舞台「ソウガ」と、紳司さんが演じられた「ゲンシュウ様」について伺いました。



Q1 逆立てた髪と衿の高いマントがとても印象的でしたが、
   最初からそういうコンセプトだったのでしょうか?



A
     はい。
     ご存じの通りゲンシュウのモデルは魔王と呼ばれたかの人物。
     マントはやっぱ外せませんよね。
     素晴らしいもの作っていただきました。


     逆立の髪はですねー。
     チョンマゲしてみたんですけど、意外に頭かすめる殺陣の動き多く、すぐに取れてしまう。

     見映えも共演者にすこぶる不評でした(笑)。
     コロ助って言われた(涙)。


     きださんも「無し」だねってことになり、
     マゲ無しで「ぶぉ〜って逆立てちゃおう」であの髪型になりました。

     公演中ハードスプレー1本半使いました(笑)。










Q2  オープニング、仁王立ちのまま目で威嚇するのと、
    最後にマントを翻して背を向けるのがカッコよくて大好きなのですが、
    あれは紳司さんの考えによるものなのでしょうか?



A   
    仁王も威嚇もそんなに意識はしてませんでしたが…(恥)。


     “マント翻し”は本当にやらしい狙いです(嬉)。
     ゆ〜っくり歩いてきて暗転かかった残像で素早く「バサッ!」。


     舞台特有の暗転直前の残像って面白いなあって、
     ず〜っと昔から思ってたんです客として。









Q3  合戦のシーンで兵士の言葉を遮るようにして「戦況は!?」と問う場面で
     ゲンシュウ様の気性の激しさを感じたのですが、あれもこだわりだったのでしょうか?



A
     意味でやってました。

     イライラしてる状況でおべっか言われるもんですから(セリフを)食ってたんです。










Q4  これほど魅力的に感じるのは、ただ怖いだけでなく、
    懐の深さと、時折垣間見せる「情」があればこそだと思うのですが、
    その匙加減は悩まれましたか?


A4 
     はい。

     でもこの辺に関しては悩むというより注意していたと言った方が正しいかも。

     何千万の民を食わせるという気概の人でしょうから
     ゲンシュウ自身も周りが思うゲンシュウ像を演じてた部分もあるのではと想像しました。
     (孤独だあ…。)


     「何考えてるかわからない」  「心を読ませない」 
     というのを役として第一に持っていたくて、
     怒りや苛立ち以外は基本的に実感を捨てて、ほんの1ヶ所か2ヶ所のチラリズム。


     シーンによってはゲンシュウをより多面的に、
     人間臭く演じたくなるところもありましたが、 

     そこはきださんに
     「いつもの恐いゲンシュウでいて。心情はお客さんに想像してもらおう」 と。

     なるほど。
    
     まさに気を付けるべきはおっしゃる通り「匙加減」でした。









Q5 演じられた中で、お気に入りの場面、台詞はどこ(どれ)ですか?


A
     打ち上げでは亡国編の冒頭の 「脆弱なり!」 をやらされました(笑)。

     自分としては、そーだな、う〜ん、全シーンに言えることなんですが
     特にとなると郷本くん演じるデンベエと絡む亡国編の一連のシーンで
     以前までの笠原の引き出しを捨てさって音を出す感覚は楽しかったなあ。

     あの役あってこそ。
     受け手の郷本くん素晴らしかった。


     4の質問の解答に被りますけど、
     今までやったことのないアプローチでのチャレンジな音探しでした。

     リスキーな試みでしたけど喜んでもらえて何よりです。ホッ。








Q6 もっと深く演じてみたかった場面はありますか?


A
     北村栄基くん演じるシュゼンとの関係性でしょうか。

     もうひとつ物語をバックグラウンドとして深く突っ込めるポイントだと思いました。

     あと個人的にも栄基くんが好きなので(笑)。









Q7 昔、役への愛ゆえに直人(タイムレンジャー)の運命を変えてしまったことのある紳司さんですが、
   ゲンシュウ様の場合も紳司さんの意見によって変わったことはありますか?


A
     笠原も大人になりましたよ多少ですけど(笑)。

     ん〜、きださんに提案という形で相談したのは
     前田さん演じるシンパチを台本上「貴様」としか呼んでなかったのを、
     先駆け大将の鬼神ということもあり「シンパチ」と呼んであげたいというのと、
     妹チナギの最後のゲンシュウに対する呼びかけを「兄上」から「兄様」にしてはどうか、
     と言ったくらいではなかったかと思います。

     ※あ、正確には「お兄ちゃま」だった。
     それはきださんに「いきすぎかな」で「兄様」に落ち着く。


     あんまりゲンシュウどうこうじゃないことしかなかったですね。
     ゲンシュウの物語の中での役割が違ったら、提案の量もベクトルも変わったと思います。

     今回はとにかくゲンシュウがフニャフニャだと物語全体が締まらなくなる。
     舞台上にいない時も「ゲンシュウ」という名前は会話でたくさん語られるので、
     大袈裟な言い方をすると出てない時こそどう存在感を示すかが肝でした。

     重たい荷物でした(汗)。









Q8 紳司さんの時代劇、是非また拝見したいと思っています。
   これをやってみたい!という人物像はありますでしょうか?



A
     土方歳三です!







Q9  登場人物の中で、一番共感出来たのは誰でしたか?(もちろんゲンシュウ様含む)


A
     そーですねぇ…。
     一番となると、う〜ん、自己犠牲のヒーロー良大くん演じるツムギ。

     兄としてはそのツムギに命丸ごとでぶつかっていった
     鵜飼ちゃん演じるチナギも捨て難いところです。







Q10 紳司さんの心に響いたのは、誰のどのセリフでしたか?
    (私はチナギがシュリノスケを諭した時の言葉が胸に響きました)


A10
     あそこは本当にいいシーンですよね。
     わかります。

     いっぱいあるけど、そうだなー、
     ゲンシュウとしてになってしまいますが 松風くん演じるオウカの

     『それに…こいつだけは俺に任せてほしい』

     でしょうか。


     オウカとツムギの関係性やらオウカの想いの強さやら、
     一緒に演ってて二人の間に入れない、俺お呼びでない?みたいな強い絆というか
     気持ちというか真っ直ぐさというか、うまく言えませんが胸に入ってくるセリフでした。


     ひとつのセリフに幾通りもの意味や感情が凝縮された
     難しいけれどとてもいいセリフだと思います。

     「はいはいわーったよお前に譲ったる」 って気持ちよく刀納めることが出来ました。
     オウカにシンパシー感じるセリフでした。








Q11  もし紳司さんが戦乱のソウガの世界に居たとしたら、誰のポジションに居たと思いますか?


A11
      ゲンシュウ!

      と言いたいところですが、

      「一番槍〜ッ!」って勢いだけで突っ込んで そのゲンシュウに一刀両断される
      JAEの皆が演じてくれたポジションだと思います(笑)。







役に対する思い入れと紳司さんのお人柄が伝わって来ました。
ゲンシュウ様にここまで惹かれたわけが分かった気がします。
このお答えを胸に留めて、来年届くDVDを拝見したいと思います。
お忙しい中、丁寧にお答え頂きまして本当に有難うございました!


2009.10.30