日本人の顔「荒木経惟写真展」福岡ノ顔
福岡アジア美術館
2003.2.9 - 3.9

生のアラーキーを一目見てみたい!
それだけで、荒木経惟写真展の初日に行って来ました。
今、彼には「全国47都道府県に暮らす人々の肖像を撮る」
という企画があります。
「日本人ノ顔」プロジェクト。
既に「大阪ノ顔」は終えていて福岡はその第2弾。
モデルは事前に選考された500人の素人さん。
子供、お年寄り、家族、友人、普段着、仕事着・・・様々な人の姿がありました。
「還暦を過ぎ、人と正面からぶつかり合いたい」
そういう彼の思いを受け取ったモデルさんは
本当に素人さんなんだろうかと思えるくらい、いい顔をしていました。
「最初は緊張して、なかなか写真にできる状態じゃなくても
色々話していく内にみんなリラックスしてきて、いい表情になるんだ」
とアラーキーは言っていました。
でもそれを引き出せるのは、彼の人に対する愛情に他ありません
実際の彼は思ったより大柄な人でした。
早足、大股で黒のロングコートをなびかせて、
広い会場の中をずんずん歩く。
殆ど動きが止まっていることがない。
会場に来ていた人と話をし、一緒に写真を撮っていたかと思うと、
急に部屋の反対側にスタスタッと移動し、
その度に彼の周りの人の固まりも一緒に動く。
彼の体はまるで大きな磁石みたい。
彼の言葉、表情、身振りに吸い寄せられる蹉跌のように、
皆、知らず知らずのうちに彼の行く方向になびいていく。
ああ、これなんだなあ、彼が女の人を綺麗に撮れる訳は。
彼には生のエネルギーが溢れていて
近くにいるだけで、誰でもその力を浴びることができる。
女も男も、犬も猫も、植物も。

彼がモデル募集をしている事は知ってましたが、
自分には関係ないことと思っていました。
今はすごく後悔しています。
これから各県で撮影会があるでしょうが、
応募してみて損はないと思います。
特に今元気のない人には、絶対効き目があるでしょう。
こんなすごい人と話ができて、写真まで撮ってもらえるなんて
そんなチャンスこの先そうそうないでしょうし、
彼ならそれなりの人も、間違いなく綺麗に撮ってくれるはずです。




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