ここを書くにあたって、2000年以前のは加えないつもりでいました。
でも、これだけはどうしても外したくなかったのです。
ここ10年のベスト10を挙げるようにと言われたら
この展覧会は迷わず入れるでしょう。
そのくらいインパクトのある展覧会でした。
パリを訪れたら、絶対に「カルティエ現代美術館」に行こうと決めていました。
そして、ちょうど「ISSEY MIYAKE展」があっていたのです。
これは後に東京都現代美術館でもありましたが、
写真を見る限り「カルティエ美術館」であった方が
何倍もいいように見えました。
というより、イッセイミヤケの「ジャンピング」は
この会場の為に作られたのではないかというくらい
ここの雰囲気に溶け込んでいました。
天井から吊り下げられた色鮮やかなの布のオブジェは
それだけでも充分楽しいのに
ガラスの向こうから差し込んでくる光につられて
踊るように跳ねると、ますます楽しくなってきて、
子供も大人もそこにいるみんなが
優しい気分になれる空間ができあがっていました。
目の前の色とりどりの布が次々に表情を変えるので
いつまで見ていても飽きず、私もしばらくベンチに座って
子供たちが布とじゃれ合う姿をボーっと眺めていました。
また、天井まであるガラス面に飾られた布も
庭の緑が写りこんで、また違う風合いを作り出していました。
ここにある全ての布が
新しい生命を吹き込まれたかのようでした。
この展覧会の成功の理由の半分は
この会場にあったと確信しています。
でもこの時は、ジャン・ヌーベルという著名な建築家が
ここを手がけたことなど全然知らなかったし、
後に彼の作品展を見ることになるなんて
もちろん思ってもみませんでした。
会場も作品の一部になるということを
再認識させられた企画でした。