「ジャン・ヌーベル展」
東京オペラシティアートギャラリー
2003.11.1 - 2004.1.25

建築家であるジャン・ヌーベルの作品が
どうして美術館で展示されるのか。
それはここにある彼の作品を見れば、すぐに納得がいきます。
日本の有名な古い寺院や仏閣が優れた芸術作品であるように
時代の遥か先を行く彼の作品もまた
未来を映し出す挑戦的な芸術であることに間違いありません。

会場は薄暗く、まるで映写室でビデオを見るような雰囲気の中で
デジタルプリントされた外観図や、それが計画された経緯、
コンセプトが詳しく描かれた説明文を見ていきます。
建築や都市を扱った展覧会で必ずと言っていいほど見かける
建物の模型は一切なく、まるでプレゼンテーションを受けているように
次々と計画の概要を見ていくだけです。
SF小説で未来の事として描かれたものが、
数十年後には現実のものになっていたりしますよね。
深海に潜ったり、火星に行ったり、ロボットと会話したり・・・
「想像できる事=いつか実現できる事」を建築でやってしまったのが
ジャン・ヌーベルだという気がします。
デジタル処理されているという事を差し引いても
まるで未来映画のセットのようにしか見えなくて
それが、セットでも巨大なオブジェでもなく
実際に人が日常生活を送れる建物であるという事が信じ難いくらいです。

今回の展示は、計画で終わったものが多く出されていましたが、
見る側の想像が掻き立てられるものばかりで、
特に、お台場にあった計画が実現していたら
どんなにわくわくするものになっただろうと思うと、少し残念です。
(だた、恐ろしいくらいの費用が掛かるでしょうが)
別のブースでは、彼の作品が実物に近いサイズで
壁面いっぱいにスライドプロジェクターで写し出されていました。
横一列に並んだ椅子に座って、カシャ、カシャという音も心地よく
建物というより、ビデオクリップを見ているようでした。
メイン会場を出て最後の廊下には、百人以上ものスタッフの顔写真が
部署ごとにズラリと並んで圧倒!
でも、あの人間離れした(?)仕事も
生身の人間がした事なんだなあ、と改めて感じさせられました。










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