりのものを作ることが出来るのが、
前者2つと違う最大のアドバンテージである。車でゆえば、デザインから、
エンジンまでいちからデザイン設計を行いクライアントに提供するようなもの
である。

 つまり、設計事務所という選択肢は、ハウスメーカーと工務店では物足りな
いと感じるクライアントが選ぶ選択肢なのである。

設計事務所を選ぶメリット

 最初に最大のメリットを述べる。
それは、クライアントの要求を組み入れた上で更に上を行く「提案」をすること
である。クライアントの希望通りの建築を創るのは意外と簡単である。
しかし私たち設計事務所は、その時代の求められているものや、土地の地勢など
を加味して、昇華させた「提案」をすることだ。

 設計事務所を敬遠する人々の理由は今まで仕事をしてきて大きく二つだ。
 第一に、工務店に直接頼むのに比べて支払う金額が余計に掛かるのではないか
と思うかただ。確かに設計・監理料自体は10%であり、設計事務所が介在す
ることによる効率化で、実際には5〜7%ほど高額に成る。

 しかしそれは何の対価なのかを考えて欲しい。
クライアントをあっと言わせしめるデザイン料であり、より詳しい設計をする設
計料であり、工事の監理を第三者機関として行い公平な立場で、欠陥住宅に成る
のを防ぐことが出来る対価なのである。

 第二に、設計デザインを詳しく行うが為に手間と時間が掛かることを嫌がられ
る。

 これはどうだろう。一生に多い人で3度といわれる。住まいのデザイン設計に
じっくり正面から向き合い・自らも勉強をすることが無駄だろうか。

 といったことで、敬遠される理由が挙がるが、これは裏返せば設計事務所のメ
リットといってもいいだろう。
詳しく・世の中に一つしかないデザイン設計、第三者機関としての公平な工事監
理、じっくりと造りこむ間にクライアントと私たちに芽生える人間の信頼関係。
これらは、住宅設計に欠かせないものではないだろうか。

設計事務所がデザイン設計する住宅は高いのか?

 これは全く間違いである。思いもよらないアイデアと建築素材を使ってローコ
スト化をすることが出来るのが設計事務所である。
また、額面だけを見て比べてみると、同じ設計でも設計事務所のほうが高額な時
がある。それはなぜだろう。
それは、ハウスメーカーなどは、見積からガス・電気工事を別途にしていたり、
壁紙を契約時に種類までは決めずに一番安いものを積算していたりするからだ。

そして何よりも違うのは、設計事務所は、「家具」も工事のうちに入っているの
だ、特注で有ったり、クライアントと一緒に捜し歩いたりした家具が設計図に載
っているのである。かこの有名な建築家にマッキントッシュという人物が居る。
彼は、家具は住宅の一部であると唱え、有名なマッキントッシュの椅子等も作り
出している。さらに、過去の建築家でリチャード・ジョセフ・ノイトラは、もは
や、建築と家具は一体化させてしまった。
これが何十年も前のことなのです。

それが、一般的なハウスメーカー・工務店の設計では、家具はあとからタンスな
どを置くものと、まだ前時代的な設計論を展開している。
四畳半の部屋に、大きなタンスがドンと置いてある姿はいかにも滑稽である。

 これらの、優れた設計デザイン力と、工事途中での増加金額契約をしないこと
で、実は設計事務所のほうが等価か・安価に同じものが出来るのである。

それでも高い設計事務所?

 ではなぜ設計事務所に頼むと高いという概念が一般化しているのであろうか。
それはこうだ。一般と同じものを創りだすというところまでは、安価である。
しかし、設計事務所に住宅設計デザイン依頼をするメリットの中に、世界で一つ
のデザインを創造することや、何もない空間に彩を添えるデザインをするなど、
設計事務所に依頼をされるクライアントのほとんどが世間の「普通の家」に飽き
足らず、じっくり考え、また提案され取り入れて言ったものたちが、総工費とし
てはプラスとなってくるからである。

ローコストへの挑戦

 豪華なデザイン、奇抜なデザイン、より使いやすく心地いいデザインをするの
が得意なのが設計事務所である。では、ローコストに取り組むことは出来るので
あろうか。

 その答えは、イエスである。通常思いもよらない安価な建築素材を使って心地
よい空間を創ったり、住宅の部材の中で当然必要だと思われているものを再構築
してズバッと削ってしまい、それでも尚且つよりすばらしい空間を生み出す。
そういったテクニックを使い設計事務所は日々ローコストへの挑戦をしている。








デザインって何?

 住宅設計におけるデザインとはそもそも何であろうか?
形、大きさ、色を決めて造形するだけがデザインではない。デザインと包括され
て言われているものの中身を垣間見よう。
 よく言われる基本の言葉に「用途・強度・美」というものがある。美しいばか
りで使いにくいデザインは、良質なデザインとは呼べないのである。
クライアントとの打合せにより聞き出した必要条件、規模とコストに見合った構
造、クライアント好みなデザインをバランスよく創造する。
そしてスパイスとしてそれ以上の「提案」をする。
それがデザインの基本である。

畳の数は目安?!

 今まで制約に至らなかったクライアントのほとんどが畳の数で広さを考える、
いわゆる「何畳」にこだわる方々だ。8畳しか入らない土地でいくら10畳の広
さを求めても物理的に無理なのだ。そのときの打開策は、デザイニングの工夫で
10畳の使い勝手のある8畳の部屋を作ることが大事なのだ。
 
 最初の御希望で何畳の部屋が欲しいと言って頂くのは、設計事務所としても分
かり安くてありがたい。ですが出来上がってくるデザインが必ずしもそれと同数
では無いことは「覚悟」が必要なのかもしれない。
別の項でも述べたように設計事務所のデザイン設計は、家具も取り込んだ住宅を
創りだす。であるから、3畳の寝室などは東京23区内ではとても多い事例なの
だ。ただ3畳の箱を作っても後からベッド、家具、机を置かなければならない。
それは当然狭い!しかしあらかじめ、ヒューマンスケールを考えに入れた人間工
学によって導かれる最小の空間を家具とコラボレーションすることで、心地よい
3畳のベッドルームや、子供部屋が生まれる。

 よって、畳数というのは、プランニングの最初だけ考え、後は忘れていただい
たほうが良いだろう。


住宅だって顔が大事

 「ファサード」という言葉を御存知だろうか、簡単に言うと住宅を正面から見
たときの見た目のことだ。やはり自分の住宅、外出から帰ってきて最初に目に入
るその姿もとても大事だと考える。そして最近ではファサードデザインでその住
宅主の住宅への考え方・コンセプトを伝えることも有るのだ。
緑で一杯のファサードを作り自然と一体化する住宅を目指したりするのも一興。

家具とは?

 部屋という単位の空間を作って、椅子、机、本棚、タンスを置くのが従来の日
本らしい建築である。しかし世界標準の設計手法は違う。それももう30年以上
前から用いられている手法である。しかし現代の日本のハウスメーカーの建築に
は浸透していない。理由はコストが上がると思い込みがあるからだ。
世界標準の設計事務所の手法とは、テーブル、椅子以外の家具は建築工事時に造
り付けにすることである。古くは建築家マッキントシュ、ノイトラなどが代表的
である。その”造り付け”という手法とは、壁がそのまま家具であり、ソファー
である造作を施すことである。この手間がハウスメーカーではコストアップと観
られているのだ。確かに見積書を比べれば高くなる。唯よく考えてみてほしい。
後でソファー、タンス、本棚をデザインをせっかく建築家に造ってもらった部屋
に、自分で選ぶ手間、時間のコスト、搬入のコスト、何より後で購入するという
コストが結局最後に掛かってくるので、建築工事と一緒に”造り付け”にするべ
きなのです。このことは、デザインの統一はもちろん。1mm単位での完璧な整
合のとれた家具類が部屋に配置されていることになるのだ。
そしてデザイン的視点では、壁から出っ張らない、壁面と一体になるなどのメリ
ットが大きい。これについてあなたはコストをどのように考えるだろうか。
当事務所では、詳細見積で造り付け家具工事は別項目で記載されているので、ご
自分で計算してみるのが良いでしょう。

隅にこだわろう

 今このページをチェックしている方は住宅設計に興味がある方たちであろうか
ら、一般の住宅展示場などにも一度は行ったことがある方も多いのではないだろ
うか。それらをボーっと観ていても分からないが、色んな「隅」を観てみよう。
まず気がつくのが、巾木と廻縁だ。2x4輸入住宅などは、デコラティブなデザ
インの物が多い。しかし現代風(今風?)の住宅における巾木と廻り縁は、隅の
納まりを綺麗に見せる被せ物でしかない。

 私が提案したいのは、巾木も廻縁も無い住宅だ。それには、隅を綺麗に納める
必要がある。設計のテクニックの出番である。これで出来た住宅は、あの数セン
チの部材が有ると無いとでは全く印象の違うものとなるのだ。








木造?RC造?S造?

 木造にするか、鉄筋コンクリート造(RC)にするか、鉄骨造(S)にするか
の選択は、今まで私が相対してきたクライアントを観察したところ、大体希望が
はじめから決まっている。広さ当たりのコストが安い木造を選ばれる人が最近の
不況も手伝って、多い傾向にある。

 しかし、規模が大きくなってくると木造でも出来るが特殊な材料と工法が必要
になってきて意外とコストが掛かってくることがある。そうするとRCかSかと
言うことになる。最近はどちらの工法も非常に柔軟な設計デザイン対応が出来る
様になっている。だから、RCでもSでもクライアントの好みのもので私たち設
計事務所は対応する。

 しかし「提案型」が心情の設計事務所としては、よくよくクライアントと話合
ったうえで、最良の工法を選択して「提案」する。

 であるから、「木のぬくもりが好きだから木造」とは限らないのだ。極端に簡
素化してコストを抑えたS造に内装を木で覆う事も一考してみようではないか。

柳田流RCは特別製?

 柳田繁穂一級建築士事務所で使うコンクリートはセメント、骨材以外に特別な
材料を使い、100年持つ鉄筋コンクリート創りを目指している。このコンクリ
ートは水を通さず、屋根の部分では防水工事をしなくても良いほどの物である。
「柿木のある家」では、実際屋根は一切防水工事を行っていない。しかし今現在
ノークレームである。

木造を見直そう

 近年技術的発展により、耐火木造建築というものが出てきた。簡単に言うと今
まで木造では建てられなかった地域に木造で建築が可能となってきたのだ。ただ
まだ一般住宅での適応にはハードルが高いが近年中に設計可能になるだろう。
 また、集成材といった人工的に創った木造部材により、今までより柱が少ない
大空間が可能となってきている。木が好きでしょうがないという方は、はじめか
らあきらめずに木造での相談を当事務所に持ってきてもいいだろう。

















住宅環境とは。

 ロハス、サスティナブル、バウビオロギー、スマートハウスなどといわれる住
宅環境を取り巻く言語が多数存在する。この中でまずクライアントは何を考える
べきなのだろうか。
 
 最初に重要なのは、「内と外」ということ。
「外」とは、隣地であり、前面道路であり、街区であり、近隣の利便性などであ
る。それぞれを加味して住宅の外観を造っていかなければ、その地域に馴染んだ
住宅を造ることは出来ない。
「内」とは、住宅内部のことであり、その土地の風の流れ、日の光の射し方が非
常に重要なファクターと成る。それは時には、プラン上でクライアントが望んで
いた広さの部屋をあえて狭くすることさえも有るだろう。そのほうが全体として
心地よい利便性の高い住宅デザインが構築できる可能性があるからだ。

 これらをクリアーして初めて太陽光などのHEMSとしてスマートハウスなど
を検討してもいいかも知れない。