「エミール・ガレ展」
下関市立美術館
2000.9.2 - 10.15

絵でも写真でも、実物を見ると全然印象が違う事が多いのですが
光で見るガラスの場合は尚更です。
一つの作品の中に、いろんな技術が詰められています。
色を塗り、形を押し、削り出し、又色を重ね、磨き…と。
こんなにも複雑な作業を積み重ねるからこそ
あの微妙な色合いや陰影が生まれてくるのでしょう。
派手で細やかな装飾と、地味な色合いが
不思議と溶け合って、見ていて飽きません。
ジャポニズムの象徴と言われるだけあって
どの作品にも日本画をみているような渋い味わいがあります。
まるで四季の移ろいを表したような色使いや、
時にはユーモアも感じさせる
自然にヒントを得たモチーフが日本人にとても人気があるのも、
私達が気付かなかった日本的な美を
ガレの作品の中で再発見できるからでしょう。
大量生産されているせいもあるのでしょうが、
実際かなりの数が日本に入ってきているようです。

それにしても、どうしてこんな色ができるのか不思議です。
見る角度によっても表情を変えるのですから。
幾重にも重ねられた色を薄く剥がして、
それらを更に重ねていったかのようです。
あるいは、ガラスとガラスの間から
光と色が漏れているようにも見えます。
中には、色といい形といい
まるで陶器のようなものまでありました。

アールヌーボーの雰囲気を十分に堪能できるガレの作品は、
これらがガラスであることを忘れてしまいそうになるくらい
幻想的なものばかりでした。






















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